2019年11月23日に開催された「第12回ダム愛好家との集い in 阿木川ダム&矢作ダムwithダムカレー」の模様をレポートしたいと思います。
2013年2月に開催された第1回ダム愛好家との集いから気がつけばもう6年以上が経過。第11回で水資源機構中部支社管内のダムはほぼ行き尽くし(そういえば渥美半島のダムに行っていない気が…)、第12回は原点回帰ということで第1回の開催地であった阿木川ダムに戻ってきました。
阿木川ダム管理所内の会議室
阿木川ダム管理所に全員集合しましたのでいよいよ開始です。
阿木川ダム概要
まず所長さまより阿木川ダムの概要説明。写真は東海豪雨時の効果(右)と、阿木川ダムがなかった頃に東海豪雨相当の雨が降った時(左)の比較。効果は歴然ですね。
ダム管理者としての広報の課題
続いて中部支社の次長さまより本会の目的などについて改めて解説。私も含めて色んな課題があると認識しています。現場見学を希望する声が多いのと、私自身が洪水調節などの解説を得意としないので、これまで座学は行っていませんが、引き続き色々と模索は続けたいと考えています。
天端
当日は雨予報でしたが未明には雨が上がり、ものすごいブルースカイでした。さらに紅葉シーズンのピークを迎えていたのも良かったです。(写真はあまり紅葉感がありませんが)
30人を5班に分けて各施設を見学します。班分けしたことで職員の方に細かな話が聞けたと満足していただいた一方、事前に班分けするという情報をお伝えしていなかったため知らない人と一緒の班になってしまったという声もあり、ここについては今後の課題ですね。
オリフィスゲートの予備ゲート巻き上げ機
オリフィスゲートの予備ゲート巻き上げ機室のシャッターが開けられ、まるでショールームのようです。
ラジアルゲート巻き上げ機
続いてラジアルゲートの巻き上げ機室の中へ入ります。
ラジアルゲート
安全帯を付けて一人ひとりラジアルゲートを見ます。高さ8.2mx幅9.925mの大きなゲートです。点検以外では管理開始以降、一度も開けたことのないゲートです。あの東海豪雨の時ですら開けていません。フラップゲートの方を間近に見たかったという方もいましたね。
オリフィスゲート
高さ5.0mx幅5.0mの油圧式の高圧ラジアルゲートです。上部のシリンダー部分からくまなく見学させていただきました。
リムトンネル
建設時に岩盤にグラウチングといってセメントミルクを注入するために造られたトンネルです。もともとコースには入っていませんでしたが、見てみたいなという顔をみんなしていたのか開けていただくことに(笑) ちなみにこのずっと先で右に折れ曲がっているんだそうです。写真は左岸側ですが右岸側にもリムトンネルがあって、左右両岸合わせて堤頂長(362m)ぐらいの長さがあるようです。
監査廊
ここは通常の見学会でも公開されている場所のため解説パネルが掲示されています。
仮排水路の一部
建設時に使われた2本ある仮排水路のうちの1本の一部です。
管理用発電(阿木川発電所)
阿木川ダムの管理に必要な電力はこの阿木川発電所で賄われます。余剰電力は売電されているそうです。
管理所から洪水吐を望む
管理所のベランダから堤体を見ます。この場所は堤体をやや俯瞰で観ることができる良いスポットです。通常は立ち入れないので特別感がありますね。ちなみにこの日は20℃ぐらいまで急激に気温が高くなったためか、無数のてんとう虫が気持ち悪いぐらい飛んでいました。油断すると頬にくっついていたりします。
シミュレーター操作
ダム運用のシミュレーター体験をします。本番の洪水時に管理所の職員さんが、いかに緊張感を持って操作されているかを私たちが理解するために、今回は特別に体験させてもらったものです。
説明を受ける時間がないほど時間が足りなくて、よくわからない状況になっていましたが、可能なら事前教習を受けて2時間ぐらいじっくりやりたいですね。
阿木川ダム湖カレーを食べます
第1回の時と同様に防災資料館に移動し阿木川ダム湖カレーを食べます。時間が足りなくてちょっと慌てて食べることになった点と、どこで食べるのかしっかり周知できていなかったようで迷われてしまった方がいた点が反省点ですね。
矢作ダム管理所
阿木川ダム湖カレーを食べた方から矢作ダムへ移動します。
矢作ダムにて概要説明
矢作ダムの管理所の中で矢作ダムの概要説明用の動画を視聴し、所長さまより補足説明を受けます。
その後、操作室を見学させていただきました。操作室の写真撮影は禁止でしたが、ホワイトボードに平成30年の台風24号による出水時のクロノロが書き残されていたのがとても印象的でした。クロノロは戦歴の証。職員の方の誇りとして残してあるのだと思います。
監査廊
エレベーターで監査廊まで降ります。
キャットウォークへ
その後外に出てキャットウォークへ。通常の見学コースだろうと思っていたのですが、なんと当日サプライズで下流側のあちこちを見学させていただくことになりました。
常用洪水吐ゲート室
3門あるコンジットゲートのゲート室を3箇所それぞれ通り抜けます。真ん中の円筒形のものは油圧シリンダー。
コンジットゲート
こんな間近にコンジットゲートが見られるなんてすごいです。言葉になりません。
コンジットゲートの真下
一人ひとりコンジットゲートの真下を見学します。
フリーダムキャットウォーク
決められた見学コースならほぼ自由に見学できるため、小渋ダムの開放DAYイベントを思い出しました。撮影も自由なので、参加者の皆さんは思い思いに色んな場所から撮影されていました。
キャットウォークの列
皆さん楽しそうにキャットウォークを歩いています。
最後の階段
管理所へと戻る最後の階段です。通勤ではエレベーターやエスカレーターを一切使わない生活を1年近く続けてきたので、階段昇降は随分と楽になったように思います。
管理所前で参加者を見守りながら
もうじきゴールですよー。それにしても上から2段目のキャットウォークを左岸から通り抜けて一度3段目に降り、1段目まで上がって右岸から左岸に移動したわけですが、こうしてみると下流側を舐め回すように見て回ったのが分かります。
意見交換会
最後はアンケートを書いていただきつつ意見交換会や質疑応答などの時間に。
…と随分レポートを端折ったところもありますが、かなり濃密な1日だったのではないかと思います。
アンケート結果
ここからはアンケート結果のほんの一部を紹介したいと思います。また、いただいたご意見の中で私が思ったことを素直に書いてみました。
Q. 今回で12回目の集いとなりましたが、何回目のご参加ですか?
ここ最近はご新規さんも増えて、ダム愛好家の裾野が広がったという印象を強く持っています。TwitterやInstagramを見ていても感じますから、これからも広がれば良いなー、と思います。
Q. 阿木川ダムの見学はどうでしたか?(よかった点、悪かった点)
知っている人がいない班にポツンと参加になって残念でした。そういう班決めをするのであれば、申込み時に告知して欲しいです。
これはホント申し訳ありません。次回からは配慮するようにしたいですね。ただ愛好家同士の交流も目的にできればと思っていますので、知らない人でも積極的にお話されると良いかもと思いました。(と書きつつ私も人見知りが激しいので私が同じ立場だったらと考えると…)
下流直下も見たかった。ダムの紹介が長く、見学が十分な時間がなかった。
おっと下流直下は自由に行けますよ。下流の地山の頂上には神社もあったりするので、次回阿木川ダムに来られた際にはぜひ探してみてください。
他にも色んなご意見をいただきましたが、ご好評いただいたようです。
Q. 今回の「ダム愛好家との集い」の全般、はどうでしたか?(よかった点、悪かった点)
・参加者同士の交流がない。知り合い同士で和気藹々感が強かった。ダム好きの輪が広がらない。中の人と外部との屈託ない会話がしにくい。
・簡単なH/N(ハンドルネーム)での自己紹介ぐらいあるのかと思っていた。
「とても和やかで皆が友達のように接してくれてました」と書いていただいた方がいた反面、交流という点で課題を挙げていただいた方もいました。
個人的には排他的にはならないようにしているつもりでもなかなか難しいですね。でも次回以降は簡単な自己紹介があっても良いかもしれませんね。(その時間を見学に充ててほしいと言われそうですが…)
Q. 今後の「ダム愛好家との集い」に期待することは?
マニアの人ばかりと思いましたが、初心者にも優しい集いになるといいと思う。
これまで12回開催してきて、参加者が30人ともなれば色んな方が参加されるようになるのは必然だなと思いますが、今回の見学会は初心者には難しかったと感じられてしまったのでしょうか。ただ個人的には座学とセットで初心者限定での開催をどこかでやっても良いかなと思っていたりします。
あと、この項目では見学だけでいいという方もいれば、座学や勉強会をやってほしいという方もそれぞれ複数いて、見学会と座学や勉強会はそれぞれ別で開催した方が良いのかもしれませんね。
Q. 台風や前線による出水の際のダム操作について、ネット上のどんなサイトをみてダムの活躍を確認していますか?
Twitterの星野夕陽さんの情報を参考にしています。
これ、事務局の方と半ば冗談で「星野さんのTwitterっていう人はいると思う」と言っていたのが現実のものとなりましたが、実は私も彼のツイートはよく参考にしているので、意外とそういう人は多いんだと思います。(そうでなければあれほどのフォロワー数にはならないと思いますし)
…と、他にもここには書ききれないぐらいのたくさんのご意見を書いていただきありがとうございました。水資源機構の方々とこのアンケート結果は共有していますので、今後の開催の参考にできれば幸いです。
この度は水資源機構中部支社ならびに阿木川ダム管理所の方々、国土交通省矢作ダム管理所の方々、そして参加いただいたダム愛好家の皆さん、大変ありがとうございました。次回また第13回がありましたらその際もぜひご参加ください!
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