取材日:2013/06/08(土)
この日は大阪でイベントがあったのですが開始時間まで大阪府南部のダムを巡ろうということでやって来たのがこの新滝の池でした。現地の石碑は「新滝之池」、地図上では「新滝ノ池」と表記されることもあります。いろんなダム愛好家の方のブログやサイトで気になっていたダムでした。それはなぜかというと…
右岸下流にある駐車場
新滝の池は駐車場が完備されています。ほぼ満車状態!きっと大阪府民の憩いの場になっているのでしょう。
一般車両進入禁止
ダムサイトへは一般車は入れませんので、駐車場に車を止めて徒歩で移動します。新滝の池の奥には滝ノ池というアースダムもあるので合わせて見学します。
右岸より天端を望む
ダムサイトに到着しました。何か違和感がありませんか?天端がカーブを描いてる?まぁ、確かに重力式コンクリートダムなのに曲がってる点は違和感としては認められますが、そこじゃないんですよね。ちなみに左のワンちゃんのことじゃありませんよ😁
横山ノック知事(当時)による石碑
若い方はご存じないかもしれませんが、吉本の芸人を経て参議院議員だった横山ノック氏は新滝の池が竣工する1995年に大阪府知事となります。
名前に赤文字を使うと縁起が悪いってよく親に言われましたが、横山ノック氏は選挙活動時に女子大生にわいせつ行為をしていたとして告訴され、知事の職を追われ、ついには芸能界をも追放されるまでになります。
そんな横山ノック氏はすでに鬼籍に入っていますが、赤字とは言えこうして名前を刻まれることはかくも名誉なことだったことでしょう。
天端より洪水吐を望む
そしてすでにお気づきの方もいることでしょう。この新滝の池、なんと堤体が赤いのです。赤いが故に「シャア専用ダム」とよく言われたものです。放流量が通常の3倍速いとか多いとかそんなことは………ないと思います。
緑の中で映える色ということで赤色が選ばれたようですが、琵琶湖疎水の南禅寺水路閣のようなイメージを狙ったとも伝えられています。
また、変わっているのは堤体の色だけではありません。重力式コンクリートダムなのに洪水吐がフィルダムのように側水路式なのです。ダム名も「新滝の池」とまるでアースダムのようです。
天端のテラス?を望む
右岸側の天端、洪水吐きに隣接する形でテラスというかちょっとした展望台のようなものが設置されています。落書きされてるのはちょっとどうかと思いますね。ちなみにこのテラスのようなものは取水設備の上にあり、テラスとして単に位置を高くしたわけではないようです。
テラスから洪水吐を望む
洪水吐越流部の上部もうっすらと赤くなっているのがわかります。それにしてもここだけ見ると、アースダムかロックフィルダムのようですね。周辺にはベンチもあって良いですね。
右岸上流より洪水吐と堤体上流面を望む
テラスの下部にパイプが見えるかと思いますが、斜樋式の取水設備であることが分かります。また、赤色の部分は途中までで一定の深さ(おそらく常時満水位)から下は白色というかベージュ色になっているんですね。
天端よりダム湖を望む
それほど広いダム湖ではないのでバックウォーターがすぐ見えます。
高欄には照明の台座だけが取り残されています。どうも壊されてしまったようです。駐車場すぐにゲートがありましたが、こうした照明器具などが破壊されるため立ち入りを制限するようになったようです。また、トイレもあったようですが、やはり壊されてしまうようで今では閉鎖されているようです。テラスの落書きといい、土地柄なのか何なのかは分かりませんがホント許せないですね。
左岸より天端を望む
左岸までやって来ました。おしゃれな照明が立っていますが、きっと同じものが天端にも設置されていたんでしょうね。。。
左岸より堤体上流面を望む
ダム湖の護岸の遮水がかなりしっかり施工されているように見受けられます。もともとの地質は水が浸透しやすい性質だったのでしょうか。
左岸より堤体下流面…を望む
まったく見えません😓
左岸寄りの天端より下流を望む
ほとんど見えません😓
ですが、これは下流側のほとんどを建設時に生じた残土で埋めたのだそうです。そのため下流側はこんなに草木で覆い尽くされてしまったようです。
洪水吐上部の橋より下流を望む
こういう状況はアースダムによくありますね😁
堤体は重力式コンクリートダムなのですが、用途がかんがい用水ということもあり、斜樋式の取水設備や側水路式の洪水吐、下流の盛土などアースダムを匂わせる要素がそこかしこにあります。経緯は不明ですが、もともとアースダムにする予定が、地質の関係で重力式コンクリートダムに変更になったのでしょうか。
右岸の石碑
ダム湖の周囲は散策路として整備されています。堤体周辺をひとしきり見た後は、右岸側の散策路から上流の滝ノ池を目指します。
こちらは泉佐野市長の石碑ですね。
右岸の駐車場とトイレ
もともと公園としても整備されており、駐車場やトイレも完備されていました。しかし入り口はゲートで閉ざされ、トイレもいまでは閉鎖されているんだとか。芝生にもこの時はロープが張られていましたので、きっと心無い人達によって荒らされてしまったのでしょう。
自動車の通行…あれ!?
ふと1台の自動車が湖岸道路を走っていきました。一般車は進入禁止のこの道路。管理者にはとても見えなかったのですがさて…謎です。
右岸の散策路より堤体上流面を望む
改めてこうして見るとカラーリングがかなり変わったダムだということが分かります。しかも重力式コンクリートダムなのにカーブを描いているためアーチダムが堰き止めているようにも見えます。
という何から何までまるでアースダムのような赤い重力式コンクリートダムの新滝の池でした。
新滝の池諸元
所在地 | 大阪府泉佐野市上之郷 |
河川名 | 樫井川水系樫井川 |
目的 | A(かんがい用水) |
型式 | G(重力式コンクリートダム) |
堤高 | 26m |
堤頂長 | 105m |
堤体積 | 21,000㎥ |
流域面積 | 3.5km2 |
湛水面積 | 7ha |
総貯水容量 | 500,000㎥ |
有効貯水容量 | 480,000㎥ |
ダム事業者 | 大阪府 |
本体施工者 | 大成建設・奥村組・三井建設 |
着手年 | 1988年 |
竣工年 | 1995年 |
ダム湖名 | ― |
その他の設備/所感
駐車場 | ○ |
トイレ | ×? |
公園 | ○ |
PR展示館 | × |
釣り | ○ |
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