ダムログ

令和5年度木曽三川連合総合水防演習を見学しました

令和5年度木曽三川連合総合水防演習を見学しました ダムログ
この記事は5分で読めます。

2023年5月21日の開催でしたが、すっかり10ヶ月近く経ってしまいました💦 どうもダムログの時間です。

ダムが好きであれこれやっていると色々と気になることがあったりします。その一つが「水防演習」です。毎年出水期の前に主に国土交通省などのSNSアカウントでお知らせされるイベントです。

イベントといっても遊ぶイベントではありません。「演習」ですから実践形式の訓練なのです。それも国内有数の河川である木曽川・長良川・揖斐川下流域の地域が連合して総合的に水防を行う演習です。演習名を見ただけでも大規模なんだな!ということが感じられます。

会場は木曽川と長良川の間、国営木曽三川公園東海広場西エリアと呼ばれる場所で実施されました。大型スクリーンが用意され、たくさんの関係者が整列するのでかなり広く取られています。

メイン会場
メイン会場

会場内には緊急車両が展示されていました。ウニモグ欲しいですよねー。中型免許で乗れるらしいのでぼくも運転できます!

U4023 ウニモグ(高性能機動救助車)
U4023 ウニモグ(高性能機動救助車)

国土交通省中部地方整備局木曽川下流河川事務所所属の照明車。夜間の災害現場などでその能力を発揮します。フロントに「木下照明3」と書かれていますが、「木」曽川「下」流河川事務所で「木下」なんですね。

照明車
照明車

総排水量は毎分30㎥という排水ポンプ車です。豪雨時に冠水した場合などに活躍します。

排水ポンプ車
排水ポンプ車

演習には陸上自衛隊も参加していますので、第35普通科連隊所属の高機動車。奥にはオートバイも見えます。

高機動車
高機動車

そしていよいよ開会式。大村愛知県知事も来賓として出席されていました。

開会式
開会式

開会式が行われている手前には月の輪工と釜段工の準備がされていました。

開会式の様子と月の輪工・釜段工会場
開会式の様子と月の輪工・釜段工会場

色んなことが同時並行で進みます。記者会見やウェブ会議システムを用いた危機感共有が行われつつ、会場の傍らでは洪水・高潮対策のためのボートの組み立てが行われていました。

舟艇組立
舟艇組立

国土交通省河川パトロールカーによる河川巡視。これで情報収集を行います。また、並行して堤防脇では土嚢を準備する土嚢拵え(こしらえ)も行われます。津島市の藤浪中学校の生徒さんも拵えていました。

河川巡視
河川巡視

このタイミングで緊急速報のエリアメール配信も行われ、スマートフォンが一斉に鳴り出します。

緊急速報が配信されることは、事前にあちこちで周知されていたのですが、残念ながら知らなかった人が多かったようで、「木曽川氾濫」というキーワードがTwitterでトレンド入りしてしまいます。地元でも回覧板が回っていたんですけどね。まぁ、若い人は見ないか。自治体や国交省などのアカウントはフォローしてないでしょうし。

「木曽川氾濫」トレンド入り。緊急メールの配信訓練で取り違える人続出。河川事務所「可能な限り周知した」
配信訓練は自治体の公式Twitterや広報などで事前周知されていたが、把握していなかった人も多かったようだ。

でもどちらかというと防災に関して興味関心が薄いんでしょうね。「訓練」という文字を見逃しているあたり、冷静さも足りない人が多いように感じました。まぁ、ある意味色々と浮き彫りになって良かったとも言えますが。

そして釜段工の施工。こういうのが見たかったんですよね。他にも月の輪工やシート張り工も隣では行われていました。

釜段工の様子
釜段工の様子

Car-SATによる被災状況調査。Car mounted mobile SATellite communications systemでCar-SAT。ベース車両はトヨタ RAV4ですね。Car-SATは国土交通省の仕様書によれば「移動中のカメラで撮影した映像を通信衛星経由で基地局にリアルタイムで伝送するシステムであり、移動中の車両等から通信衛星を介して統合通信網へ接続された基地局へ映像/音声/位置情報/監視情報を、基地局から移動中の車両等へ音声/制御情報を伝送するもの」だそうです。

Car-SAT(移動型衛星通信設備)
Car-SAT(移動型衛星通信設備)

さらにドローンも出動。

ドローンによる被災状況調査
ドローンによる被災状況調査

排水ポンプ車による排水も行われています。訓練なので長良川からポンプアップした水を、バッファのために一旦コンテナに貯めて、またそこから排水しているようです。(違ってたらごめんなさい)

排水ポンプ車による排水
排水ポンプ車による排水

ヘリコプターも登場します。これも被災状況調査ですね。

ヘリコプター
ヘリコプター

国土交通省の道路パトロールカー、愛知県警のパトロールカー、消防の指揮車、工作車、救急車が続々とやってきます。

続々と緊急車両が
続々と緊急車両が

土砂崩れが起きているようです。たいへん!人が生き埋めに!

土砂崩れを想定
土砂崩れを想定

生き埋めになった人を救助し、救急搬送します。

被災者搬送
被災者搬送

要救助者を救出した後は、崩れてしまった土砂をユンボで除去します。

道路啓開
道路啓開

これで無事に緊急車両が通行できるようになりました。

道路啓開完了!
道路啓開完了!

本当に堤防を壊すわけにはいきませんので、会場内に堤防に見立てた盛土をつくって、そこからブロックを落とす作業が行われました。

決壊堤防の荒締め切り
決壊堤防の荒締め切り

巨大なコンクリートブロックが転がり落ちる様はすごいですね。

他にもあちこちで色んな演習プログラムが行われていますが、1人ではさすがに全部を抑えきれませんでした。実際の災害でも色んなことが同時並行で起きるので当然と言えば当然ですね。

また、こうして演習を行うことで、いざ水害が発生した時に、行政だけでなく建設業界や医療関係者などが一致団結して対処できるようになっているということがよく分かりました。今回の目的も「水防技術の向上・伝承及び水防知識の普及と理解、水防意識の向上を図ること」とありますので、従来の対策だけでなくCar-SATなど日々新しい技術が取り入れられているということもよく分かりました。

水防演習は毎年どこかで必ず行われますので、機会があれば見学してみると良いでしょう。

この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

ダムペディアをフォローする

コメント

タイトルとurlをコピーしました