ア行ダム入門ダム用語

異常洪水時防災操作

平成30年西日本豪雨時の野村ダムの洪水貯留結果(出典:国土交通省四国地方整備局河川部) ア行
平成30年西日本豪雨時の野村ダムの洪水貯留結果(出典:国土交通省四国地方整備局河川部)
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読み方 : いじょうこうずいじぼうさいそうさ
別名 : ただし書き操作・但し書き操作・緊急放流・特例操作
英語 : ―

異常洪水時防災操作いじょうこうずいじぼうさいそうさとは、洪水調節時こうずいちょうせつじ洪水時最高水位こうずいじさいこうすいいサーチャージ水位)をえると予測よそくされるさいに、ダムからの放流量ほうりゅうりょう流入量りゅうにゅうりょうを超えないりょうまで徐々じょじょ増加ぞうかさせ、「流入量=放流量」とする操作そうさのこと。実際じっさいの操作はダム湖の水位が異常洪水時防災操作開始水位(ただし書き操作開始水位)にたっしたのち実施じっしされる。

なお「流入量=放流量」の状態じょうたいはダムが建設けんせつされる以前いぜんの状態とおおむ同一どういつであるため、「ダムが異常洪水時防災操作により放流したから下流かりゅう被害ひがいおよぼした」と報道ほうどうされるのは大きなあやまりであり、「大雨おおあめったから下流に被害を及ぼした」と報道すべきである。

また「異常洪水時防災操作」はかつて「ただし書き操作」と呼ばれていたが、報道機関等ほうどうきかんとうからわかりにくいとの指摘してきや洪水時における誤解報道ごかいほうどうもあり、平成23年(2011年)4月1日に「異常洪水時防災操作」に見直された。

「ただし書き操作」においては、各ダムの操作規則そうさきそくに「ただし、気象きしょう水象すいしょうその他の状況じょうきょうによりとく必要ひつようみとめる場合ばあい」と書かれていたのがその名称めいしょう由来ゆらいである。

最近さいきんでは「緊急放流きんきゅうほうりゅう」という用語ようごを報道機関等が利用りようすることがあるが、「異常洪水時防災操作」「ただし書き操作」とおなじ意味である。「緊急放流」という言葉ことばがセンセーショナルにかんじるためか、洪水調節のために満水まんすいまで貯留ちょりゅうした分の水も一気いっきに放流すると勘違かんちがいされるケースも散見さんけんされるが、上述じょうじゅつのとおり流入した分のみを放流するためこれも大きな誤りである。

平成30年西日本豪雨にしにほんごううさいに行われた野村のむらダムでの異常洪水時防災操作時のハイドログラフ

平成30年西日本豪雨時の野村ダムの洪水貯留結果(出典:国土交通省四国地方整備局河川部)
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平成30年西日本豪雨の際に行われた鹿野川かのがわダムでの異常洪水時防災操作時のハイドログラフ

平成30年西日本豪雨時の鹿野川ダムの洪水貯留結果(出典:国土交通省四国地方整備局河川部)
平成30年西日本豪雨時の鹿野川ダムの洪水貯留結果(出典:国土交通省四国地方整備局河川部)

※2019/10/14更新:緊急放流について追記
※2019/10/26更新:報道の誤りについて表現を緩和(「概ね」の追記)、緊急放流についてさらに追記

この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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