1465-立ヶ畑ダム/たちがはただむ

兵庫県のダム 近畿地方のダム

1465-立ヶ畑ダム/たちがはただむ

2018/07/03

所在地:兵庫県神戸市兵庫区烏原町東山

取水堰堤を望む

取水堰堤を望む

第8回 Dam Web Ring オフ会[神鉄で行く烏原川のダムめぐりOFF]にて、石井ダム(1519-石井ダム/いしいだむ)を見学した後に、立ヶ畑ダムへ向かいました。が、堤体に辿り着くまでに面白い物件が点在しており、見所は堤体だけでなかったのがとても印象的でした。

で、まずこれが立ヶ畑ダム上流に位置する取水堰堤。立ヶ畑ダムは明治に造られたダムなので、その周辺設備も明治時代然とした石積みで、古いけれども実に良い雰囲気を醸し出しています。

締切堰堤(上流側)を望む

締切堰堤(上流側)を望む

古いだけに錆びて劣化している箇所もありますが、それがまた良い味を出しています。「錆びている」というよりも「寂びている」という表現の方がピンと来る感じです。

放水門を望む

放水門を望む

暗渠内の床、壁、そして見えないけれども恐らく天井に至るまで石で組まれています。明治時代とはいえ、妥協を許さない造りにとても感心します。いや、明治時代だからこそ、かな。

締切堰堤の天端を望む

締切堰堤の天端を望む

きっとこの周辺は明治時代と変わらぬ雰囲気なのでしょう。

締切堰堤(下流側)を望む

締切堰堤(下流側)を望む

あまり使われていない雰囲気ですが、それもまた良し。

締切堰堤からの出口を望む

締切堰堤からの出口を望む

立ヶ畑ダムの周辺設備はいろいろ複雑になっていて、私では上手く説明ができませんが、とにかく凄いの一言です。

放水門のポータルを望む

放水門のポータルを望む

木が生い茂ってしまって、全面が見られないのが残念ですが、ぜひ一度実物を色んな角度からご覧ください。明治時代の風格を思い知る事が出来ます。

放水路を望む

放水路を望む

こんなの近所じゃ絶対に見れない。神戸って居留地なんかも良いけど、こうした歴史あるインフラも見ておくべきです。

ダム湖を望む

ダム湖を望む

で、ようやくダム湖が見えてきました。静かなダム湖です。

ダム湖周辺は近所の方の散歩コースにもなっており、この時も散歩されている方を頻繁に見かけました。ダム湖周辺の歩道は「水と森の回遊路」と名づけられ、コンクリートやアスファルト舗装ではなく、土で出来ているため膝にも優しい感じがしました。

沈澱井

沈澱井

水と森の回遊路の脇道には立入禁止区間があるのですが、今回特別に見学させていただきました。その奥にこの「沈澱井」があります。

一瞬、円筒分水か?と思わせる構造物ですが、天王谷川から導水した水を一旦貯水し、立ヶ畑ダムへ導水する構造物なのだそうです。

天王谷川からの導水路暗渠(下に放水路があり立体交差している)

天王谷川からの導水路暗渠(下に放水路があり立体交差している)

奥の暗渠から手前に来ているのが天王谷川からの導水路で、この写真では見えませんが、この下に先ほどのポータルを通ってきた放水路が左右に流ています。この二つは立体交差しているのですが、こうした立体交差はこの近辺の設備の各所に見られます。

「暗渠引水」と呼ばれる水路の蓋

「暗渠引水」と呼ばれる水路の蓋

ただのマンホールの蓋に見えますが、「暗渠引水」といって先ほどの天王谷川からの水が立ヶ畑ダムを通って、直接浄水場に向かうルートのための蓋なんだそうです。

表層曝気

表層曝気

で、そんなこんなであれこれ見慣れぬ構造物を見学し再びダム湖へ。もうおなかいっぱいです。ダム湖を見ると表層曝気と思われる装置がありました。

左岸よりダム湖側堤体を望む

左岸よりダム湖側堤体を望む

ようやく堤体が見えてきました。今まで見てきたコンクリートのダムとは明らかに一線を画す石張りのダム。それがようやく姿を現しました。

左岸よりダム湖側堤体を望む

左岸よりダム湖側堤体を望む

中央にある円筒形の建物は取水塔になっています。もうまるで湖上の楼閣のようです。

左岸より天端を望む

左岸より天端を望む

高くそびえる柵がちょっと残念な気もしますが、転落して責任を問われるのもイヤでしょうから止むを得ませんね。

天端よりダム湖を望む

天端よりダム湖を望む

きっと明治の人もこの写真とあまり変わらない風景を見ていたに違いない。そういう感覚は犬山市の明治村で体験すれば良いじゃん、と思われるかもしれませんが、明治村には残念ながらダムがありません。入鹿池(1242-入鹿池/いるかいけ)が明治村の至近にありますが、それとは全然違いますしね。

取水塔入口を望む

取水塔入口を望む

何ともオシャレな取水塔です。神戸の旧居留地で見る建物にも似て、ダムの付帯設備に西洋風な意匠が施されているものは、初めて見ました。

取水塔内部

取水塔内部

その取水塔内部を見学させていただきました。上・中・下段から取水できるようになっており、現代のダムでいう選択取水設備をシンプルにしたらきっとこんな感じなんだろうな、という印象の造りです。

天端より下流を望む

天端より下流を望む

天端から下流に目をやると、いわゆる減勢工の部分に見たこともない構造物がジグザグに設置されています。今では使われていないそうですが、何でもこれは水をジグザグに流す事によって、不純物を沈殿させる効果があるのだそうです。

また、一番奥に斜めにパイプが通っていますが、これは先ほどの暗渠引水からのパイプだそうです。

右岸より堤体を望む

右岸より堤体を望む

こうして見ると、ややアーチを描いているのがわかりますが、あくまで立ヶ畑ダムは重力式コンクリートダムです。重力式アーチダムでも、ましてやアーチダムでもありません。

右岸下流側より堤体を望む

右岸下流側より堤体を望む

歴史と風格あるダムの直下までやってきました。ここは特別に許された者しか入れない神聖にして不可侵の場所です。あ、いや単に水道局に許可を取っていただければ大丈夫だと思います。別にダムが好きじゃなきゃ入っちゃダメ!とか言っていませんからね!

右岸下流側より堤体を望む

右岸下流側より堤体を望む

いま少し天気が良くって撮影技術が良ければ、もっと味わい深い写真になるのでしょうに、自分の腕を呪うばかりです。せっかくの被写体が勿体無いです。

下流より堤体を望む

下流より堤体を望む

堤体の手前にモノリスのように立つ障壁が、何ともこれまで見たことの無いとても印象深いアングルでした。

水道橋を望む

水道橋を望む

堤体を後にして一旦市街地へ向かう事になるのですが、立ヶ畑ダムの周辺にはこうした味のある水道橋なんかもあります。ほんとうにこの周辺はこうした建築物をよく目にします。散策するだけでも十分楽しいでしょうしね。

神戸市街地を望む

神戸市街地を望む

そして市街地へとさらに向かうと、神戸市の中心部が見えてきます。もう少し見晴らしの良い所だったらきっと夜景もキレイなのでしょうね。ポートタワーもばっちり見えます。

烏原川下流

烏原川下流

そして市街地に下りてきました。ここで、はたと気が付くこの風景。数年前にニュースで見た衝撃的な映像。川で遊ぶ子どもがゲリラ豪雨による急激な増水によってあっという間に流されてしまう、なんとも痛ましい事故。実際にその事故そのものはこの烏原川ではなく、同じ神戸市を流れる都賀川で起きた事故だったのですが、それを思い起こさずにはいられず思わずシャッターを切っていました。

先ほどまで裏山のようなところにいたのに、もうここは平地。いかに神戸が山と海に挟まれた狭隘な地形である事、さらには急峻な河川がそこに流れている事を、ここを歩いてみてものすごく実感しました。

増水警報装置

増水警報装置

おそらくその事故の教訓で設置された警報装置なんだと思います。

先ほど見てきた立ヶ畑ダムは上水道用のダムで洪水調節の機能はありませんが、すぐその北にある石井ダム、天王ダム(1507-天王ダム/てんのうだむ)がなぜ必要なのか、ここを歩いただけでピンときます。それらダムは普段は水を貯めないダムですが、豪雨時にはきっと神戸市150万の人々を助けてくれるに違いありません。

ダム諸元

河川名新湊川水系石井川
目的上水道用水
型式重力式コンクリートダム
堤高33.3m
堤頂長122.4m
堤体積26,000m3
流域面積18.9km2
湛水面積11ha
総貯水容量1,248,000m3
有効貯水容量1,213,000m3
ダム事業者神戸市
本体施工者神戸市直営
着手年1901年
竣工年1905年
ダム湖名烏原貯水池(からすはらちょすいち)

その他の設備/所感

駐車場×石井ダム同様、徒歩でしか辿り着けません。
ですが散策路がありきっと良い運動にもなります。
周辺設備にも要チェック!
あ、トイレは鈴蘭台処理場でお借りできるみたいです。
あと、PR展示館もこのダムから東に入った所に
水の科学博物館という施設があります。
トイレ×
公園
PR展示館×
釣り×

立ヶ畑ダムに近いと思われる宿泊施設

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石井ダムを見学した後に、立ヶ畑ダムへ向かいました。が、堤体に辿り着くまでに面白い物件が点在しており、見所は堤体だけでなかったのがとても印象的でした。今まで見てきたコンクリートのダムとは明らかに一線を画す石張りのダム。きっと明治の人もこの写真とあまり変わらない風景を見ていたに違いない。
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