取材日:2014/12/10(水)
津川ダムに続いてやってきたのは黒木ダムでした。「くろき」ではなく「くろぎ」と読みます。黒木ダムも津川ダム同様に岡山県営のダムで同じ重力式コンクリートダムとなりますが、津川ダムよりも29歳も先輩だったりします。
左岸下流から堤体を見る
そんな黒木ダム先輩、下流側直下は残念ながら立ち入りが禁止されています。
左岸下流より堤体下流面を見る
立入禁止のロープから撮影を試みますが、樹木が視界を遮りこれが限界でした…
黒木ダム周辺の水力発電
黒木ダムでは河川維持用水を利用して最大100kWの発電を行うダム式発電の黒木ダム発電所(黒木えん堤発電所と表記されることもあります)と、加茂水路を経由して最大14,000kWの発電を行うダム水路式発電の加茂発電所に送水されて発電が行われています。
また、加茂川からも阿波取水堰から最大5.0㎥を取水し阿波支水路を経由して黒木ダムの貯水池に流入させています。
黒木ダムの目的は発電だけではなく洪水調節・かんがい用水・上水道用水もありますが、この看板は水力発電がメインとして書かれています。2014年のこの時は看板の文字がかなり薄くなってしまっています。
ちなみにGoogleストリートビューを見ると2021年の時点ではこの看板はフレームだけ残して撤去されてしまったようです。また、奥の樹木も伐採されたようで少しは眺望が良くなったようです。
氷ノ山・後山・那岐山国定公園案内図
黒木ダム上流は自然豊かな国定公園になっています。黒木ダムの上流にはキャンプ場もあります。
左岸展望台より…
左岸展望台から堤体が見えるようですが、残念ながらここも樹木が邪魔をします。ダム便覧に掲載された写真を見ると、もっと高い位置から望めるポイントもあるようですが、この時はよく分かりませんでした。
展望台
ものすごく広い展望台です。ベンチもあり休憩を取ることもできます。惜しむらくは木々が伸びて堤体が見えにくいことでしょうか。直近の黒木ダムについてのSNSの投稿を見てもこの展望台からの写真が投稿されていませんので変わらず眺望は良くないようですね。ところでこの展望台、もしかしてプラント跡だったりするのでしょうか。場所や広さからそんな気がしますがどうでしょう。
左岸より天端を見る
ちょっと暗くて見えづらいかも知れませんが、親柱に書かれた「黒木堰堤」が渋くてとても良いですね。天端は県道336号が通っていますので自動車の通行が可能になっています。ただこの日は上流で工事が行われていたようで、ダンプカーがそこそこの頻度で往来していました。
左岸より堤体下流面を見る
1966年生まれの堤体はなかなか渋さがありますね。苔むした感じがより一層その良さを引き立てています。
左岸より堤体上流面を見る
堤体上流面は構造的に雨が当たりにくいからか比較的白さが残っていますね。
取水塔操作室
T字をしたシンプルな取水塔です。
取水塔脇の謎バルブ
取水塔の脇に謎のバルブがありました。取水塔に貯まった水を排水するためのものでしょうか。
天端より貯水池を見る
右手に見える白い建物は艇庫で、ここからは見えませんが貯水池に向かってインクラインが伸びています。
右岸より堤体上流面を見る
堤体表面は水の跡で黒くなっていますが、それ以外は比較的白く上流面はあまり古さを感じさせません。
右岸より天端を見る
右岸は道路が直角カーブになっています。
右岸より堤体下流面を見る
やはり下流面の方がいぶし銀感があって良いですね。
天端より下流を見る
黒木ダムは非常用洪水吐に幅7.0mx高さ5.0mのラジアルゲートが3門あり、常用洪水吐にΦ1,100mmの放流管が2門備えられています。「放流管」とオフィシャルにも表記されているのでコンジットゲートかと思いましたが、位置的にはオリフィスゲートのようです。果たしてどちらになるのでしょうか…。
ゲート巻き上げ機
ゲート巻き上げ機は剥き出しになっています。剥き出しの方が下流への眺望が良くなりますし、仕組みが分かりやすいので個人的にはこちらの方が好みですが、管理側としてはどうなんでしょうね。基本的には遠隔操作になるとは言え、万が一の際には大雨の中で機側操作することになるでしょうし。(雪の日に操作することは稀だと思うので大丈夫ですよね)
黒木ダム完工記念碑と慰霊碑
左岸の管理所前で堤体を見守るようにして記念碑と慰霊碑が設置されています。記念碑は当時の岡山県知事加藤武徳による書です。
黒木ダム管理事務所
こちらが黒木ダム管理所。まだ8時なのでダムカードはいただきませんでした。
下流からの眺望が良いと最高なのですが、それでもいぶし銀の渋い黒木ダムでした。
黒木ダム諸元
所在地 | 岡山県津山市加茂町黒木 |
河川名 | 吉井川水系加茂川支流倉見川 |
目的 | F(洪水調節、農地防災) A(かんがい用水) W(上水道用水) P(発電) |
型式 | G(重力式コンクリートダム) |
堤高 | 53m |
堤頂長 | 193m |
堤体積 | 139,000㎥ |
流域面積 | 80.2km2(直接:49.2km2、間接:31km2) |
湛水面積 | 34ha |
総貯水容量 | 6,000,000㎥ |
有効貯水容量 | 5,075,000㎥ |
ダム事業者 | 岡山県 |
本体施工者 | 熊谷組 |
着手年 | 1963年 |
竣工年 | 1967年 |
ダム湖名 | ― |
その他の設備/所感
展望台は眺望が良くないので△としています。
駐車場 | ○ |
トイレ | ○ |
公園 | ○ |
PR展示館 | × |
釣り | ○? |
展望台 | △ |
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