取材日:2015/2/18(水)
この日は新成羽川ダムを見学させていただくのを主目的としてダム愛好家仲間と岡山県新見市にやってきています。千屋ダム・新成羽川ダム・田原ダム・河本ダムを見学し、この日最後に訪問したのが小阪部川ダムでした。
堤体へのアプローチ
小坂部川右岸道路となる県道442号を堤体方面に進めると、堤体下流面がほぼ正面から見えるポイントに出てきます。

クレストにはラジアルゲートが3門備えられています。自衛隊の護衛艦のようなグレーですね。1955年竣工にしてはゲートピアだけ現代風に見えます。2001年度~2007年度にかけてクレストゲート周りの改修工事が行われています。

左岸の堤体の真下には中国電力小阪部発電所の建屋があります。発電所自体は堤体竣工後の1962年に運開しています。

堤体まであと少しというところで突然レトロなアーチ橋に出くわします。一同大興奮。岡山県の改修資料によると1953年竣工なので小阪部川ダムの建設中に架けられた橋のようです。

「ゐ東橋」と読むようです。達筆すぎて読めない。。。

河川名のようですがこれも読めない。小さな沢のような川なので、ネット上ではどこにも資料がなく全く分かりません。

これに至っては全く読めません。。。

堤体周辺には駐車スペースが無いため、右岸下流よりのスペースに車を止めて徒歩で堤体まで移動します。

駐車スペースにある中国電力ハッピーエンジェルの看板。

途中、材木などを運ぶためなのかモノレールがありました。その傍らには太めの枝が重ねられています。すぐ隣に「森林交流施設」と呼ばれる施設がありますので、この関係の設備のようです。

堤体周辺
右岸のダムサイトまでやって来ました。

よく見ると右手に建設時の遺構と思われるものがあります。恐らくバッチャープラントと思われます。

ディテールをよく見ると1955年(昭和30年)竣工という古さを感じさせますが、何度か改修されているため新しさも混ざったような堤体です。親柱や天端高欄は割と新しく感じます。左手にある建物は管理所になります。管理所は2018年(平成30年)に写真手前側に建て替えられたようです。

1955年竣工と言っても1939年の高梁川下流地域の大旱魃を契機に建設が計画され、1942年に県営の事業として建設が始まりましたが、この時期のダム建設によくある話で、太平洋戦争の戦局悪化に伴い、労力や資材が不足し、戦後国営事業として移管することとなりました。
管理所脇にある小阪部川ダムのはたらきを示した看板。農水省管轄のため農業用水に利用されるのはもちろん、上水道と前述の発電所があったように発電にも利用されているのが分かります。

右岸に佇む石碑です。「小阪部川堰堤」の文字が激シブです。

管理所でダムカードをいただきました。

天端へ
左手には県道442号が連なります。上流には大佐(おおさ)の地区へとつながります。なお、SNSで観測した限りですが、2026年現在は残念ながら天端が立入禁止になってしまったようです。

管理所は地山の上に建てられているようですが、貯水池に迫り出す形になっています。

メカ感満載のクレストゲート。

取水塔の建屋はちょっとレトロな雰囲気があり半円形になっています。この取水塔も大きく更新されてしまったようです。雰囲気がとても良かったのに…残念ですが仕方がないですね。

左岸へ
左岸までやって来ました。下流側にはトンネルがありますが、残念ながら立入禁止で詳細は不明です。

ちょっと樹木が多くて眺望が悪いですが、県道から見るとだいぶ縦長に見える堤体も、ここからみるとしっかり横にも広く見えます。

下の方まで続く階段が気になります。小学生向けのツアーではこの階段を降りて監査廊に入っていったようです。

左岸道路は林道となっているようです。小原・山滝線。普段は立入禁止のようですので、ダムや林業関係者しか通行できないようです。

一般者は通行できませんが、自動車の通行が想定されているためか割と広めにつくられています。それよりも気になるのが親柱の上。

恐らく照明だと思われますが、UFOのようなデザインの装飾です。ゐ東橋や取水塔のように親柱もおしゃれになっています。「モダン」という言葉がしっくりくるデザインですね。

もう見ることが出来ない旧デザインの取水塔。

左岸に見える緑色の屋根の建物は、中国電力の許認可出力5,400kWの小阪部発電所になります。さらに下流に行くと500kWの小阪部調整池発電所があります。この発電所の手前まで行けるようですが、この日はなぜか行かなかったですね。なぜ行かなかったのか記憶にありませんが…💦

再び右岸へ
右岸に戻ってきて印象的だったのはこの法面のアンカー工。不規則にアンカーが大量に打たれていたのが、ちょっとおもしろかったです。絶対に崩れさせない!という強い意志を感じさせます。
なお、この上には美穀神社というお社があるようです。また、水没地のご先祖さまと工事による殉職者を合祀する合祀堂という建物もあるようです。これらは森林交流施設の脇から階段で登っていくとあるようで、堤体を見下ろすことができるようです。

最後にダム湖銘板。小阪部川ダムの貯水池名は美穀湖(みよしこ)と名付けられています。農業用のダムということで美味しい穀物が収穫できることを祈念しているのと、この地がかつて美穀村だったことから名付けられたようです。

農業用水としての受益地は岡山県岡山市・倉敷市・総社市・早島町で、水田農業地帯としては「県下最大」とあるため、いかにこのダムや関連施設が重要なのかが分かります。
今もなお、この美しいみのりある生産を支え続けている小阪部川ダムでした。
小阪部川ダム諸元
| 所在地 | 岡山県新見市唐松 |
| 河川名 | 高梁川水系小坂部川 |
| 目的 | A(かんがい用水) P(発電) |
| 型式 | G(重力式コンクリートダム) |
| 堤高 | 67.2m |
| 堤頂長 | 145m |
| 堤体積 | 114,000㎥ |
| 流域面積 | 136km2 |
| 湛水面積 | 75ha |
| 総貯水容量 | 15,625,000㎥ |
| 有効貯水容量 | 15,136,000㎥ |
| ダム事業者 | 中国四国農政局 |
| 本体施工者 | 児玉工業 |
| 着手年 | 1940年 |
| 竣工年 | 1954年 |
| ダム湖名 | 美穀湖(みよしこ) |
その他の設備/所感
| 駐車場 | ○ |
| トイレ | × |
| 公園 | ○ |
| PR展示館 | × |
| 釣り | ○?(禁漁区を除く) |
| 展望台 | ○ |






コメント