取材日:2013/05/25(土)
下条川ダム、早出川ダム、揚川ダムを経てやって来ました内の倉ダム。今回のメインイベントであるダム仲間の結婚式に参加するためです。それもなんと内の倉ダムの堤体内での挙式というとても素晴らしいイベントなのです。
内の倉ダム管理所
開始時刻までにまだ時間がありますので周辺を散策します。天気も良くてまさに結婚式日和です。
右岸リムトンネル
ポータルに意匠を感じるリムトンネル。
トンネル脇にあるコンクリート模型
内の倉ダムに向かう途中のトンネル「七滝隧道」の出口脇にはこんなコンクリートでできた模型があります。中空重力式コンクリートダムである内の倉ダムの中空部の一部を1/10でつくったものだそうで、それがどういうものなのかが把握できるようになっています。
右岸より天端を望む
天端は自動車の通行が可能です。
右岸より堤体下流面を望む
クレストゲートの一部やフーチングのフェンス、対岸のインクラインなどの金属部分が赤色で自然の緑色が補色となっていいアクセントになっていますね。
右岸の広場を望む
右岸は広場になっていて、噴水やトイレが設置されています。
右岸より堤体上流面を望む
満々と水を湛えた内の倉ダム。
クレストゲートピアの一部
ゲートピアの一部が凹んでいて、そこにゲートの銘板が取り付けられていました。なぜここだけ凹んでいるのか謎ですが、まさか銘板を雪から守るため?
純径間x扉高 | 9.5x5.292m |
扉体半径 | 6.500m |
開閉速度(鉛直) | 0.3m/min |
扉体重量 | 17.0t |
製作年月 | 昭和47年12月 |
製作 | 石川島播磨重工業株式会社 |
天端よりクレストからの放流を望む
なんとクレストゲートから放流していました。まるで今回の結婚式を祝っているかのようです。赤いゲートと白い水紋が紅白のようで、ホントに狙っているとしたら素晴らしい演出ですね。
左岸より堤体下流面を望む
ここからだと放流がちょっと見えにくいですね。下流からなんとか見えないかな…
左岸のインクライン
ダム湖に船を降ろす装置としてインクラインが設置されることが多いのですが、内の倉ダムのインクラインは下流側に設置されていて、しかも操作説明看板があるので一般向けに利用できるようです。(専用の操作カードを所持している必要があるようなので、利用するのは事前に許可を得る必要があるようです)
左岸のインクライン
専用のカードが必要となると観光用でもなさそうですし、船を運ぶ感じでもないですし、何のためにインクラインが設置されているのかは不明です。ちなみに写真に写っている階段は立入禁止ではないそうで、自由に立ち入りして良いそうです。その話を聞いた時にインクラインについて確認しておけばよかったと今更ながら後悔。
左岸より天端を望む
左右両岸の山がそこまで高くないためか日当たり良好な天端です。
左岸の慰霊碑
左岸の石碑は慰霊碑のようです。短歌が刻まれています。
左岸より堤体上流面を望む
もうちょっと水位が低ければ中空重力式コンクリートダム特有のタコ足が見えていたかもしれませんね。
天端より下流を望む
雄大な景色です。新緑もとても素晴らしいですね。
天端より上流面のクレストゲートを望む
クレストゲートを覗き見します。ダム湖の水がどんどん流れていくのがわかります。
天端よりダム湖を望む
上流に民家もないため静かできれいなダム湖です。
常磐用水路
まだちょっと時間があったため下流から放流を見てみようと画策します。
内の倉ダムの下流左岸には常磐用水路という水路が流れているのですが、ここにたどり着くまでが大変で、3ナンバーのエクストレイルではほんとに左右両輪がギリギリで、ちょっとでもハンドル操作を誤ると用水路に転落するという狭さでした。
常磐用水路を上流に遡って内の倉ダムの下流面を望む
車を降りて常磐用水路を遡上します。途中、ヘビがいたりしましたが内の倉ダムの堤体が見えるところまで到達。しかし、ここは立ち入って良いのか不安になり引き返してしまいますが、あとで確認したところ自由に通って良い場所なのだそうです。
式場…ではなく中空内部
そうです。結婚式が開かれるのは内の倉ダムの中空内部なのです。今回は結婚式ですが毎年コンサートも開かれているようです。
中空内部とダイヤモンドヘッド
この場所は下流から上流方向を見ています。中空内部は大空間のためちょっとの音でもよく響きます。また左右のコンクリートの壁が合流して見事なダイヤモンドヘッドを形成しているのがよくわかります。
下流への出口へのトンネル部分から上流方向を望む
会場設営準備の途中です。ちなみに私は「神」としてここに立ちました。
結婚式の後は見学会に
結婚式がひととおり終わった後はダム見学会になりました。
監査廊
乾燥していてきれいな監査廊です。
オリフィスゲート
オリフィスゲートも赤いです。
オリフィスゲートのスペックは以下のとおり。
内の倉ダム放流施設オリフィースゲート
現地銘板より
有効径間x有効高さ:6.0x4.0m
扉体半径:7.000m
開閉速度(鉛直):0.3m/min
扉体重量:25.0t
製作年月:昭和47年12月
製作:石川島播磨重工業株式会社
「オリフィースゲート」と書きましたが、現地の銘板の表現そのままです。
空気穴
中空重力式コンクリートダムなら必ずある空気穴です。
監査廊
中空の上部にある監査廊です。「5」は左右両岸のどちらからか数えて5番目の中空という意味だったように思いますが、すっかり忘れてしまいました💦
ダイヤモンドヘッド上部
ダイヤモンドヘッドの上部から下に見下ろしているところです。知らない人に「教会の内部です」って言ってもわからないかもしれません。
左岸下流側の外に出ます。
堤体内から左岸下流側の外に出ます。
左岸下流より堤体を望む
「おぉー」と感嘆の声が自然と漏れます。中空重力式コンクリートダムの巨躯が眼前に立ちはだかるのです。
さらに下流から内の倉ダム堤体下流面を望む
結婚式という晴れの舞台に赤いクレストゲートから白い放流―――冒頭でも書きましたが、本当に紅白を表しているようで最高のシチュエーションだと思います。
内の倉ダム放流動画
放流シーンは動画にまとめてみました。合わせてご視聴ください。
内の倉発電所放流設備
左岸にある建屋は内の倉発電所の放流設備です。写真はその一部。
以下はその設備のスペックになります。
名称 | 放流主バルブ | 放流副バルブ | 水圧管路制水バルブ | 水放流バルブ |
型式 | フィックスドコーンバルブ | 高圧スルースバルブ | 高圧スルースバルブ | 高圧スルースバルブ |
口径 | Φ1200mm | Φ1500mm | Φ1200mm | Φ150m |
設置数 | 1基 | 1基 | 1基 | 1基 |
開閉速度 | 0.05m/min | 0.05m/min | 0.10m/min | 0.10m/min |
開閉方式 | 電動スピンドル式 | 電動スピンドル式 | 電動スピンドル式 | 電動スピンドル式 |
製作:株式会社栗本鐵工所
施工:新潟企業株式会社
仮排水トンネル?
減勢工の先、写真奥に仮排水トンネルの構造物のようなものが見えます。
下流側左岸より減勢工を望む
左側の建屋から放流しているのは小放流バルブからの放流です。この放流は下流にある内の倉発電所の放水地点と内の倉ダムとの間の河川維持のためのものです。
左岸直下より堤体を見上げる
ダムを真下から見上げられるのって望外の喜びですよね。
エレベーターシャフト
エレベーター横にはプラムラインも設置されています。それにしても中空重力式コンクリートダムのむき出しになったエレベーターシャフトってなんか良いですよね。
プラムラインと底部機械室
こちらがエレベーター横のプラムライン。部屋じゃなくて上を写すべきでしたね…
揚圧力計
内の倉ダム深奥部にある揚圧力計。真っ暗な中でひっそりと佇んでいました。
管理所内部
最後は管理所内部を見学。モニターに愛好家の仲間が映っているのをコントローラーで確認(笑)
中空重力式コンクリートダムの堤体内で結婚式という類まれなるイベントに参列できてとても良かったと思います。しかも「神」という役割まで!その時の模様が新潟県のウェブページにアップされていますが、雰囲気だけでも伝われば…!
そして何かと見どころの多い内の倉ダム。個人でも5人以上なら平日に事前申込みで堤体内見学もできるようですので、機会があればぜひ見学してみてください。堤体内はもちろん下流は特におすすめです!
内の倉ダム諸元
所在地 | 新潟県新発田市小戸字足無沢3155 |
河川名 | 加治川水系内倉川 |
目的 | F(洪水調節、農地防災) A(かんがい用水) W(上水道用水) P(発電) |
型式 | HG(中空重力式コンクリートダム) |
堤高 | 82.5m |
堤頂長 | 166m |
堤体積 | 216,000㎥ |
流域面積 | 47.5km2 |
湛水面積 | 100ha |
総貯水容量 | 24,800,000㎥ |
有効貯水容量 | 22,200,000㎥ |
ダム事業者 | 北陸農政局 |
本体施工者 | 間組 |
着手年 | 1959年 |
竣工年 | 1973年 |
ダム湖名 | 内の倉湖 |
その他の設備/所感
駐車場 | ○ |
トイレ | ○ |
公園 | ○ |
PR展示館 | × |
釣り | ○(禁漁区を除く) |
内の倉ダム周辺の地図
内の倉ダム周辺の天気
実際に泊まった宿泊施設
※「月岡ニューホテル冠月」でしたが、2018年4月にホテルエリアワングループに入り、名称も変わったようです。
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