所在地:大阪府大阪狭山市大字池尻
取材日:2011/05/07(土)
西側堤体より北側堤体望む
大阪府内のダムはここがなんと初訪問のダムでした。5月に訪問していますが、汗ばむような陽気だったのを覚えています。(写真になにか写り込んでいますが、鳥ですね。UFOの類ではないと思います。)
狭山池ダムは築堤の歴史が古く、日本書紀や古事記にも記録が残っており、最初の築堤が7世紀前半とされています。そして幾度かの改修を経て、いまの狭山池ダムがあります。元々は灌漑用の溜池でしたが、平成の大改修で治水が目的に加わりました。型式はアースダム。正式な型式名称は「均一型アースフィルダム」となります。
西側堤体より取水塔と西除洪水吐を望む
狭山池ダムはそれぞれ東西にある西除川と東除川へ水を供給しています。写真は西除川へ水を流す洪水吐と手前は灌漑用の取水塔になります。
西側堤体より南方を望む
狭山池ダムは18.5mと堤高はそんなに高くありませんが、とにかく広い。そして市民の憩いの場になっており、多くの人がウォーキングやランニングをしていました。中にはラジコンで遊んでいる人もいましたね。
西側堤体より龍神社のお社を望む
西側の堤体にほど近くダム湖の中に龍神社が祀られています。もちろん水の神様です。
看板
看板に「狭山池公園」となっているとおり、ダム湖周辺は公園として整備されています。
看板のアップ
この写真で狭山池ダムの全体像がわかりますでしょうか。
西側堤体より北側堤体を望む
何かと「土手」と言われるアースダムですが、狭山池ダムはグルっと一周堤体な上に、あちこち整備されていて土手とは言わせない雰囲気があります。
狭山池博物館を望む
そしてダム北岸には今回の主たる目的でもある「狭山池博物館」があります。個人的に好きな建築家安藤忠雄の設計によるものです。
弘法大師御堂建立碑
堤体はもちろん博物館も現代的な造りですが、ダム湖畔にはこんな石碑もあり歴史を感じさせます。
高倉寺法起菩薩碑
こうした石碑もありますが、すみません。なにを表しているのかは調べていないのでさっぱりわかりません。
狭山池博物館エントランス
さて、狭山池博物館へ入ります。エントランスからしてコンクリート打ち放しなのがいかにも安藤忠雄らしいですね。
狭山池博物館エントランス内
雑誌「新建築」に載ってるような写真を撮ってみたいですが、まだこの時は一眼レフに慣れていない時期なのでこれが精一杯。それにしてもふんだんに水を使った建築にしばし目を奪われます。
狭山池博物館通路
すげーすげーと言いながらシャッターをひたすら押してます。
狭山池博物館中庭
世界的に有名な建築家のメッセージを受け取るのに必死でしたが、残念ながら何を言いたいのか分かりませんでした。まぁ、とにかくすごいのヒトコトです。
狭山池博物館
一応、館内を見学しましたが、息子がすぐに出たがるのでちゃんと見ることが出来ず、すぐに外に出てしまいました・・・。
北側堤体を望む
長く続く堤体。それにしても遊びに来ている人がたいへん多いです。
取水塔を望む
博物館の見学を終え、改めて東除洪水吐と取水塔を見学します。取水塔は改修前に使用されていたものが、そのまま博物館に展示されていますが、平成の大改修で大きく変わりました。
東除洪水吐を望む
洪水吐はコンパクトながらちょっと変わった形をしています。
東除洪水吐を望む
なぜか片方だけ角落としで塞がれていますが、なにか理由でもあるのでしょうか。
狭山池石碑
立派な石碑です。ちなみにこの写真とちょっと構図が違いますが井上よしひさ先生の「ダムマンガ」に資料を提供しております。単行本1巻ならP.65のカットです(笑)
西除洪水吐導流部を望む
続いて西除洪水吐の方へ向かいます。こちらは東除洪水吐と違ってかなり大きくダムらしさ満点の構造物です。
ビオトープ?を望む
ダム湖にはビオトープのようなものも設置されており、鳥が羽を休めていました。
ビオトープ?を望む(向こうに見えるのは大阪狭山市市役所と大平和祈念塔)
そしてダム湖の向こう側に異様な形の塔が見えます。
大平和祈念塔を望む
この様は大平和祈念塔と言って、野球の名門PL学園で知られるパーフェクトリバティー教団の施設です。何が驚いたって私が小学生の頃に作った粘土細工にそっくりなんですよね。夢でも見てるのかと思いました。ちなみに正式名称は「超宗派万国戦争犠牲者慰霊大平和祈念塔」と言うそうです。詳しく知りたい方はググってみてください。
西除洪水吐を望む
ここだけ見ると高さは堤高の18.5mを超えているような気がします。手前と奥に二つの洪水吐があります。
西除洪水吐の減勢工を望む
その上、副ダムも一つの洪水吐に二つという贅沢装備です。
西除洪水吐の減勢工を望む
こちらの副ダムはあるのか無いのか不明です(笑)
西除洪水吐を望む
堤高の割にものすごく巨大な洪水吐です。住宅街の中にあるからなのでしょうか。
西除洪水吐越流部を望む
越流しているシーンはさぞかし豪快なのでしょう。
西除洪水吐越流部を望む
こちらは先程の巨大な洪水吐の東側に設置されている洪水吐です。なんとなく青土ダム(1364-青土ダム/おおづちだむ)を想起させます。
越流部で羽を休めるカモたち
越流部ではカモが羽を休めていました。鳥達にとって楽園になるダムってなんか良いですね。
西除洪水吐の角落とし部分
こういう細かいところも堤高18.5mのアースダムとは思わせません。
越流部を望む
こういうところも細かい仕事で良いですねぇ。見てもらうために作ったんじゃないでしょうか。
西除洪水吐を望む
橋の下から洪水吐を覗ける構造になっています。
西除洪水吐より狭山池博物館方面を望む
7世紀から脈々と受け継がれてきた溜池はアースダムとして農家だけでなく、いまや市民の生命と財産を守る存在となり、さらには鳥や市民の憩いの場に生まれ変わりました。今後も100年200年とさらに次の世代へと受け継がれていくのでしょう。
狭山池ダム諸元
河川名 | 大和川水系西除川 |
目的 | 洪水調節、農地防災、不特定用水、河川維持用水 |
型式 | アースダム |
堤高 | 18.5m |
堤頂長 | 997m |
堤体積 | 605,000m3 |
流域面積 | 17.9km2 |
湛水面積 | ―ha |
総貯水容量 | 2,800,000m3 |
有効貯水容量 | 2,800,000m3 |
ダム事業者 | 大阪府 |
本体施工者 | 大林組・佐藤工業・奥村組 |
着手年 | 1980年 |
竣工年 | 2001年 |
その他の設備/所感
さすが日本最古のダムというだけあって、かなり観光地化されています。文句なしに色んな施設が整っています。博物館にはカフェも併設されていますので、お散歩に疲れたらぜひ。
駐車場 | ○ |
トイレ | ○ |
公園 | ○ |
PR展示館 | ○ |
釣り | × |
コメント
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