取材日:2015/2/18(水)
新成羽川ダムは中国電力が所有する重力式アーチダムで、戦後急速に発展した工業地帯への電力供給のみならず、工業用水の供給も担っています。新成羽川ダムは平日であれば事前申込で見学可能だということで、ダム愛好家仲間にお誘いいただき見学してきました。
新成羽川発電所PRホール
まずは新成羽川発電所PRホール内で説明を受けました。
新成羽川ダムの下流には田原ダムがあり、この貯水池とで揚水発電が行われています。また、田原ダムの下流には逆調整池ダムとして黒鳥ダムがあります。
クレスト放流が行われた時の写真が掲示されていました。ものすごい大迫力です。実際に見てみたい気もしますが、その時はきっと本気の豪雨でしょうから迂闊に近づけないんでしょうね。
発電所の内部がどうなっているのかがよく分かる模型です。
さらに発電機と水車部分を拡大した断面模型もあります。
いざ堤体下流面へ
PRホールを出て堤体下流面へと向かいますが、フランシス水車のランナーが展示されているのをじっくりと見ます。
さらにランナーの下に潜ってみます。
ランナーの中央を真下から見ています。なかなか見ないアングルです。
いよいよ新成羽川ダムの堤体下流面へと近づきます。朝方は冬空でしたが見事に晴れてくれました。
普段なら立ち入ることなどできない導流部。禁断の地に足を踏み入れています。それもオフィシャルに。来て良かった…
左岸に水圧鉄管と変電所が見えます。来て良かった…
似たようなアングルばかりで恐縮ですが、時間を忘れてずっとここにいたかったですね。来て良かった…
シュート部のギリギリ先端から下流を見ています。色々とあり得ないアングルです。来て良かった…
同行したダム愛好家仲間に撮ってもらいました。めちゃくちゃ記念になりました。来て良かった…
土砂吐だったと思いますが、8年前ですっかり忘れてしまっています。ちなみにこの時、ぼくが被写体になって撮ってもらった写真が日本ダム協会のフォトコン「第13回D-shot contest 最優秀賞」に選ばれています。ぼくが撮ったんじゃなくて撮られた側です。でもなんだか自分のことのように嬉しいですね。
いかにダムが巨大であるかを示す写真です。人物があんなに小さい。
こんなの絶対ありえないアングルです!!だって!!ここを水が流れるかも知れないんですよ!!!!(大興奮)
完全にカッコイイを超越してなんと表現して良いのか語彙が見当たりません。語彙力の問題ではありません。それを示す語彙がないのです。
堤体がカッコよすぎてガントリークレーンがモブキャラに見えてきます。
発電所内部へ
興奮冷めやらぬまま発電所の内部へと導かれていく一行。
発電所の玄関です。
発電所の内部です。一部で点検が行われていました。
貴重な写真の数々
建設時からの様子がわかる貴重な写真が多数展示されていました。
断面図
電動機の断面図。手書きなのがすごいです。
こちらはポンプ水車の断面図(左)。表や水車のイラストに「普通水車」と「ポンプ水車」と書かれているのは、1号機が通常の水力発電専用の水車で、2~4号機が揚水発電用の水車で汲み上げを必要とする可逆式だからですね。
どれが何号機なのかは失念しました。。。
事務室にハッピーエンジェルが!
続いて監査廊へ
引き続き監査廊へと案内していただきました。
右岸下部にある入口から入ります。
割りと乾燥していてきれいな監査廊でした。
奥に定礎石が埋め込まれていました。
再び外へ
発電所の資材搬入口の蓋です。ローラーで動くようになっていますが、これが開いているのを見たのは初めてだったかもしれません。
発電所で発電に使用された水が放流される箇所です。この日は点検中ということもあり放流されていませんでした。
発電におけるスイッチの役割を持つ遮断器。
PRホールに戻ってきました。
これにて見学会は終了。中国電力さま、ありがとうございました。
見学会を終え天端周辺を見学
見学会を終えてみんなで天端周辺を見学することにしました。下流から見ても大きかったですが、横から見ても大きな新成羽川ダムです。
天端は自動車の通行が可能です。重力式アーチということもありカーブになっていて、少し狭いので注意して通行する必要があります。
少し眺望は悪いですが堤体上流面になります。
左岸には撮影していませんが慰霊碑やお地蔵さまがあります。お地蔵さまは2014年のGoogleストリートビューにはなかったので最近になって建てられて(移設された?)もののようです。
機能満載な天端。一番手前が4号発電機用の取水口ゲートで鋼製キャタピラゲートになっています。1~4号機用のゲートは写真奥にあって予備ゲートがガントリークレーンで移動できるようになっています。
夜中に見たらビックリする注意看板。
天端から貯水池を見ます。手前のレールはガントリークレーン用のレールになります。
ヒヤッとする天端の隙間。誤って物を落とさないようにしましょう。
たぶんエレベーター棟だと思います。右手に階段なども見えますので、巡視ルートになっているのかもしれません。
右岸までやってきました。この先も狭隘な道路が続くようです。右の扉はリムトンネルでしょうか。
上の写真とは反対の天端方向を向いて撮影しています。
最後に右岸から。ここから離れなければならないのが辛いですが、色んな想い出をつくってくれた新成羽川ダムに感謝です。またいつか再訪しなきゃですね。
新成羽川ダム諸元
所在地 | 岡山県高梁市備中町西油野 |
河川名 | 高梁川水系成羽川 |
目的 | I(工業用水) P(発電) |
型式 | GA(重力式アーチダム) |
堤高 | 103m |
堤頂長 | 289m |
堤体積 | 430,000㎥ |
流域面積 | 625.2km2 (直接:615.7km2、間接:9.5km2) |
湛水面積 | 360ha |
総貯水容量 | 127,500,000㎥ |
有効貯水容量 | 80,500,000㎥ |
ダム事業者 | 中国電力(株) |
本体施工者 | 前田建設工業 |
着手年 | 1963年 |
竣工年 | 1968年 |
ダム湖名 | 備中湖 (びっちゅうこ) |
その他の設備/所感
駐車場というより左岸道路に広いスペースがあるので、一般的な見学の場合はここに駐車することになると思います。トイレはPRホールにありますが、通常は利用できないので×としています。
駐車場 | ○ |
トイレ | × |
公園 | × |
PR展示館 | ○(要申込。2023年9月現在休館中) |
釣り | ○ |
展望台 | × |
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