取材日:2013/06/08(土)
新滝の池、滝ノ池、稲倉池を訪問して、泉佐野市から隣接する熊取町に入り、この日4基目に訪れたのが永楽ダムでした。
左岸の駐車場
永楽ダムは奥山雨山自然公園内にあり、永楽ゆめの森公園も隣接し、ハイキングコースもあるため駐車場が整備されています。土曜日ということもありハイキングやジョギングをされる方を何人も見かけました。
天端への入り口
しかしまだ堤体が見えません。駐車場から南下すると天端への入り口がありますので、さらに徒歩で向かいます。
大阪みどりの百選
永楽ダムはダム湖周辺に桜の木が植えられており、その桜並木とセットで稲倉池同様に大阪みどりの百選の一つに選ばれているようです。また、水源の森百選にも選ばれています。
熊取町の歴史を示す石碑
ダム湖畔には熊取町の歴史を示す石碑が建てられています。他にもこうした石碑が点在しているようです。
奥山雨山自然公園案内図
散策マップです。上流方向だったのと標高が高く時間も限られていたので諦めたのですが、堤体上流面が見える展望台があるそうです。あと気になるバス停がマップに書かれています…
原子炉バス停!?
京都大学の原子力科学研究所が熊取町内にあり、今では「原子力研究所前」というバス停になっていますが、かつては「原子炉バス停」という名称だったようです。(あるいは愛称なのかも知れません)
左岸より堤体上流面を望む
散策マップの看板あたりから堤体上流面を捉えることができます。もうちょっと標高が高いと水を支えている感じに見えたかもしれません。
左岸より天端を望む
左岸から自動車が入れないため、当然天端は自動車の通行ができません。それにしても質実剛健な高欄です。やや高さもある上に厚みもあるため、背の低い私は天端からの撮影に少し苦労しました。
左岸より堤体下流面を望む
ちょっと木が生い茂って分かりづらいですが、堤体中央部にある薄い導流壁に見える段差は導流壁ではなく、中央部分だけコンクリートが厚くなっているようです。そのため段差になっています。
取水設備と余水吐
なぜか写真がピンぼけしていて恐縮です。写真右(左岸)がスピンドル式で開閉するスライドゲートの取水ゲート(の建屋)で、左(右岸)がラック式で開閉するローラーゲートの余水吐です。永楽ダムでは洪水吐とは言わずに余水吐となっています。
取水ゲートのスペックは以下の通り。取水ゲートは平成15年(2003年)に一式が更新されているようです。合わせて余水吐も開閉装置と扉体回転部が更新されているようです。
型式:スライドゲート
現地銘板より
寸法:有効径No.1~3 0.4m
No.4 0.5m
門数:4門
開閉方式:スピンドル式
開閉速度:0.3m/min
完成年月:平成15年1月
製作:日立造船株式会社
余水吐上部を見上げる
ラック式は中小規模のゲートに設置されるケースが多いのですが、効率が良いらしく、扉体自体の重量による自重降下が可能だったり、ゴミに強いというメリットもあるそうです。
天端より余水吐を望む
ゲートの上端部です。扉体が薄いことがよく分かります。
余水吐ゲートのスペックは以下の通りです。
型式:ローラゲート
現地銘板より
寸法:純径間4.5m、扉体高3.0m
門数:1門
開閉方式:ラック式
開閉速度:0.3m/min
最大設計水深:3.00m
巻上機:1.5kW
扉体重量:2.51t
竣工年月:1967年3月
(平成15年<2003年>1月、開閉装置と扉体回転部を更新)
製作:舞鶴重工業株式会社
(更新時:日立造船株式会社)
右岸より天端を望む
右岸まで移動しました。天端の高欄と上下流のパラペット?との隙間が気になります(笑)
右岸より堤体上流面を望む
天端と高欄が堤頂に対して少し張り出しているのが見て取れます。しかしこの無骨さが1960年代竣工という時代を象徴している気がします。
右岸より堤体下流面を望む
堤体の苔むした感じがまた良いですね。
魚釣り禁止
釣りは禁止されています。上水道の水源でもあるのでやむを得ない措置でしょう。
天端よりダム湖を望む
きれいなダム湖です。ダムペディアの透かしで隠れてしまっていますが、左側の山の頂上には展望台の東屋が見えます。機会があったら涼しい時期に攻略したいですね。
天端より下流を望む
かなり狭い導流部と減勢工です。導流壁もかなり低いです。下流左岸に見える施設は熊取町の永楽浄水場です。2013年のこの時は運用されていたのですが、残念ながら平成27年(2015年)に休止となってしまったようです。そのため永楽ダムは上水道用水としての目的を失ったように思いますが、実際のところは不明です。
永楽浄水場
その永楽浄水場に天端からクルマで移動しました。立入禁止となっていますが事務所に声をかけさせていただいたところ、快く立ち入りと撮影の許可をいただきました。浄水場の休止は水需要減少の影響のようですが、ご快諾いただいた職員さんのことを思うとちょっと残念ですね。
永楽浄水場の敷地内より堤体下流面を望む
ここからだと堤体中央部だけ厚みが増しているのが何となくでも見えるかと思います。それにしても浄水場が休止となると、この敷地から望むことはもはや難しい状況ですが、いつかまた再開できると良いですね。
永楽ダム諸元
(2020/11/2追記)浄水場休止に伴って上水道用水の目的が無くなるのではないかと熊取町に問い合わせたところ、以下のようにご回答いただきましたので追記します。
永楽浄水場は、永楽ダムが竣工した翌年の昭和44年7月に完成し、熊取町の一部地域に永楽浄水(水道水)を供給してきました。
しかし、施設の老朽化により平成27年2月に休止し、現在は、つばさが丘西配水池より大阪広域水道企業団から受水した水道水を供給しています。
永楽浄水場の施設は現在使用しておらず、今後は除却する予定です。
永楽ダムについては、灌漑用として引き続き使用します。
所在地 | 大阪府泉南郡熊取町上高田 |
河川名 | 見出川水系見出川 |
目的 | A(かんがい用水) |
型式 | G(重力式コンクリートダム) |
堤高 | 40m |
堤頂長 | 133m |
堤体積 | 46,000㎥ |
流域面積 | 10.4km2 |
湛水面積 | 6ha |
総貯水容量 | 729,000㎥ |
有効貯水容量 | 617,000㎥ |
ダム事業者 | 大阪府 |
本体施工者 | 鹿島建設 |
着手年 | 1965年 |
竣工年 | 1968年 |
ダム湖名 | ― |
ダム便覧には着手年不明、竣工年1967年となっていますが、熊取町のウェブページにその記載がありましたので、そちらを転載しています。
その他の設備/所感
駐車場 | ○ |
トイレ | ○ |
公園 | ○ |
PR展示館 | × |
釣り | × |
コメント