取材日:2012/9/15(土)
石淵ダムの見学を終え、焼石クアパークひめかゆで昼食を取った後、次は胆沢ダムの見学です。
下流より堤体を望む
堤体に近いと広角レンズでも全貌が捉えられないほど巨大な胆沢ダム。
導流壁を望む
導流壁も手前の車両と比較してその巨大さがわかりますでしょうか。また、導流壁の上面はアールを描いており芸の細かさが伺えます。
建設中の発電所建屋
見学時は堤体の盛り立てが完了し、周辺設備の工事真っ只中でしたが、発電所も絶賛工事中でした。
洪水吐の先端
この時はほとんど水が流れていませんが、竣工後は胆沢川本流として流れていくことになります。
発電所内部へ向かうトンネル
まだまだ工事中の発電所。発電所の中も見学させていただけることに。
発電所内部へと向かうトンネル
このまま排水路に転用されているような気がしますが(現状は未確認)、工事中は搬入路としてトンネルが整備されていました。
ゲート室内部
ゲート室の内部もまだまだ工事中でした。
監査廊へ
発電所内部の見学を終え、次は堤体内の監査廊へと向かいます。
監査廊の階段
急勾配の階段を降りていきます。
三角堰
漏水量を検査するための三角堰がたくさん並んでいます。
再びゲート室内部
見学が随分前のことなので、すっかりどういうルートだったのか忘れてしまっていますが、再びゲート室内部。おそらく最奥部まで行って戻ってきたのだと思います。
右岸より下流側の堤体を望む
もはやどう辿ってきたのが全く記憶がないのですが天端に出ました。(基本的に撮影順に写真を並べていますので順番は合っているはず…)
右岸より天端を望む
実に広い天端です。堤頂長は723mもあるためこの写真では左岸が見えません。
右岸よりダム湖側を望む
ダム湖側もまだまだ工事中ですが、完成すれば当然沈んでしまいます。
選択取水設備に通じるトンネル
位置関係が説明しにくいのですが、右岸には地山があり天端の先にはそれを貫くトンネルがあり、これを抜けると選択取水設備がある辺りに出ます。完成時の今も整備されて通れるようになっているのでしょうか?
トンネル内部
地山をくり抜いたトンネル内部です。
選択取水設備とクレーン
トンネルを抜けると選択取水設備とクレーンがお出迎え。建屋がまるで神殿のようになっていますが、建屋屋上に巻き上げ機が設置されており、ワイヤーがスリットの中を通るようになっています。雪の多い地方なのに巻き上げ機が剥き出しになっているのはちょっと不思議です。
選択取水設備は「呑口スクリーン式円形多段式ゲート(地山設置型)」という型式で豊国工業により施工されスペックなどの詳細がウェブサイトに記載されていますので合わせてご確認ください。
選択取水設備のスリット内部
天井に穴が空いていますが、そこをワイヤーが通って筒状の扉体に接続されます。筒状の扉体は伸縮式の指揮棒のようになっていて、水位に追従しますが、任意の水位から取水できるようにもなっています。(文字で伝わりますでしょうか…)
選択取水設備よりダム湖側の堤体を望む
安全帯を付けて法面で作業されている方が見えますでしょうか。
天端より下流を望む
いまでは随分と整備されたと思われる下流側。またいつかは訪問したいなと思いつつ7年以上が経過してしまいました。
天端より石淵ダムを望む
Photoshopの「かすみ除去」機能を使用したせいでなんだか古い写真になってしまいましたが、遠くに石淵ダムが見えます。
天端より洪水吐を望む
ダムが巨大だと当然洪水吐も大きな規模のものになります。
ダム湖側の洪水吐を望む
まだ使われていないまっさらの洪水吐。奥に見える穴が常用洪水吐で左側の低くなっているところが非常用洪水吐になります。
常用洪水吐には鋼製ゲートが据えられており、こちらも豊国工業製となっています。詳細スペックはこちら。
天端より導流部を望む
ここを融雪放流が流れるところをぜひとも見てみたいものです。
北上川ダム統合管理事務所胆沢ダム管理支所を望む
最近の管理所はおしゃれです。もちろん見た目だけじゃなくてダムを管理するという機能もしっかりと持っています。
管理所内部
写真の場所は現在では展示室としてパネル展示などがされているようです。
管理所屋上より堤体を望む
素晴らしい景色です。管理所の屋上は森と湖に親しむ旬間イベントの時に開放しているようです。
管理所屋上より洪水吐を望む
ここから越流している様子を見てみたいものですが、その時は本気の洪水調節でしょうからそんな事は言っていられないかもしれません。
ダム湖側に設置されたクレーンを望む
管理所のあとはダム湖側に移動して見学させていただきました。
法面保護工
度肝を抜いたのはこのピラミッドのような構造物。法面をCSG工法によって保護する施工がされているのです。
仮排水トンネル
CSGの段差はH鋼を横に並べて施工したとのことで、そのH鋼の厚さが段差の高さとなっています。
選択取水設備
まだつくってる最中の選択取水設備。下にある円筒形の管が扉体でこれが伸縮するようになっています。
扉体上部の吞口とスクリーン
一番上の網状のものがスクリーンでここに呑口があります。メカニカルなつくりがなかなかカッコいいです。
選択取水設備上部
胆沢ダムの円形多段式取水設備は国内最大級なんだそうです。ちなみに写真の一番下の部分には点検架台が設置される場所で、見学時にはまだ設置されていませんでした。
ダム湖側の堤体を望む
法面保護工と選択取水設備を見た私たちは堤体へと向かいます。
表示板
なんてことない水位を示す表示板ですが、湛水が始まったら無くなってしまうので、今のうちに撮っておきます。
選択取水設備とクレーンを望む
非日常感をふんだんに味わった1日でしたが、名残惜しいことにこれで見学会は終了となります。完成した今では胆沢扇状地の人々の生活を守り、田畑を潤し、電気を灯す役割を担っている胆沢ダムですが、工事中の様子を見学させていただきとてもよかったです。
前述のとおりこの時以来再訪は果たせていませんが、いつか必ず再訪して雄姿を観たいと思います。
おまけ
見学会終了後は晩ごはんに「おふくろ」で「ダム御膳」をみんなと食べました。いろんな味のすいとんがセットになってこれで1000円。胆沢ダムの工事関係者が単品ですいとんを注文していたものが、まとめて食べたいという要望から生まれたメニューなんだそうです。
おふくろ
〒023-0403
岩手県奥州市胆沢若柳愛宕183
TEL:0197-49-2965
胆沢ダム諸元
所在地 | 岩手県奥州市胆沢区若柳 |
河川名 | 北上川水系胆沢川 |
目的 | F(洪水調節、農地防災) N(不特定用水、河川維持用水) A(かんがい用水) W(上水道用水) P(発電) |
型式 | R(ロックフィルダム) |
堤高 | 127m |
堤頂長 | 723m |
堤体積 | 13,500,000m3 |
流域面積 | 184km2 |
湛水面積 | 440ha |
総貯水容量 | 143,000,000m3 |
有効貯水容量 | 132,000,000m3 |
ダム事業者 | 東北地方建設局 |
本体施工者 | 鹿島建設・清水建設・大本組 |
着手年 | 1983年 |
竣工年 | 2013年 |
ダム湖名 | 奥州湖 |
その他の設備/所感
PR展示館は北上川ダム統合管理事務所内にある展示室としています。
駐車場 | ○ |
トイレ | ○ |
公園 | × |
PR展示館 | ○ |
釣り | ? |
コメント