中部 静岡県のダム

1162-井川ダム/いかわだむ

2016/08/21

所在地:静岡県静岡市葵区大字井川字大久保2290-2

右岸より堤体(ダム湖側)を望む

右岸より堤体(ダム湖側)を望む

井川ダムまで来ると大井川水系ダム巡りもいよいよ佳境に入ってきます。こんな山奥でも静岡市内だとは驚きですが、それだけ市が縦長な土地を擁している事を窺えます。

また井川ダムは中空重力式ダムといって、堤体内が空洞になっている国内でも非常に珍しいダムです。珍しいダムですが、井川ダム周辺にある畑薙第1ダム、畑薙第2ダムも中空重力式で、珍しい型式のダムが集中して建造される事も珍しいです。

とは言うものの、中空重力式は中を空洞にする事で建設に使用するコンクリート量が節約できるので、建設コストを縮減する事ができます。戦後の混乱期から高度成長期への過渡期として、建設費圧縮と電力需要の増加というパラドクスを解決するための中空重力式でもあると思いますので、たまたま中空重力式が近所に3つもできてしまったという程度に考えるのが妥当かもしれません。
さらに井川ダムは国内最初の中空重力式コンクリートダムであり、型式としては畑薙第一ダムに次ぐ堤高のダムです。

右岸より天端を望む

右岸より天端を望む

なお、中空重力式をカッコ良く言えば「ホローグラビティ」となります。まれにこちらで表記されている事もあります。
ラジアルゲートが3門あります。上記写真で一番奥にある傾斜になっている構造物は後ほどご説明します。
天端は県道60号「南アルプス公園線」が通っており、ご覧の通り自動車での通行が可能です。

天端よりダム湖を望む

天端よりダム湖を望む

堆砂が激しいのかダム湖の水は少々白く濁っていました。ちなみに左の建物が管理所です。その奥には売店やちょっとした喫茶コーナーなどもあり、軽食を取る事もできます。

インクラインを望む

インクラインを望む

変わったインクラインです。シートが2つ並んでいますが、クイズ「タイムショック」(古い?)の解答者席のような感じで、そのユニットごと斜めに降りていくような仕組みになっているようです。見辛かったらスミマセン。

天端より下流を望む

天端より下流を望む

この奥に奥泉ダムがあります。左岸にある建物が発電所で、右岸にある建造物が変電所です。

天端より発電所を望む

天端より発電所を望む

発電所部分をアップして撮影。

取水口除塵機

取水口除塵機

この機械は取水口除塵機と言い、ダム湖に溜まったゴミを取り除く役目を負います。天端を県道が通っているので、県道を跨ぐような形で作られています。

取水口除塵機の銘板

取水口除塵機の銘板

平成11年に製作されたようです。比較的新しいので、思わずメカニカルな動きを想像してしまいましたが、実際どのように動くのかこの目で見てみたいです。

天端より井川電力館を望む

天端より井川電力館を望む

中部電力が運営する「井川電力館」です。右岸の高台にあり、手前の階段から登る事になりますが、長島ダムで疲れ果てた私にとっては、かなりしんどいです(笑)

右岸法面に白く映えるダム銘板

右岸法面に白く映えるダム銘板

右岸の法面にはダム名を記載した看板がありますが、そこには「井川五郎ダム」とあります。これはニックネームのようなもので当時の中部電力社長、井上五郎から取ったもので、井上五郎は元々井川電力に出向してきた東邦電力の技師で、井川ダムとは建設計画時から携わっていたようです。さらに「アメリカでは人名がダム名に付く事が往々にしてあるので、日本にも人名を付けたダムがあっても良いのでは?」と、 間組(当時)の社長神部満之助が「井川五郎ダム」と竣工式時に発言したのがきっかけで、名付けたのだそうです。

>>資料:(社)原子燃料政策研究会発行機関紙「Plutonium Summer 2001 No.34 冥王星(32)」より

井川電力館より堤体を望む

井川電力館より堤体を望む

上記資料は読んでいて胸が熱くなりました。塩郷ダムではダム反対運動を知り、井川ダムでは往時を偲び・・・と色々考えさせられました。

さて、場所は「井川電力館」へ移動しました。ここから望む堤体はなかなかな物です。大井川はこれらハイダムが完成するまで、「越すに越されぬ・・・」と云われるほどの荒れ狂う大河でしたが、完成後は穏やかな河川へとシフトしました。この大井川にはやはりダムは必要なのです。今でこそ穏やかな河川ですが、いまこの川からダムを無き物にしたら、白根山からの雪解け水、梅雨時のシトシトした雨期、秋の台風の時期まで、荒れ狂う濁流の河川へと表情が一変してしまうのです。果たして堤防をかさ上げしたり、川床を下げたりするだけで、河川を維持しうるのでしょうか?それこそ環境破壊ではないのでしょうか??一つのダムと数千メートルの堤防。果たしてどちらが有効か・・・?それは永遠に解けないパラドクスかもしれません。

模型

模型

電力館内にはスタッフは全くいません。わざわざその旨を記載する看板が入口にあるほどです。中部電力による経費削減のためではないかと思われますが、さて真偽のほどは??
で、やっぱり模型を撮影してしまう私でした。この模型は井川ダムが中空重力式である事をしっかりと伝えています。でもホントにこんなに空洞なのでしょうか・・・。なんかいささか誇張している気が・・・。模型以外にも建設時の映像もあったりして見ごたえ十分です。

ダム諸元


型式 中空重力式
コンクリートダム
Access
to
D@M
東名高速道路相良牧之原IC下車
あとはひたすら国道473号線を川根町に向けて北上
川根町に入り家山で「たいやき」を食べたら再び国道473号線を北上
しばらく走らせると国道362号線と交わるT字交差点にぶつかるので、
その交差点を右折し国道362号線を北上
千頭付近で県道77号線に入る道があるので、そちらへ進入し更に北上
大井川鐡道井川線奥泉駅を過ぎると、寸又峡と接岨峡の分かれ道があるので、
それを右の接岨峡方面(県道388号線)へ
ここから先は勘を頼りに(いい加減)井川ダムへ向かう
奥泉ダムを過ぎ、しばらく走らせると県道60号と合流する交差点が現れるので、
それを右折
大井川鐡道井川駅が右手に見えると間もなく井川ダムです
目的 発電
堤高 103.6m
堤頂長 243m
堤体積 430,000m3


流域面積 459.3km2
湛水面積 422ha
総貯水容量 150,000,000m3
有効貯水容量 125,000,000m3
ダム湖名 井川五郎湖
河川名 大井川水系
大井川
着手年 1952年
竣工年 1957年

その他の設備/所感

駐車場 特に興味が湧いていた訳ではなかったのですが、
実際に行って見聞して帰宅後も調べたりすると、
また別の角度からダムを識る事ができて、非常に興味深い体験となりました。
※ 井川ダムの堤体内見学は、希望日の1ヶ月以上前に申請する事で可能だったのですが、
井川電力館を無人化したことにより今では受け付けていないそうです(2004/9/25追記:灰エースさんThanx!)。
トイレ
公園 ×
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