今年も東北大学の田中秀治教授が調査・取材された只見川電源開発(奥只見ダム・田子倉ダム)について、「只見川に巨大ダムを築け」と題してオンライン公開講座が行われる。どうやって築かれたのか、社会背景、地域状況、土木技術など、様々な視点から解説をされる。
申し込み期日を迎えているが、問い合わせ先の電話やメールで直前まで受け付けているとのことなので、期日に間に合わない場合や急遽時間が空いてしまった場合は聴講してみてはどうだろうか。
リカレントのため社会人向けの教育講座となるが、田中教授からはダム有識者だけでなくダム愛好家の方にもぜひに、とのことだ。興味のある方はぜひ参加してみてはどうだろうか。
奥只見ダム・田子倉ダムだけでなく小坂鉱山や仙台亜炭などの講座も日程に組まれているので、身近な技術の発展の歴史などを学ぶことができる内容になっている。
近代技術史学
- 申込期日:2023年9月8日(金)
※申込に関する問い合わせ受付時間は、平日の11時半から13時半を除く9時から16時まで。
※期日を過ぎても開講日の直前まで受付。申し込み下記問い合わせ先まで。 - 申込方法:申込Googleフォーム(下記)にアクセスし、必要事項をすべて記入
- 申込先:公開講座(リカレント教育講座)申込Googleフォーム(要Googleアカウント)
- 講座日程:2023年9月13日(水)~9月15日(金)
- 時間数:18
- 講習料:0円
- 募集人数:100人
日程など(以下、原文ママ)
2023年9月13日(水曜日)
午前 8:50~ 小坂鉱山物語(田中 秀治 教授)
小坂町、秋田県最北に位置するこの町には、明治期の絢爛な洋館や回り舞台のある歌舞伎小屋があります。なぜ山間の町にそのようなものがあるのでしょうか。この謎を解き明かす物語は150年に渡る小坂鉱山の歴史です。かつて小坂には東洋一の銅山と秋田県第二の近代都市がありました。時代の荒波をくぐり抜けてきた小坂鉱山は30年程前に閉山しましたが、今も金銀等を産出しています。それはなぜでしょうか。栄枯盛衰の壮大な物語を聞き終えたとき、小坂が日本有数の企業群の濫觴となったこともわかるでしょう。
午後 13:00~ 超音波・圧電デバイスの技術史(門田 道雄 シニアリサーチフェロー)
超音波・圧電デバイスは、携帯電話やスマートフォンの中で周波数を選択するフィルターとして広く使われています。この技術は本学と関わりが深く、本学の技術なしに現在の携帯情報通信は成り立たないと言えます。門田先生は本学の修士課程を修了後(その後、論文博士制度で学位を取得)、村田製作所にて弾性波フィルターの技術を立ち上げ、同社のシェアを世界一にした立役者ですが、本講義ではその開発史を解説します。技術者・研究者として大きな仕事をするとはどういうことか、その好例に触れることができます。
9月14日(木曜日)
午前 8:50~ 都市の皮下記憶・仙台亜炭(伊達 伸明 非常勤講師 = 京都芸術大学・教授)
石炭の代替燃料として近隣の山から自前で調達され、特に戦中戦後のモノのない時代の暮らしを支えた「仙台亜炭」。採掘の痕跡は宅地開発等でほぼ消滅しましたが、わずかに残る山野の痕跡をたどると、おぼろげながらも往時の様子が浮かび上がります。2012年に予備知識ゼロから始まったリサーチの経緯と明滅を続けつつも次第に遠のく「都市の皮下記憶」を紹介します。
午後 13:00~ 記録技術の歴史(戸津 健太郎 教授)
マイクロシステム融合研究開発センター(西澤潤一記念研究センター内)の「近代技術史展示室」に展示してある歴史的機器に関連して、特に記録技術の歴史を同センターの戸津先生が講義します。それらの歴史的機器の原理が、現在の技術としてどのように活かされているかという視点でも解説します。
9月15日(金曜日)
午前 8:50~ 只見川に巨大ダムを築け(田中 秀治 教授)
戦後、電力不足が叫ばれる中、只見川の上流部に巨大ダムを建設する計画が持ち上がった ― 奥只見ダムと田子倉ダム、これらの巨大ダムがどうして、また、どうやって築かれたのか、社会背景、地域状況、土木技術など、様々な視点から解説します。また、奥只見ダムと田子倉ダムを題材・舞台とする小説「沈める瀧」、「黄金峡」、「無名碑」、「ホワイトアウト」の中で、両ダムやその建設がどのように描かれているかを実際と比較しながら紹介します。それらをもって、昭和30年代に東北地域の戦後復興の象徴にもなった巨大プロジェクトの光と影に迫り、また、様々な困難に立ち向かったエンジニアや建設作業員の苦労や情熱を感じてもらいます。
午後 13:00~ 集積回路の技術史(湯之上 隆 非常勤講師 = 半導体評論家・ジャーナリスト)
半導体評論家として活躍されている湯之上さんによる半導体集積回路の技術史の講義です。特に、かつて世界一を誇った日本の半導体産業が、どのように、また、どうして苦境に陥ることになったのか、半導体技術者としての自らの経験も踏まえ、技術、経営、戦略などの多面的な観点から詳しく解説します。また、今後、日本の産業がどうしたらよいのかを各自が考える材料も提供されます。本年度のトピックスとしては、米国・日本・オランダによる中国への半導体製造装置の輸出規制、苦境に陥っている韓国の半導体メーカー、「2027年までに2 nmを量産する」と発表した日本の新会社ラピダスなどを取り上げる予定です。
問い合わせ先
東北大学工学部・工学研究科 教務課大学院教務係
TEL:022-795-5820 FAX:022-795-5824
E-mail:eng-koukai◎grp.tohoku.ac.jp(◎を@に置き換えてください)
コメント