今年は黒部ダム竣工から60年という節目で黒部ダムでは様々なイベントが催されています。中でも立山黒部アルペンルートの長野県側の入口である扇沢駅がある大町市では観光協会が主体となってイベントで黒部ダムを盛り上げています。
なぜ盛り上げるのがダムのある富山側じゃないのか謎ですが、黒部ダム建設の最前線基地であった大町市だからなのでしょうね。何かと扇沢の方がアクセスが良いですし。
そして中でもぼくが注目したのは、8/3(木)・8/8(火)・8/22(火)・8/28(月)に開催された『くろよん60周年限定特別企画「黒部ダム見学会」』でした。黒部ダムの堤体内にある監査廊などが見学できるチャンス!ブラタモリでタモリさんが見学したエリアです。
しかも8/8は本業の会社の創業記念日で特別休暇になっていたため、その日をメインターゲットに応募したところ、20倍という高い競争倍率に見事打ち勝つことができました。
扇沢駅
で、やってきました扇沢駅。気がつけば9年ぶりでした。黒部ダムって移動するだけでとんでもない交通費が掛かるのでなかなか足が重いんですよね。

デジタルスタンプラリーなるものがやっていましたが、60周年とは関係なく以前から行われていたようです。全部集めてもらえる黒部ダムオリジナルグッズは電気バスのペーパークラフトでした。どうせなら堤体のペーパークラフトが良かったなぁ。

相変わらず黒部ダム(というよりアルペンルート?)は大人気で、すでに乗客が並んでいました。

扇沢駅を出発!

黒部ダム駅
到着!え?破砕帯の写真がない??はい、最前列に座れずあまり良い写真が撮れなかったのでごめんなさい。ぜひ現地まで行きましょう(笑)
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展望台へ
黒部ダムに来たら堤体以外の構造物も見ちゃいますよね。
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平日にも関わらずそこそこお客さんが来ていました。コロナによる規制が緩和され、外国人観光客もチラホラと。それにしても黒部ダムは人生で3回目の訪問ですが初めて青空を見ました。
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ちょっと飲み物を…と思い自販機を見ますが黒部ダムの堤高並みに高いですね。

8月毎週水曜日に長野県内のダムカレー提供店が黒部ダム展望台休憩所で黒部ダムカレーを提供するイベントが行われていたようです。残念ながらこの日は火曜日だったので断念するしかありません。ただ…黒部ダムに毎週来るにはおこづかいが足りません(笑)
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オマタセシマシタ!黒部ダムです!よく見かけるアングルですが、それでもやはり黒部ダムは素晴らしいです。人類の叡智の結晶という感じがして本当に素晴らしいのです。

人物と比較すると本当にその巨大さが分かります。そして、これからあの堤体の中に入るのだなぁと思うと否が応でも期待に胸が高鳴ります。

展望台と新展望台の中間まで移動しました。黒部ダム建設において外して語ることができないコンクリートバケットとケーブルクレーンのワイヤーです。これが宙を舞う姿、見てみたかったですね。ちなみに写真の中に「隠れ関電マーク」が潜んでいます。写真だと少し分かりづらいかもしれませんが、ぜひ現地でも探してみてください。

新展望台へ
続いて新展望台へと向かいます。
アーチダムとして語られることの多い黒部ダムですが、正しくはアーチ式と重力式の複合ダムとなります。左右両岸のウィング部と呼ばれる部分は自重で水圧を支える重力式、その間の中央部分がアーチ式。
元々はアーチ式として計画され、建設も途中まで行われていましたが、1959年のフランス・マルパッセダム決壊事故を受けて左右両岸の岩盤を改めて調査すると、想定以上に脆いことが判明し、建設中にも関わらず計画を変更してウィング部を設けることになります。
これにより左右の岩盤ではなく、この重力式のウィング部が支えることになる国内でも事例が稀な複合ダムとなりました。ちなみにウィング部があるアーチダムとしては、他に奈良県にある大迫ダム(右岸にのみ設置)が知られています。

新展望台に到着。どこから見ても素晴らしいのが黒部ダムの特徴です。
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観光放流(放水)に虹がかかっって良い感じに♪

新展望広場の特設会場では「黒部の物語」としてパネル展示や映像作品の上映が行われていました。
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映画「黒部の太陽」のセットのようですが本物でしょうか?
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その奥では「黒部の物語」という映像作品が上映していました。ちょうど始まるところでしたので最後まで見てしまいましたが、めちゃくちゃ感動できるので絶対見るべきです。あとDVDなりBDで販売してほしいです。

右岸ダムサイトへ
日本でいちばん有名なダムの慰霊碑かもしれません。「尊きみはしらに捧ぐ」。今回は息子も同行していましたが、二人してちゃんと手を合わせました。ぼくたちがこうして見学できるのも、尊い犠牲があったからに他ありません。

何気なく撮った下の写真ですが、実はこのあとの見学会でアテンドしていただくお二人だったことが後になって判明しました(笑)

「ダムカードくださーい」と入ってしまう方がいたんでしょうね。ふと思ったのですが、黒部ダムカードって関西電力ではなく大町市観光協会が主体的に企画して配布してたりするのでしょうか。改めて黒部ダムを訪問すると大町市の匂いがあちこちでするんですよね。

さて、そろそろ集合時間になりますので、集合場所のレストハウス3階に向かいます。

いよいよ黒部ダム60周年特別見学会!
受付を済ませてヘルメットをお借りしました。

黒部ダム駅から関電トンネルを展望台とは反対方向(大町方面)に進みます。ドキドキわくわく。

まだダムの監査廊でもなんでも無く、関電トンネルの立入禁止エリアなだけなのですが、妙なワクワク感があります。

関電トンネルを大町方面へ進めると、何も書かれていない簡素な扉があり、そこを開けて入ると突然広がる手掘りの空間。ここで黒部ダムや水力発電に関して事前に学習をするというプログラムになっています。

また、「水力発電の軌跡 ~変わらぬ使命への挑戦~」という動画を視聴しました。見学会では時間の都合でダイジェスト版でしたが、フルバージョンもYouTubeに上がっています。
トンネルを掘る様子が見事に再現されています。

下の写真については特に解説はなかったのですが、建設当時に資材運搬に歩荷(ボッカ)が使用していた背負子でしょう。20kと書かれているのは重さだと思います。撮影だけしていますが背負って体験しても良かったですね。

時間まで自由に見て良いので各々あちこち見ています。ちなみに「ケミカルトンネル」はコンクリートを打設する際に使用する薬品の試験などがここで行われていたために、そう名付けられたのではないかとのことでした。

ケミカルトンネルをひとしきり見た後は、お楽しみの黒部ダムの堤体内へ!

はい、写真はここまでです。今回の見学会において、堤体内で撮影可能な場所は指示されたところだけなのと、それもSNSなどへのUPも厳禁とかなり厳しいものだったのです。ここまでそれが見たいと読んできた方ごめんなさい。
でもすごく良かったんです。2条のハウエルバンガーバルブの中間に位置する扉からキャットウォークにほんのちょっとだけ身体を出して、眼下に見える減勢工のない黒部川。そして左右から放たれる水。写真に収めることすら許されず、目に焼き付けるしかないその光景はもう一生忘れることはないでしょう。
監査廊は歴史を感じさせる風格あるものでした。プラムラインも目の前で見せていただき、ロックテストが行われた跡も見学しました。見たものはまさに黒部ダム建設の裏側でした。ロックテストとは建設当時は世界銀行からも融資を受けていましたので、前述のマルパッセダムの事故を受けて岩盤が大丈夫であることを証明する必要があり、そのための岩盤試験のことです。
非日常感満載だったわけですが、これがこの場で写真付きで説明できないのがとても残念でなりません。テキストからその感動がうまく伝えられないのももどかしい。。。
ただ、2013年に萩原さんがデイリーポータルZでこれらを写真付きで紹介していますので、合わせてこちらをご覧ください。
50周年の時は萩原さん以外の方も写真撮影やネットへのアップロードも問題なかったそうなので、当時とは担当者が違っているから仕方がありませんが、色んな人に黒部ダムの裏側を知ってもらうチャンスなのに勿体ないな…と思いました。見学会では感想をアンケート形式で記入をお願いされましたが、写真撮影とSNSへのアップは要望として記載しました。
ならダムマイスターとして正式に取材申し込みすれば?と思われるかもしれませんが、個人的にはあまり肩書を道具に使うのは気が引けるというか、及び腰になってしまうんですよね。そもそもそれで受け入れられるのかも分かりませんし。なので、どちらかというと地道に向こうから声を掛けてくれるのを待つというスタンスだったりします。(時には攻めることもしますが)
見学会終了後
代わりに…と言ってはなんですが、天端から見た観光放水の模様です。本来であればもっと低い位置から見た光景が載せられると良いのですが…。

見学会終了後、レストハウスのレストランで昼食を取ろうとしたのですが、混みすぎて一時撤退。左岸の観光船ガルベの乗り場あたりまで往復して時間を潰します。
そしてやっと着座できたので14時少し前にお昼ごはん。息子さんは甘口ダムカレー。

ぼくは60周年記念アーチダムカレーをオーダー。どこが60周年なのか?と言ったら…どこなんでしょう(笑)

お昼ごはんを食べて黒部ダムをあとにしました。また10年後?にでも特別見学会に参加したいですね。その時はまた写真が撮れるようになってることに期待したいと思います。

おまけ
大町駅前のホテルにチェックインして晩ご飯のため移動します。大町駅前の商店街では黒部ダム60周年をお祝いしていました。


晩ご飯は黒部ダムカレー提供店のこまつうどん店さんへ。うどん屋さんなのでダムカレーではなく黒部ダムカレーうどんをチョイスしました。めちゃくちゃボリューミーでしたが美味しくいただきました。

こまつうどん店さんはサザエさんが以前OPでダムカレーを食べていたお店のようです。モデルになった場所はここかな?
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今回のお土産です。黒部ダム60周年のクリアファイルは衝動買いです。他に今回の特別見学会でアテンドしてくださった大町市観光協会の方が着ていたTシャツも欲しかったのですが、今回かなり散財しているので断念。こうしたお土産も黒部ダムならではですよね。

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