取材日:2013/07/27(土)
この日は森と湖に親しむ旬間のイベントでダム愛好家仲間の夜雀さんのトークと堤体見学会に参加するため真名川ダムまでやってきました。
左岸より堤体上流面を望む
真夏ですがダムを見ると暑さも吹っ飛びます。真名川ダムはご覧のとおりアーチダムとなっています。
堤体内見学の受付完了
真名川ダムの堤体内見学は事前に受付を済ませておく必要があるため、さくっと済ませてパスをもらいます。パスに描かれているのは真名川ダムのマスコットキャラクター麻那姫。
夜雀さんのトーク会場
いつも洪水調節などのプレゼンが最高に興味深い夜雀さんのトーク。夜雀さんのトークはこういう機会じゃないとなかなか一般の人の目に触れることもないと思いますが、この時期は毎年のように夜雀さんが真名川ダムでプレゼンをされていたのが印象的でした。(ちなみに写真は待ち時間の時なので参加者がまだ少ない状態です)
近畿地方整備局 九頭竜川ダム統合管理事務所 真名川ダム管理支所
直轄ダムの建物の名称って、なんでこういちいちかっこいいんでしょう。
堤体内エレベーター
管理所内で説明を受けた後、管理所内にあるエレベーターで堤体内に向います。
監査廊
この場所はまだ堤体内ではなく、岩盤内ですが長い監査廊です。
左岸下流側の堤体中腹付近より下流面を望む
普段は立ち入ることができない場所なので貴重な光景です。真名川ダムはアーチダムの中でも「中央越流型非対称放物線不等厚アーチ式コンクリートダム」で同じ型式は三重県にある青蓮寺ダムがそうです。矢作ダムを代表とする放物線アーチダムと比べるとオーバーハングが少な目に見えます。
職員の方による解説
真名川ダムの職員の方による解説です。子ども向けに分かりやすく解説しておられました。
真名川ダムの操作方法
職員の方の解説もわかりやすいのですが、この看板もわかりやすいですね。ちなみに尾根を挟んだお隣の足羽川はダム建設計画が頓挫し、平成16年(2004年)の福井豪雨で大変な被害が出てしまいます。しかし足羽川と同等の量の大雨が降った真名川では真名川ダムによって被害がなかったことから、再び足羽川でダム建設計画が具体的に進み始める…という興味深いエピソードがあります。
堤体下流面の左岸側を望む
階段で移動することはありませんでしたが、もし階段だったら…💦
漏水計
漏水量を計測するための装置です。誤って蹴ってしまわないようにポールが立てられています。
コンジットゲート操作室内部
コンジットゲート操作室の内部ですが、油圧シリンダーの上部(赤色の部分)が見えています。赤と黄色と青で構成されていて、さながらレクリエーション施設のようです。
キャットウォークより右岸方向を望む
子どもも見学に訪れるので安全に配慮してトラ柵が設置されています。
キャットウォークより下流を望む
真名川ダムには下流に噴水があります。ダム湖に曝気用に噴水があるのはよく見かけますが、下流は珍しいと思います。
真名川ダムで取水された水は数キロ下流にある真名川発電所と五条方発電所へと送水されるため、その手前にある真名川峡谷には水がほとんど流れない区間が生じてしまったそうです。
その区間を解消するため真名川ダム水環境改善事業によって整備されたのがこの噴水だそうです。つまり河川維持用水の噴水ということですね。
環境改善だけでなく、虹も出て見た目にも涼しげにさせてくれる噴水です。
下流面中央付近よりクレストゲートを見上げる
こんなアングルは普段は絶対に見ることができないので、見学会に行ったらぜひダムの中央で上を見上げてみてください。ただしフラついて後ろに落ちないように気をつけてくださいね。
監査廊内の階段
再び堤体内に戻ります。
監査廊
かなりうろ覚えなのですが一番深い場所だったように思います。
ダムマニアによる写真パネル展示
監査廊内にはぼくらダム愛好家が撮影したダムの写真パネルが展示されています。ぼくのパネルもあるはずなのですが、なぜか写真に撮ってなくて本当にあったのかは謎です。また、この記事を書くまでに8年も経過していますので他の方々のパネルが今も展示されているかは不明です。(というか8年も経つのか…😓)
維持放流棟内部の管理用発電設備
前述の通り発電用の取水口から取水された水は、下流の真名川発電所と五条方発電所に送水されますが、途中でバイパス放流管に分岐して維持放流棟にも送水されます。写真は維持放流棟内にある管理用の発電設備です。管理用なのでとてもコンパクトです。
維持放流棟内部
維持放流棟の内部には上記の水力発電用バルブ以外にも噴水用・不特定用・維持流量のバルブがあります。解説パネルを小学生がちゃんと読んでるのが良いですね。
バルブ群
もはやどれがどのバルブなのかもう記憶がありませんが、青色で統一されたバルブたちです。
噴水と堤体下流面を望む
見学会では噴水も間近に見ることができます。
仮排水トンネル?
噴水から少し上流に移動したところに見えるコンクリート構造物。建設時の仮排水トンネルでしょうか。
左岸より堤体下流面を望む
天端レベルまで戻ってきました。雄々しく翼を広げたような形のアーチダムってホントにすてきです。
左岸のイベント会場
まるでお祭りのように見えますが、森と湖に親しむ旬間イベントはダムにとってお祭りなのです。
左岸より天端を望む
自動車の通行は可能ですが、この先には何もないので通る車は工事関係車両ぐらいです。
選択取水設備、艇庫とインクライン
手前が選択取水設備でここで取水された水が、前述の発電所等に送水されます。奥が艇庫とインクラインです。かなり急な斜面ですね。
クレストゲート巻揚機室
クレストゲートの巻揚機室です。堤体に沿ってカーブして建てられています。
天端よりダム湖を望む
夏で水位を下げているため湖岸は土が露出しています。真ん中あたりに橋脚跡らしき構造物が2本見えますが、ダム建設前にはここに橋が掛けられていたようですね。
真名川ダム水位観測所
右岸側には水位観測所が設けられています。
右岸の親柱
右岸までやってきました。親柱に真名川ダムの銘板が収められていますが、こちらは建設省のままになっています。あと左岸のアバットメントの上部を見るとケーブルクレーンの基礎跡が見えます。
右岸より堤体上流面を望む
上流面は天端からクレストゲートの敷高あたりまではまっすぐ下りてきて、そこから下は丸みを帯びているのが見て取れます。
慰霊碑
真名川ダムの慰霊碑は右岸に設置されています。見学させていただけることを感謝しつつ手を合わせます。
右岸より堤体下流面を望む
右岸は地山がせり出している関係で隙間から堤体下流面を狙うような感じになります。
天端より下流を望む
真名川ダムのクレストゲートはホワイトに近いグレーですが、ここまで明るい色は珍しい気がします。
国土交通省パトロールカー
三菱のRVRだったかな。近くにいた職員の方が「こんなの撮らなくても😓」と苦笑されてました(笑)
左岸より堤体上流面を望む
真夏の真名川ダム。そろそろお別れの時間です。
麻那姫湖の石碑
色々と見学ポイントの多い真名川ダム。機会があればぜひ堤体内や下流からも観ていただきたいですね。
麻那姫像
真名川ダム左岸を上流に数百メートル進むと黄金像が見えてきます。ダム湖名の由来にもなった麻那姫の像です。麻那姫は悲しい人身御供の伝説ですが、水の大切さを麻那姫自身が訴えかけているかのように湖畔に立っていました。(冬場は麻那姫像が養生されていますのでそれ以外のシーズンの訪問をおすすめします)
堤体ももちろん見どころではあるのですが、洪水を防いだエピソードや麻那姫の伝説など、識ることでもおもしろい真名川ダム。ぜひ福井に訪れたら真名川ダムを見学してみてください。
真名川ダム諸元
所在地 | 福井県大野市下若生子 |
河川名 | 九頭竜川水系真名川 |
目的 | F(洪水調節、農地防災) N(不特定用水、河川維持用水) P(発電) |
型式 | A(アーチダム) |
堤高 | 127.5m |
堤頂長 | 357m |
堤体積 | 507,000㎥ |
流域面積 | 223.7km2 |
湛水面積 | 293ha |
総貯水容量 | 115,000,000㎥ |
有効貯水容量 | 95,000,000㎥ |
ダム事業者 | 近畿地方建設局 |
本体施工者 | 前田建設工業 |
着手年 | 1965年 |
竣工年 | 1977年 |
ダム湖名 | 麻那姫湖 |
その他の設備/所感
駐車場 | ○ |
トイレ | ○ |
公園 | ○(麻那姫湖青少年旅行村) |
PR展示館 | × |
釣り | ○(禁漁区を除く) |
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