岩手県のダム

0235-石淵ダム/いしぶちだむ

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0235-石淵ダム/いしぶちだむ 岩手県のダム
0235-石淵ダム/いしぶちだむ
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取材日:2012/9/15(土)

7年分のストックがあるため最新のダム情報ではないことから恐縮至極ですが、ただこの石淵ダムについては今では幻のダムとなってしまったため、今回の公開はメモリアル的な意味も含まれていると思っていただければと思います。

本記事は日本ダム協会主催の胆沢ダム・石淵ダム見学会に参加した際の模様です。この翌月、石淵ダムは胆沢ダムに引き継がれ、ダムとしての役割を終えるわけですが、私にとって最初で最後の訪問となってしまったダムでもあります。しかも東北地方で初めて訪問したダムなのです。

胆沢ダム資料館

初めての東北にワクワクしながら京都のダム愛好家2名と私の自宅で合流して、夜中の23時頃に愛知を出発。東北道で渋滞に巻き込まれながら10:40頃に到着。確か集合時間は10時だった気がしますが見事に大遅刻…。知ってたけど東北は遠かった。それでも3人が運転を交代しながらだったので、疲労感が軽減できたのは良かったです。

胆沢ダム資料館
胆沢ダム資料館

ちなみに胆沢ダム資料館は今では奥州湖交流館として生まれ変わっています。

胆沢ダム資料館敷地内にあるタイヤ

時間通りに集合した方々は先行して石淵ダムにいるわけですが、マイクロバスが私たちを迎えに戻ってくることになっていました。戻ってくるまで時間があるため胆沢ダム資料館を見学します。

胆沢ダム資料館敷地内にあるタイヤ
胆沢ダム資料館敷地内にあるタイヤ

胆沢ダム資料館の内部

たぶんもう今では全然違う姿になっていると思いますが、内部には大きなジオラマなどが設置されており、胆沢ダムについて学習できるようになっていました。その後バスが到着して石淵ダムに向かいました。

胆沢ダム資料館の内部
胆沢ダム資料館の内部

石淵ダム管理支所

胆沢ダムを横目にしつつやって来ました石淵ダム。管理所の銘板はどうなったんでしょうね。

石淵ダム管理支所
石淵ダム管理支所

下流の仮設の橋よりゲート操作室を望む

おや?誰かピースサインをしていますね。

下流の仮設の橋よりゲート操作室を望む
下流の仮設の橋よりゲート操作室を望む

仮設の橋より洪水吐を望む

中央にローラーゲートの常用洪水吐が2門、左右両側に2門ずつラジアルゲートの非常用洪水吐が配置されるという完全なシンメトリ。

仮設の橋より洪水吐を望む
仮設の橋より洪水吐を望む

仮設の橋より堤体を望む

荒々しい堤体です。石淵ダムは日本のTVAとも言われた北上川上流5大ダム計画によって建設された5つのダムのうち最初に完成したダムです。

仮設の橋より堤体を望む
仮設の橋より堤体を望む

堤体の盛り立てには、堤体上に鉄橋とレールを通し、トロッコからロック材を投げ落とすという今では考えられない投石射水工法が用いられたそうです。しかも橋脚はそのまま堤体内に埋めてしまっているんだとか。

最後まで見守り続けたCCTV

これらは水没する前に撤去されていると思いますが、ちょっとした機材も最後なんだなと思うと感慨深いものがあります。

最後まで見守り続けたCCTV
最後まで見守り続けたCCTV

移転を示す看板

この辺りに石淵ダム建設で亡くなった方々のための慰霊碑があったようですが、一時的に胆沢ダム学習館に移設されたようです。現在は1基のラジアルゲートとともに石淵ダム広場に移設されています。

移転を示す看板
移転を示す看板

左岸より下流側の堤体を望む

戦後の胆沢扇状地の田畑を潤し、洪水から人々を守り、電気を灯してきた石淵ダムが間もなくその役割を終えようとしています。

左岸より下流側の堤体を望む
左岸より下流側の堤体を望む

左岸より旧国道397号線を上流方向に望む

この旧国道も水没してしまうことに。

左岸より旧国道397号線を上流方向に望む
左岸より旧国道397号線を上流方向に望む

石淵ダムの看板

ダム巡りやドライブをしている人に案内し続けてきたこの看板も役割を終えます。

石淵ダムの看板
石淵ダムの看板

左岸よりダム湖を望む

取水塔からそのまま水を流しているため、水位が下がっている状態です。胆沢ダムの試験湛水が始まれば石淵湖どころか堤体も水没してしまうわけですが…

左岸よりダム湖を望む
左岸よりダム湖を望む

左岸よりゲートの通路を望む

ここは天端と言って良いのか分かりませんが後付のような通路です。

左岸よりゲートの通路を望む
左岸よりゲートの通路を望む

ゲートの通路より下流を望む

ここから何度水を吐いたことでしょう。

ゲートの通路より下流を望む
ゲートの通路より下流を望む

ゲートの通路よりダム湖を望む

右の淡いピンクの建物は取水塔になります。さらにその右手にあるのは屋上が展望台になっている艇庫です。

ゲートの通路よりダム湖を望む
ゲートの通路よりダム湖を望む

ゲート操作室の出入口より天端を望む

なんとなく天端が歪んでいるように見えます。

ゲート操作室の出入口より天端を望む
ゲート操作室の出入口より天端を望む

ゲート操作室内部

何度と無くゲートを動かしてきた巻き上げ機や機材たち。時間が許されるのならずっと見ていたいですね。

ゲート操作室内部
ゲート操作室内部

石淵ダム機側操作要領

管理所から操作できない時はここでこれを見ながら操作したりしたのでしょうか。

石淵ダム機側操作要領
石淵ダム機側操作要領

古いゲートの銘板

ゲート操作室の奥深くに保管されていた古いゲートの銘板。これ欲しいなぁ、などと思いながら撮影。

古いゲートの銘板
古いゲートの銘板

ゲート操作室の窓から下流を望む

何もかもが初めての風景なのに、もう見ることが出来ない風景かと思うと、もっと何度も訪問すればよかったと後悔の念しか出ません。それだけにしっかりとこの風景を目に焼き付けます。一番奥に白く見えるのは胆沢ダムの堤体。

その手前に崩壊した山が見えますが、平成20年(2008年)の岩手・宮城内陸地震の際に受けた傷跡です。

ゲート操作室の窓から下流を望む
ゲート操作室の窓から下流を望む

天端を右岸方向に望む

この写真では分かりにくいですが、その地震では天端が波を打つように変形してしまいました。右岸のアバットメント周辺も崩れてしまって一部山肌が露出しているのが分かるかと思います。

天端を右岸方向に望む
天端を右岸方向に望む

排水塔とトラス橋

石淵ダムで珍しかったのはこの排水塔。取水塔とは異なり、建設時の排水を目的とした塔です。建設後も排水する役目を負っていたようですが、ほとんど利用されなかったようです。

排水塔とトラス橋
排水塔とトラス橋

排水塔とトラス橋

しかしこの排水塔も地震によって破損してしまいます。

排水塔とトラス橋
排水塔とトラス橋

右岸より下流側を望む

堤体もリップラップが波を打ってしまっています。ただロックフィルダムということで、実際には揺れたことによって沈下してより締め固められたのだとか。

右岸より下流側を望む
右岸より下流側を望む

右岸よりダム湖側を望む

また、石淵ダムはロックフィルダムの中でも貯水池側をコンクリートで固められた「コンクリート表面遮水壁型ロックフィルダム(CFRD)」という形式なのですが、遮水壁は損傷を受けることもなく、しっかりと水を遮っているのでした。

右岸よりダム湖側を望む
右岸よりダム湖側を望む

石淵ダムに設置された地震計では震央に近かったこともあり震度7を示し、ダム天端の上下流方向1,461gal・ダム軸方向934gal・鉛直方向2,070gal、ダム下流段丘面で上下流方向1,382gal・ダム軸方向2,097gal・鉛直方向1,748galの最大加速度を記録していたそうです。(天端の地震計はロック材がズレていたため誤差がある可能性が高いとのこと)

右岸より天端を望む

この辺りも被害を受けたのか綺麗に舗装がなされガードレールも新しいようです。

右岸より天端を望む
右岸より天端を望む

右岸よりダム湖側の堤体を望む

それにしてもこれだけの被害を受けながら、ダムの機能が失われずに済んだというのは日本のダム技術の素晴らしいところだと思います。しかも見学したこの年の前年は東日本大震災にも罹災しているのです。

右岸よりダム湖側の堤体を望む
右岸よりダム湖側の堤体を望む

右岸よりダム湖と堤体を望む

特別に水位の下がったダム湖の中に入らせていただきました。もう2度と観ることはない世界です。

右岸よりダム湖と堤体を望む
右岸よりダム湖と堤体を望む

排水塔

語彙力がなさすぎて「おー」とか「すげー」ぐらいしか言葉が出てきません。

排水塔
排水塔

洪水吐のあたりよりダム湖側の堤体とダム湖を望む

再び左岸まで戻ってきました。こうして見ると遮水壁は損傷を受けていたなかったことが分かります。

洪水吐のあたりよりダム湖側の堤体とダム湖を望む
洪水吐のあたりよりダム湖側の堤体とダム湖を望む

放流注意看板

間もなく知らせる必要がなくなる放流注意看板。

放流注意看板
放流注意看板

石淵ダム展望台

艇庫兼展望台に登ります。

石淵ダム展望台
石淵ダム展望台

展望台より取水塔を望む

この取水塔は発電用の取水塔で電源開発で最初に造られた水力発電所でもある旧胆沢第一発電所に送水されていました。しかし胆沢ダム建設に伴い取水塔ともども役割を終え、新設された胆沢第一発電所にバトンタッチされました。

展望台より取水塔を望む
展望台より取水塔を望む

展望台よりダム湖側の堤体を望む

もう何もかもが初めてなのにもう見れなくなってしまうのが辛いところ。でも水位が下がるとひょっこり出てくるのです。

展望台よりダム湖側の堤体を望む
展望台よりダム湖側の堤体を望む

下流より堤体を望む

下流側に移動します。

下流より堤体を望む
下流より堤体を望む

リップラップ

地震によって波を打ってしまったリップラップ。荒々しいというか痛々しいというか…それでもダムの役割として最後までしっかりと担ってきていたのです。

リップラップ
リップラップ

堤体下流面より下流を望む

真ん中あたりに水が貯まっている箇所がありますが、排水塔からの隧道がここにつながっていたようです。排水塔は機能していないため、雨水が単に貯まるのか胆沢川から逆流してきた水が滞留しているのかもしれません。

堤体下流面より下流を望む
堤体下流面より下流を望む

右岸下流より堤体を望む

最後の最後までしっかりとこの風景を目に焼き付けます。

右岸下流より堤体を望む
右岸下流より堤体を望む

下流のダムサイト入口

そして一行は石淵ダムを後にします。

この後、石淵ダムは9月30日から10月1日にかけて襲来した台風17号により、最後の洪水調節を行うことになります。しかも本来であれば9月30日でその役目を終え、10月1日で胆沢ダムに引き継がれる予定だったのですが、台風によって引き継ぎの延期を余儀なくされます。

下流のダムサイト入口
下流のダムサイト入口

そして10月4日に胆沢ダムへの引き継ぎ式が行われ、石淵ダムは洪水調節やかんがい用水や発電の60年に渡る仕事を終えることになりますが、実は胆沢ダムの貯砂ダムとして沈んでもなお働くことになります。

今ではもう胆沢ダムの水位が下がった時にしか堤体やゲートピアの一部しか観ることの叶わない石淵ダムですが、戦後の胆沢扇状地を支え続けた古老のダムが今でもな胆沢ダムの一部となって活躍していることを気に留めていただけたら幸いです。

石淵ダム諸元

所在地岩手県奥州市胆沢区若柳字尿前
河川名北上川水系胆沢川
目的F(洪水調節、農地防災)
A(かんがい用水)
P(発電)
型式R(ロックフィルダム)
堤高53m
堤頂長345m
堤体積443,000m3
流域面積154km2
湛水面積108ha
総貯水容量16,150,000m3
有効貯水容量11,960,000m3
ダム事業者東北地方建設局
本体施工者西松建設
着手年1945年
竣工年1953年
ダム湖名石淵湖

その他の設備/所感

以下は石淵ダム広場と石淵堰堤史料室として表記しています。石淵堰堤史料室は胆沢ダム管理支所1Fにあります。

駐車場
トイレ△(胆沢ダムを利用)
公園
PR展示館
釣り

石淵ダム周辺の地図

石淵ダム広場として表記しています。

石淵ダムに近いと思われる宿泊施設

参考文献

この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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