三重県のダム

1280-惣谷ダム(そうだにだむ)

3.0
1280-惣谷ダム/そうだにだむ 三重県のダム
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所在地:三重県津市白山町上の村
取材日:2011/05/17(火)

旧近鉄大阪線総谷トンネル下り側

惣谷ダムは三重県津市にある灌漑用水専用のアースダムです。が、このダムで真っ先に思い出してしまうのは、1971年(昭和46年)10月25日に発生した「近鉄大阪線列車衝突事故」(俗称:青山トンネル事故)です。普段から通勤で近鉄を使っているので、この事故を知った時にはかなり衝撃を受けました。

旧近鉄大阪線総谷トンネル下り側
旧近鉄大阪線総谷トンネル下り側

いま、近鉄大阪線が走っているのは新線で、旧大阪線は単線でした。その単線で発生した事故。事故についての詳細は割愛しますが、各リンク先で見ていただくとよいでしょう。

近鉄大阪線列車衝突事故(Wikipedia)
時の鉄路 第9話

そして、いま目の前にあるのがまさにその事故現場なのでした。私が生まれる数年前にこんな大事故が起きていたなんて。

旧近鉄大阪線廃線跡

ここをブレーキが効かなくなった乙特急が120km/hで暴走したかと思うと、いまでも凄惨な悲鳴が聞こえてきそうです。

旧近鉄大阪線廃線跡
旧近鉄大阪線廃線跡

現在の近鉄大阪線

そしてこちらが完全複線化した現在の近鉄大阪線の様子です。

現在の近鉄大阪線
現在の近鉄大阪線

下流を望む

惣谷ダムの余水吐きから流れる水は、いったん廃線跡の下の暗渠を通りここを流れるようですが、すぐに新線の下をくぐって下流へと流れます。

下流を望む

右岸より下流側の堤体を望む

堤体は総谷トンネルから少し歩くと見えてきます。列車事故のことで若干気が重いですが、堤体は草刈りがしっかりと行われておりきれいな状態だったのが印象的でした。

右岸より下流側の堤体を望む

右岸より天端を望む

まるで芝生のような堤体です。天端はそれなりに草が生えていたようにみえることから、しっかりと草刈りが行われる割にここを歩く人がいないようにも見受けられます。

右岸より天端を望む
右岸より天端を望む

右岸よりダム湖を望む

ダム湖はとても静かです。ここで思いにふけるのも悪くないです。「都会の喧騒を忘れる」というのはまさにここのことです。近くに近鉄が走っている割には、電車の走行音はあまり気になりません。それぐらい静寂に包まれています。

右岸よりダム湖を望む

天端より青山高原ウインドファームの風車を望む

ふとダム湖の向こうの山を見ると帯多々しい数の風車が尾根に並んでいます。どうやらあれは「青山高原ウインドファーム」といい、風に恵まれた高原で風力発電を行おうというもののようです。

天端より青山高原ウインドファームの風車を望む
天端より青山高原ウインドファームの風車を望む

青山高原ウインドファーム

自然にやさしいのは分からなくもないですが、わざわざ山の尾根を切って造成して、わずかばかりの電力を稼ぐというのは、どうにもコストパフォーマンスが悪いように思いますが・・・まぁ、あくまで個人の意見です。

青山高原ウインドファーム
青山高原ウインドファーム

斜樋式取水設備・建屋を望む

アースダムによくあるタイプですが、堤体の真ん中にあるのはちょっと珍しいかもしれません。

斜樋式取水設備・建屋を望む

斜樋式取水設備

規模はとても小さいです。

斜樋式取水設備
斜樋式取水設備

天端より下流を望む

左岸の余水吐きから流れる水は堤体直下の脇を横に流れていくようになっています。

天端より下流を望む

天端より余水吐を望む

小さな余水吐です。

天端より余水吐を望む

天端より余水吐の導流部を望む

よく整備されています。草木が生い茂って放置されていることもありません。きっと農家の方にとって大切な水源なのでしょう。

天端より余水吐の導流部を望む
天端より余水吐の導流部を望む

ダム湖側の余水吐を望む

上流に民家が無いためか、ゴミもほとんどありません。

ダム湖側の余水吐を望む
ダム湖側の余水吐を望む

ダム湖を望む

ほんとに静かです。すぐ隣が「四季の里」という公園になっていますが、ボートが乗れるようになっていなのが不思議なぐらいです。

ダム湖を望む
ダム湖を望む

左岸より天端を望む

天端もとてもきれいです。アースダムは新緑の季節がいちばん合いますね。

左岸より天端を望む

左岸より下流側の堤体を望む

刈られたばかりなのでしょうが、とても丁寧な仕事を感じます。

左岸より下流側の堤体を望む
左岸より下流側の堤体を望む

天端より右岸にある脇ダムと斜樋式取水設備を望む

「脇ダム」と称してしまって微妙な気がしますが、コンクリートの遮水壁があるのでそう称することにしました。その右岸にも斜樋式の取水設備があります。

天端より右岸にある脇ダムと斜樋式取水設備を望む
天端より右岸にある脇ダムと斜樋式取水設備を望む

旧近鉄大阪線廃線跡を望む

堤体をひと通り見終えましたので、駐車場まで戻りますが、やはり廃線跡を見ると神妙な気分になります。

旧近鉄大阪線廃線跡を望む
旧近鉄大阪線廃線跡を望む

東青山四季のさと

ダムの脇には「東青山四季のさと」という自然公園が広がっています。営業終了時間後だったので、閑散としていますが、それでも何組かの家族が遊んでいました。ただかつて発生した事故のことを思うと、鎮魂のためにつくられたのではないかとすら思えます。

東青山四季のさと

近鉄東青山駅

この東青山駅は事故後の昭和50年(1975年)につくられた新駅で、「四季のさと」の最寄り駅になっています。

近鉄東青山駅

近鉄特急ACE

今では事故があったとは思えないこの近辺ですが、そのすぐ脇を颯爽と個人的にも見慣れた近鉄特急が走り去ります。ちょっと気が重くなるダム見学でした。

近鉄特急ACE

惣谷ダム諸元

河川名雲出川水系大村川
目的灌漑用水
型式アースダム
堤高19m
堤頂長85m
堤体積―m3
流域面積―km2
湛水面積―ha
総貯水容量260,000m3
有効貯水容量260,000m3
ダム事業者三重県
本体施工者
着手年1975年
竣工年1979年
ダム湖名惣谷池

その他の設備/所感

駐車場は四季のさとの駐車場を利用しますが有料です。(確か1000円ぐらいだったと思います)

駐車場
トイレ
公園
PR展示館×
釣り×?

惣谷ダム周辺の地図

惣谷ダム周辺の天気

惣谷ダムに近いと思われる宿泊施設

この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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