「森と湖に親しむ旬間」に伴うイベントは各所で開かれますが、2009年のイベントには横山ダムとこの丸山ダムに行きました。
丸山ダムでは堤体内見学はもちろん、1階のエレベーターから堤体の頂上「ゲートピア」まで一気に上がって、その上から一望できるというイベント内容でした。
この日はあいにくの空模様でしたが、前日までの雨で豪快な放流まで見れるという奇跡的なイベントとなりました。
ページの一番下にはゲートピアと下流の橋から見た放流の様子を収めた動画もご覧いただけます。
>>合わせて丸山ダムの記事もご覧ください。
>>丸山ダム(岐阜)
データ表示盤
まず最初に管理所内に案内していただきました。なにぶん古いダムなので機材は結構それなりに年代を感じさせます。
これは丸山ダムの現在の状態が様々な角度で数字として確認できるデータ表示盤。
ゲート制御操作卓
いわゆる「ダムコン」です。ここでゲートの操作が行えますが、ゲートを操作する権限は関西電力側にもあり、洪水調節するような流入量になると、国土交通省側に権限が委譲されます。
木曽川水系雨量水位表示盤
木曽川水系の雨量や水位を示す表示盤です。よくよく考えると丸山ダムより上流の木曽川水系本流は、長野県の木曽川減流域にある味噌川ダムまで発電用のダムしかありません。つまりその間の流入量を丸山ダムがほぼ一手で支えているわけで、それを考えただけでも丸山ダムのありがたさが骨身にしみました。(他に洪水調節を目的としたダムは、木曽川の支流にある中野方ダムがあるのみです)
情報処理操作卓
雨量や流入量、水位などなど様々なデータから最適なゲート操作を計算する、いわば「ダムの頭脳」ですね。
管理所脇から副ダム付近を望む
管理所から堤体内に入るため、外に出ました。それにしても凄い放流です。轟音が地響きのように聞こえます。こんな放流を直接見たのは初めてです。
堤体直下より放流を望む
ほら、どうです!?いや、もう興奮の嵐ですよ。
監査廊入り口
放流する姿に後ろ髪ひかれつつ、堤体直下へと移動してきました。ここは本来立入禁止の場所です。こうしたイベントでなければ立ち入ることはできません。
直下より堤体を見上げる
ズドーンと聳え立つ堤体!まさに圧巻です。雨に濡れて漆黒の表情ですが、これまた歴戦且つ古老の兵士の如く素晴らしい表情です。
太田垣士郎氏による「動中静」の文字
堤体内への入口の上部に「動中静」と書かれた文字が。当時の関西電力の社長、太田垣士郎氏による文字です。太田垣氏は黒部ダム(0848-黒部ダム/くろべだむ )の建設にも尽力した発電ダムの歴史では忘れてはならない人物です。
この「動中静」とは「ドウチュウジョウ」と読み、動乱の中にあっても冷静さを保ち先を見据えた行動をせよという、たいへんありがた~いお言葉です。
※「静中動」という静かなる時にも周囲の状況判断をし、いつでも行動に移せるようにせよ、という意味にも捉えられますが、時代背景やダム管理という観点から「動中静」であると判断しています。文献などから読み解いたわけではなく、あくまで神馬の一方的な主観です。太田垣社長がどちらの意味で書かれたのか、それとも両方なのかは不明ですが、どちらにしてもありがたい言葉であるには違いないです。
コンクリート表面
現在のようなきめ細かなコンクリートの表面ではありませんが、このゴツゴツした感じがやはり歴戦且つ古老の兵士を思わせます。これこそが丸山ダムの全てを物語るコンクリートだと思います。
監査廊内部
さて、監査廊の内部に入ります。かなり老朽化が激しく、漏水も多く発生しているようです。
漏水が激しいらしい
ほら。まだまだダムとして機能したり、この状態でも問題が無いとは言え、この状態が続けば・・・あまり宜しいとは言えないのではないでしょうか?あれから政権が自民党から民主党に移り、前原国土交通大臣が新丸山ダムの建設を止めているようですが、もう老兵はもう引退したがっていますよ?
ゲートピアより放流の様子
エレベーターで一気に天端まで移動してきました。そこからさらに階段を上り、ゲートピア上へ。もう丸山ダムはオレのモノです。こんな放流を上から見れるなんて感激・感涙モノです。
ワイヤー巻上機
さすが太いですね~。動く姿も見てみたいものです。
ゲートピアより下流を望む
ゲートより流れ出た水は一気に轟音を撒き散らしながら下流へ。
天端よりダム湖を望む
一方、ダム湖側は静かなものです。多少ガスも発生していて幻影的な雰囲気すら感じさせます。そして老兵が一手に受け止めている・・・そんな印象です。
新丸山ダム建設予定のライン
さて、左岸に移動し骨材プラント跡を目指します。途中、新丸山ダムの建設予定のラインが設置された箇所を案内してくださいました。手前の赤白のラインが堤体のダム湖側、向こう側が堤体の下流側になります。ここにズドーンと建設される予定なのです。
骨材プラント跡地
何度見ても不思議な光景です。
ちなみにこの直前、イノシシに遭遇しました。後姿を瞬間的に見ただけですので、撮影できませんでしたが・・・。
下流の橋より堤体を望む
そして最後は下流の橋に移動してきました。今度は放流を真正面から見据えるのです。ちょっと写真が斜めになってしまったのが非常に悔やまれます。
ここで見学は終了。あぁ、最高の一日でした。
ゲートピアから放流の様子(動画)
そして、これが放流動画!豪快なシーンをお楽しみください。
下流の橋より放流の様子(動画)
こちらは下流の橋より正面からの放流の様子。
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