取材日:2019/10/11(金)
もともと穴内川ダム見学会参加のためにやってきましたが、ロケハンというか予行演習というか下見というか、見学会では自由に行動できないだろうという野生…ダム愛好家の勘が働いて事前に見ておこうと訪問したのでした。
左岸下流より堤体を望む
下流から車を走らせると白くキラキラと輝く何かが見えます。
左岸下流より堤体を望む
そう。まさかの放流です。穴内川ダムはクレストに2門のラジアルゲートを備えていますが、その2門から放流しているではありませんか!
その時の放流動画はこちら
クレストゲートを望む
満水になってるから放流してるというわけでもないようです。ゲートが完全に開いており隙間が見えています。
あとで四国電力の方に直接聞いた話では、発電所の点検のために放流していたらしくほんとたまたまだそうです。滅多に放流しない穴内川ダムなのでかなり貴重だったようです。折しも台風が接近していましたが、それによるものでもないとのことでした。
土砂吐の穴を望む
この穴は土砂吐ゲート用の穴だそうです。過去にゲートを開けたかどうかは分からないようですが、開けると土砂が詰まるのが分かっているため、今後も開けることないようです。それにしても穴の周囲のコンクリートが放流のせいか削れてしまっていてなんだかすごい。
右岸より洪水吐の先端を望む
右岸ダムサイトまでやってきました。土砂吐の穴の構造物の削られっぷりが良くわかります。
右岸より下流側の堤体を望む
穴内川ダムは中空重力式コンクリートダムですが、堤体はカーブを描いているわけではなく、直線が途中で折れ曲がったような形状をしています。
四国・高知では2基しかない中空重力式コンクリートダムですが、大森川ダムが直線的な堤体であることを考えると、中空重力式コンクリートダムといってもいろんな形状があると思わせてくれます。
右岸より天端を望む
堤体の中腹で折れ曲がっているため、天端がかなりコンパクトになっています。
右岸ダム湖側の親柱
風格ある親柱の銘板です。「ダム」ではなく「堰堤」と書かれているのもいいですね。
右岸下流側の親柱
鹿島建設が施工した証の銘板が嵌められています。
右岸より下流側の堤体を望む
写真左に監査廊の入口があるのが分かるかと思います。
管理所
無人のはずですが管理所内は電気が灯っていました。何か作業をしていたのかもしれません。
取水塔を望む
扉体が見えますが予備ゲートでしょうか。それとも本体?
右岸よりダム湖側の堤体を望む
水位が高いため中空重力式コンクリートダム特有のタコ足が全く見えない状態です。
天端よりダム湖を望む
上流に集落はありますが車の通りも少なく静かなダム湖です。
天端より下流を望む
堤体の下流面がくの字で折れ曲がっているため真下が見えません。
ゲートピア
蜂が飛んでてかなりぞんざいな写真になってしまいました。
クレストゲートから下流を望む
吸い込まれそうな洪水吐です。一気にストンと落ちてジャンプ台へと繋がります。穴内川ダムのクレストはラジアルゲートになっていますが、国内唯一のシングルアームであることも特徴の一つです。
左岸より天端を望む
右岸もそうですが階段で天端に降りるスタイルです。左側のフェンスの先は監査廊入り口につながっています。
左岸ダム湖側の親柱
右岸同様に銘板が嵌められていました。それにしても落書きがひどい…
左岸下流側の親柱
下流側は同じく鹿島建設施工であることを示す銘板が嵌められています。白いのは大きくペイントされてしまってコンクリート部分は消せたけど、銘板は消せなかったとかでしょうか…
左岸の広場
左岸は右岸と比べてかなり広くなっており慰霊碑や穴内川ダムに関する案内看板などが設置されていました。
広場よりダム湖側の堤体を望む
中空重力式コンクリートダム特有のタコ足が見えないのが残念ですが、開いてるゲートの隙間から向こう側が見えてるのがまた良いですね。よく見ると流木がひかかっています。
左岸よりアバットメントを含めたダム湖側の堤体を望む
左岸のアバットメントには柱上のコンクリート構造による補強がなされています。扶壁がないのですっきりしています。
左岸より下流側の堤体を望む
下流側のアバットメントにも扶壁のない構造物が。もうちょっとちゃんと撮っておけばよかったです。スズメバチと格闘(と言うか逃げまくってた)していたのでそれどころではなかったのですが、とにかく生まれて初めて威嚇の「カチカチ」という音を聞きました。
左岸より下流側の堤体を望む
穴内川ダムで貯水した水は穴内川発電所・平山発電所・新改発電所で合計66,200kWの電気がつくることができるそうです。
国内でも13基、四国それも高知に2基しかないという貴重な中空重力式コンクリートダム、その中でも特徴的な形状、さらにここでしか見られない超貴重なシングルアームのラジアルゲート、そして貴重な放流が見られて最高によかったです。
ちなみに穴内川ダムをあとにして道を下っていると萩原さんにすれ違うという偶然!萩原さんも動画にしていましたので、こちらもあわせてぜひ。(っていうか萩原さんの動画の方がちゃんとしてるのでおすすめです)
おまけ
穴内川ダムの後に休場ダムを訪問し、その後時間が出来たので初めて桂浜に来てみました。台風で大荒れの桂浜。波打ち際は立入禁止でしたが、これもまた貴重かな。
穴内川ダム諸元
所在地 | 高知県香美市土佐山田町樫の谷 |
河川名 | 吉野川水系穴内川 |
目的 | P(発電) |
型式 | 中空重力式コンクリートダム |
堤高 | 66.6m |
堤頂長 | 251.9m |
堤体積 | 219,000m3 |
流域面積 | 52.7km2 |
湛水面積 | 195ha |
総貯水容量 | 46,260,000m3 |
有効貯水容量 | 43,300,000m3 |
ダム事業者 | 四国電力(株) |
本体施工者 | 鹿島建設 |
着手年 | 1961年 |
竣工年 | 1963年 |
ダム湖名 | ― |
その他の設備/所感
駐車場 | △ |
トイレ | × |
公園 | × |
PR展示館 | × |
釣り | × |
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