ダム入門

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常時満水位

常時満水位とは、平常時(非洪水時)に利水目的(水道、かんがい、工業用水等)に使用するためのダム湖に貯める事が出来る最高の水位の事。この水位から最低水位までを利用できる。各ダムには操作規則が設定されており、常時満水位は各ダムの標高によって定められ、この水位を基準としてゲートなどの操作の規則が設けられている。
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重力式コンクリートダム

重力式コンクリートダムとは、コンクリートで出来たダムの事で、堤体そのものの自重で水圧を支える事ができるダムである。建設にはコンクリートを大量に必要とし、基礎岩盤がかなり強固な岩盤でないと建設に適さない。数種類あるダムの型式の中ではもっとも堅牢なダムで、地震や洪水への耐久性も高い。
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重力式アーチダム

重力式アーチダムとは、重力式コンクリートダムとアーチ式コンクリートダムの双方の利点を備えたダム。アーチダム建設のように強固な岩盤が必要ではない上に、重力式コンクリートダム建設のようにコンクリートを大量に必要としない、という利点である。
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死水容量

死水容量とは、堆砂容量の最上面と最低水位の間の容量の事で、一定の水位を保持する目的で設定されている。死水自体は利水の対象ではなく、水位自体も取水口よりも下の水位である事から、異常渇水時などに緊急的にポンプで汲み上げるような際に利用される。
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試験湛水

試験湛水とは、ダムが完成した後にダムに問題がないかをチェックするための試験で、サーチャージ水位まで貯めてから最低水位まで減らして実施する。水圧に耐えられるかどうか、また堤体から漏水が無いかどうかを調べるためのものであり、試験湛水は言うなればダム建設における天王山である。
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最低水位

最低水位とは、ダムの堆砂容量を水平であると仮定し、その堆砂上面の水位の事をいう。この水位より上の水位から利水などに利用できる。逆に言えばこの水位より下の水は利用できないため、ほとんどの場合においてこの水位より下には取水口が無い事になる。
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サーチャージ水位

サーチャージ水位とは、Surchargeは「過載」とか「オーバーロード」の意味で、洪水時にダム湖に限界まで一時的に水を貯める事ができる水位の事。概ね100年に一度の確率で発生するような洪水時を想定した水位となる。試験湛水の際にはこの水位まで貯水して、徐々に水位を下げて試験を行う。
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コンジットゲート

洪水の調節や下流への放流用に設置する管の事。ダムの底部にある穴を総称してコンジットと呼ぶ事がある。本来のコンジット(conduit)の意は「導管」であり、堤体中を貫通して設けられる事からこう呼ばれる。またコンジットにはゲートが設けられ、これをコンジットゲートと呼ぶ。コンジットゲートは比較的通常の放流時に常用洪水吐として使用される。
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骨材

骨材とは、ダムを建設するためコンクリートの原料となるもの。骨材には砂、砕砂、砂利、砕石が主に用いられる。また骨材には、10mmのふるいを全部通り、5mmのふるいを重量で85%以上通過したものを細骨材、5mmのふるいに重量で85%以上とどまるものを粗骨材として区別されている。
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洪水容量

洪水容量とは、常時満水位もしくは洪水期制限水位からサーチャージ水位までの容量をいう。
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洪水吐

洪水吐とは、ダム湖の水を下流に流すためのゲート設備の事。流入部・導流部・減勢工を総称して洪水吐と呼ぶ。また洪水吐には「常用洪水吐」と「非常用洪水吐」の2種類がある。一時期ネットで流行したいわゆる「ダム穴」はダム湖内に立坑を設置し、その呑口が朝顔のように見えるためモーニンググローリー型洪水吐や朝顔型洪水吐とも呼ばれるが、立坑型洪水吐(タテコウガタコウズイバキ)が正式名である。
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洪水調節容量

洪水調節容量とは、常時満水位からサーチャージ水位までの容量を示す。その容量の範囲内で洪水を調節する。特に洪水期には水位を洪水期制限水位まで下げてダムに流入する水量を確保する。なお、この洪水調節容量が設定されていないダムは洪水調節の機能はない。
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洪水期制限水位

洪水期制限水位とは、治水が目的のダムで設けられている水位の事で、洪水期において常時満水位よりも水位を下げて洪水を防ぐ水位の事。
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洪水期

梅雨の時期や台風の時期(主に6~10月)など、降水量が多い時期の事を指す。そのため、洪水期の直前はダム湖の水位を低くして洪水に備える。ダムによっては時期が細かく設定されている。例えば富山の室牧ダムは6/21~9/30、阿武隈川水系の直轄ダムは6/11から10/10、雨の多い三重県の蓮ダムは6/16~10/31、宮城県の大倉ダムは7/1~9/30など。
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洪水

洪水とは、河川の水位や水量が著しく多い事を示す。水量が増える要因としては、大雨や融雪がある。また、上流からダム湖への流量がいつもより多い場合の事を指すため、氾濫していなくても洪水となる。なお、天気予報の場合、河川の水位計が警戒水位を超えたときに洪水と呼ばれ、洪水注意報が発表される基準となる。
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原石山

原石山とは、ダムを建設する為に必要な資材を採取する山。主にコンクリートの原料となる骨材や、ロックフィルダムにおける盛立材を採取する。堤体の近くの山から採取されるが、ダムによっては意外と遠いところに設けられる事もある。運搬にはケーブルクレーンや46tなど超大型のダンプトラックによって運搬される。
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減勢工

減勢工とは、洪水吐から流れ出る水のエネルギーはかなり大きなものとなるため、水の落下地点が削れてしまう恐れがあり、それを防ぐ役割を担う構造物。文字通り勢いを減らす構造物である。減勢工には複数の種類があり、ダムの型式や地質、周辺環境などにより選定されている。
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計画高水流量

計画高水流量とは、基本高水流量に対しダム建設後、ダムで洪水を調節した際の河川流量のことを示す。つまり、基本高水流量からダムなどの洪水調節施設での洪水調節量を差し引いた流量が計画高水流量となる。計画高水流量を河道断面図として表示させた水位を計画高水位という。
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計画堆砂容量

計画堆砂容量とは、ダム湖に100年間に流入してくると仮定した土砂の容量。山岳が多いわが国では、中でも中央構造線の影響や地震などの地殻変動による影響で、計画を上回る土砂がダム湖に流入する事もある。特に天竜川水系では堆砂問題が特に深刻である。
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クレストゲート

クレストゲートとは、主に非常用洪水吐として洪水調節用に用いられ、ダム天端からの越流を防ぐため、ダムの堤頂部に設置されているゲートの事。「クレスト(crest)」とは英語で「頂上」という意味である事から、「頂上にあるゲート」すなわち「クレストゲート」となる。
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