宇連ダム(下流より堤体を望む)

ダムログ

宇連ダムと大島ダムの切り替え放流

今までサブドメインで運用していた「ダムログ :: damlog」ですが、ほとんど放置(という意味ではダムペディアもそうですが…)していたり、諸問題があるためダムペディアに統合することにしました。過去記事を移行するかどうするかは(めんどくさいので)未定です。どうも、ダムログの時間です。

では、本題です。

きっかけはこのツイートでした。

愛知県東三河にある宇連ダムの貯水率を定期的にお知らせするbotが示した数字。すごい低いです。

と私がツイートすると、すかさず洪水実況で著名な星野氏からリプライが。以下、そのやり取りです。

というわけで、なぜか私が問い合わせることにw

ちなみに宇連ダムと大島ダムでは頻繁に放流切り替えを行っています。(参照:豊川用水ホームページ

まずは問い合わせた内容は以下。

Q1.宇連ダムと大島ダムとの間で、よく切替放流を行っているようですが、これはどういった運用に基づくものでしょうか?宇連川と大島川の河川維持のためかと推測しておりますが、いかがでしょうか?

これに対する独立行政法人水資源機構豊川用水総合事業部さまからの回答はこちら。

宇連ダムと大島ダムは利水ダムです。

河川維持のための放流は行っておらず、利水補給のための放流となります。現在の運用は各ダムが常に満水状態では、無効放流が生ずる場合があることから、降雨を有効に貯留できるよう、ダム毎に空き容量を確保することとしています。

その空き容量を確保するためにダム毎に放流を行うことから切替放流を行っているものです。

河川維持の用途は無いのに、私は「河川維持のためかと推測」とめっちゃ恥ずかしいこと書いてました。ただ、返信をいただいたものの、ますます疑問が増えてしまいました。

  1. 「降雨を有効に貯留するための空き容量の確保」とのことですが、貯水量の多い方を優先的に放流しているという認識でよいのかどうか…つまり切替放流を行う基準は何なのでしょう?
  2. 「各ダムが満水状態では無効放流が生ずる場合がある」ことについて、例えば当時だと大島ダムの貯水量が多い状態ですが、空き容量を確保するために放流することと、やや矛盾を感じます。
  3. 8/21の20時から22時に切替放流を実施していましたが、これは「2時間かけて切り替えていく」ということなのか、「2時間だけ切り替えて、その後は元に戻す」ということのどちらなのかという基本的な疑問。
  4. 宇連ダムは当時9.5m3/sの放流量でしたが、豊川用水ホームページの「水源状況(利水)」に書かれている宇連ダムの補給量が「0.5m3/s」となっており、放流量と補給量は違うという認識で良いのか?
  5. 今回の件を受けて、宇連ダムと大島ダムの放流量がどう変化しているか確認したかったのですが、国交省の川の防災情報や水文水質データベースに、放流量の記載がない、また大島ダムに至ってはそのダム自体の項目がありませんでした。これについては何か理由があるのかどうか。

これらをすぐに追加の質問として返信すること数日。返答をいただきましたので、解説を交えながら以下のとおりお伝えします。噛み砕いているつもりですが、わかりにくかったらごめんなさい。

Q2.「降雨を有効に貯留するための空き容量の確保」とのことですが、貯水量の多い方を優先的に放流しているという認識でよろしいでしょうか?

宇連ダム、大島ダムは豊川用水の水源であり、利水専用のダムです。

取水地点(大野頭首工及び牟呂松原頭首工)で河川自流(流域変更で導水したものも含む)だけでは必要水量の取水に不足が生じる場合、ダムから放流することとなります。

どちらのダムからどのように放流するかは、各ダムの特徴を踏まえて決められています。

基本的には、宇連ダムが先行開発され、その不足を補うこととして大島ダムが追加された事業経緯から、宇連ダムを優先的に使用する計画となっていますが、ダムが満水の場合にはダム集水域に降った雨が貯留できず有効に活用できないため、まず宇連ダムを先行して使用し、一雨分の流入を貯留できる程度の空き容量となった時点で、大島ダムの使用に切り替えて、大島ダムも一雨分の空き容量となった段階で、宇連ダム優先放流に戻すこととしています。

なお、一雨分の空き容量の大きさは、両ダムの特徴(直接集水流域の大きさと降雨特性、間接流域の有無など)によって異なっています。

また、宇連ダムの貯水量が、大島ダムの貯水量と同等程度まで低下した段階で、それまでの宇連ダムの優先放流から、宇連ダムと大島ダムの併用放流(両ダムの特性を踏まえた比率で放流)に切り替えることとしています。

まず、放流の大前提として、取水地点(大野頭首工及び牟呂松原頭首工)で河川に流れている分の水だけでは足りない場合において、宇連ダムや大島ダムから水を補給するということです。

ちなみに補足ですが「流域変更で導水したものも含む」とはおそらく佐久間導水路のことですね。

また、宇連ダムが先に造られた経緯から、宇連ダムを優先的に放流するのが基本だそうですが、放流によって一雨分空けたら、次は大島ダムから放流するして、大島ダムも一雨分空けたら、また宇連ダムからの放流に戻す…というのを繰り返しているそうです。

ただし、これはずっと続けるわけではなく、宇連ダムの貯水量が大島ダムと同じぐらいに下がったら、両ダムから放流するということだそうです。

Q3.「各ダムが満水状態では無効放流が生ずる場合がある」とのことですが、例えば現在だと大島ダムの貯水量が多い状態ですが、空き容量を確保するために放流することと、やや矛盾が生じているように感じてしまいます。このあたりについてはいかがでしょうか。

回答1のとおりです。

なお、「空き容量を確保するための放流」は、あくまでも取水地点での必要水量の不足分を放流するものです。

つまり、ただ放流するのではなく、あくまで不足分を補うという前提によって操作しているんですよ、ということですね。

…中の人から「こいつ頭悪いなぁ」とか思われてないかちょっと心配になってきました。

Q4.直近ですと8/21の20時から22時に切替放流を実施されているようですが、これは「2時間かけて切り替えていく」ということなのか、「2時間だけ切り替えて、その後は元に戻す」ということのどちらなのでしょうか?

なぜこの質問をしたのかというと、私の不理解によるものではあるんですが、

当初からお知らせを見て、記載された時間だけその放流をするものと勘違いしていたんです。

8/21の切替放流は、それまでの宇連ダム優先での放流から、両方を併用して放流する方式に切り替える操作を2時間かけて行ったものです。

つまり以下のような操作に切り替えたということだそうです。

20160912_ureoshima

フォロワーさんからも、


とご指摘いただいていましたが、この方の説明が正解でした。

Q5.上記質問の回答が例えば前者だとしますと、宇連ダムは現在9.5m3/sの放流量ということになりますが、豊川用水ホームページの「水源状況(利水)」に書かれている宇連ダムの補給量が「0.5m3/s」となっています。放流量と補給量は違うという認識でよろしいでしょうか?

ちょっと質問の意味が分かりづらいので補足しますと、8/21の22時の時点では上の画像のとおり「宇連ダムの放流量が9.5m3/sになりますよ」と書かれているのですが、9/7の豊川用水ホームページの「水源状況(利水)」に書かれている「ダム補給量」の数字が「0.5m3/s」になっていたために、これらに書かれている「放流量」と「補給量」というのは違う意味なのかお尋ねしたかったのです。

その回答が以下です。

「宇連ダムから大島ダムへの放流切替について」のお知らせは、河川の流況が大きく増加する方向で変化することが想定される切替時のみ掲載しております。

このため、その後の利水放流変更時にはお知らせをしておりません。

9.5m3/sは8/21時点での利水放流量であり、9/7時点では0.5m3/sの利水放流量です。

お知らせ後は大幅に放流量が変化しないかぎりは、お知らせを更新することはないんだそうです。また、明言されていませんが「放流量=補給量」とのことのようです。

(…そろそろ中の人にウザがられてるんじゃないかとやや不安になってきます。)

Q6.放流量について過去も遡ってチェックしてみたいのですが、国交省の川の防災情報や水文水質データベースに放流量の記載がない、また大島ダムに至ってはそのダム自体の項目がないのは何か理由があるのでしょうか?

これは今回とは本筋の質問とはちょっと関係がないのですが、Q5の回答を自分で得ようと思っても、過去の放流量を知る術がまったくなかったので、ややぶつける形で質問してみました。

宇連ダム及び大島ダムは豊川用水の利水専用のダムであることから、国交省の川の防災情報への記載は機構としては行っておりません。なお、宇連ダムの記載に関する内容については国交省にお問い合わせください。

これは予想通りの回答でした。ただ例えば洪水調節の機能を持たない水資源機構所有の木曽川大堰が川の防災情報に載っているんですよね。これについては機会があれば国土交通省に聞いてみたいと思います。

というわけで豊川用水についてひとつ賢くなった気がした神馬でした。

独立行政法人水資源機構豊川用水総合事業部さま、お忙しい中ご回答いただきありがとうございました。

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