滋賀県のダム

1351-犬上川ダム/いぬかみがわだむ

4.0
滋賀県のダム
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所在地:滋賀県犬上郡多賀町大字萱原

左岸より堤体(ダム湖側)を望む

左岸より堤体(ダム湖側)を望む

彦根ICより国道306号線を南下し、多賀大社を抜けてひたすら細く長い県道を走ると犬上ダムが見えてきます。犬上ダム下流の集落はとても雰囲気の良いところで、言ってみれば「なごみ系」の集落といったところでしょうか?
しかしそんな風情とは裏腹に堤体には3人ほどの原チャリ兄ちゃんがタバコを吹かしていて(しかもどう見ても高校生)、最初は堤体に近づけず、一旦通過して、まずは遠くからダムを眺めました。ダムは常に危険と隣り合わせです(謎)

左岸よりゲートを望む

左岸よりゲートを望む

赤いローラーゲートがとても印象的です。ただ泥が付着していて、ちょっと汚い印象も受けますね。

天端より取水口を望む

天端より取水口を望む

さて、原チャリ兄ちゃんたちもいなくなった事なので、取材を続行です。
堤体には駐車場が無く、県道も幅が狭いので路駐するわけにもいかず、左岸天端にバックで侵入してそこに車を停めるスペースをちょっと拝借しました。ちなみに下の写真を見ればお解かりいただけると思いますが、天端は自動車の通行が禁止されており、ブロックで進入できないようになっています。

天端よりダム湖を望む

天端よりダム湖を望む

なかなか風光明媚なところです。小さなダムとこの風景はとてもマッチしていると感じました。これで温泉街だったら言うことなしです。

天端より遺構を望む

天端より遺構を望む

建設当時の遺構で建設用クレーンの基礎の跡だと思います。ちょっと朽ちかけていて、写真では見難いのですが、この遺構の左側では土砂が崩れかけていました。

天端より減勢工を望む

天端より減勢工を望む

減勢工はやや丸みをおびていて変わった感じの印象を受けました。

天端よりゲート操作室を望む

天端よりゲート操作室を望む

ゲート操作室も丸みをおびていて、アールヌーボー調に仕上がっています(嘘)古臭さを感じつつもかわいらしい(?)印象です。

ゲートに関する銘版

ゲートに関する銘版

ゲートの製造は昭和47年(1972年)・・・と言うことはダムの竣工が1946年なので、それよりも随分後に造られたことになりますね。それとも既存のゲートをこの年に新しくしたのでしょうか?
ちなみに左下にある落書きですが、これと同じものを宇曽川ダムや永源寺ダムでも見つけたので、昔からダム巡りをする人がいたんだなぁ・・・と妙に感慨にふけったりしました。

天端よりゲートを望む

天端よりゲートを望む

横長のゲートなので、ファインダーになかなか入らず苦労しました。やっぱりゲートは赤に限りますね。

天端より下流を望む

天端より下流を望む

地質の関係か、水が茶色く濁っています。とは言え、この風景にマッチした色だと思います。黒部ダムのような綺麗な緑よりはこっちの方が似合ってます。

記念碑

記念碑

右岸に移ると記念碑がありました。
なんだか歴史の重みを感じる石碑です。ダム便覧では「犬上ダム」となっていますが、この石碑によれば「犬上川ダム」となっています。戦争によって建設が中止になったということなので、当時の苦労が偲ばれます。

犬上川ダム
起工 昭和9年5月
完工 昭和21年12月
途中大東亜戦争ノタメ
資材不足シ中断ス
標高 254米
堰堤 高サ45米 延長135米
貯水量 450万平方米
設計施工 滋賀県
88才 大槁源太郎書

右岸ダム湖側より堤体を望む

右岸ダム湖側より堤体を望む

さらにこの地域は昭和初期に、水利権を巡り争いが絶えず、農民同士の紛争の種になったそうです。そんな争いを収める目的もあるダム建設だったのにもかかわらず、戦争や用地買収、水没地域の補償交渉にと、いろいろな要素で建設が難航したそうです。

右岸より天端を望む

右岸より天端を望む

ご覧の通り天端は自動車の通行が禁止されています。左岸にもこのようなブロックが設置されています。

左岸より天端を望む

左岸より天端を望む

左岸下流側より堤体を望む

左岸下流側より堤体を望む

ダム諸元

型式粗石コンクリート直線式重力ダム
目的かんがい用水、発電
堤高45m
堤頂長135m
堤体積69,650m3
越流部標高254m
流域面積32.3km2
湛水面積3ha
総貯水容量4,500,000m3
有効貯水容量2,500,000m3
洪水吐鋼製シェル構造ローラーゲート
(1)径間21.10m 扉高2.5m 2門
(2)径間5.00m 扉高2.5m 1門
河川名淀川水系犬上川
着手年1934年
竣工年1946年
アクセス名神高速彦根IC下車後左折→国道306号線南下
名神高速の高架を2回くぐり敏満寺交差点の次の信号交差点を左折
県道226号線を南下
途中県道34号線への二股路があるので、
それを右方面へ→あとは道なりにまっすぐ
堤体近くの集落周辺は道が狭いので通行には十分気をつけてください。

その他の設備/所感

規模も小さく、特にこれといって設備も整っていないダムですが、様々な見地から見学すると良いダムでしょう。個人的にオススメなダムです。

駐車場×
トイレ×
公園×
PR展示館×

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この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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