取材日:2014/1/4(土)
この日、八幡谷ダムの次に訪問したのがこのみくまりダムでした。ダム名がひらがなという珍しいダムです。八幡谷ダムからみくまりダムにアプローチするには、地図の上ではみくまりダムの上流側から行けそうに見えますが、途中でフェンスがあるためグルっと下流側に回り込むしかありませんでした。
ダムのある三熊川流域では昭和58年9月の台風10号をはじめとした洪水の被害に悩まされており、さらに舞鶴若狭道やJR福知山線の伏線電化によって大阪や神戸のベッドタウン化した丹波篠山市は水需要が高まってきたこともあり、みくまりダムを建設するに至ったそうです。(ただダム建設後の2010年以降は人口が減少中…)
堤体下流面を見る
最初に下流側を観てみます。みくまりダムは2009年竣工という新しいダムのため、キレイなコンクリートの色をしていました。しかし到着早々小雨がぱらつくようになり、少しずつ堤体を濡らしていくのでした。
みくまりダムという名称の由来ですが、現地看板に以下のような記載がありました。
篠山盆地の北東部篠山川の上流に「水分(みくまり)の神」が住み、清らかなおいしい水をこの地に住む人々に分け与えていたとの言い伝えがあり、「水分(みくまり)の神」からこの地を「水分(みくまり)」と読んでいたそうです。その後、「みくまり」に「三熊(みくま)」と字が当てられたと伝えられており、ダム下流の三熊川沿いには今も水分神社があります。
現地看板より
下流の広場と駐車場
ダムのすぐ下流には広場があり駐車場がありますが、広場の形状がちょっと不思議な形をしています。東屋を建てる予定だったものの予算がなくて歩道だけ整備したのか謎です。
副ダム
堤体は県営ダムらしいデザインですが副ダムもスタンダードさを貫いているデザインです。でも丸みを帯びた越流部の施工に丁寧さを感じさせます。
クレスト&オリフィス
みくまりダムのクレストにある非常用洪水吐は自然越流で、常用洪水吐としてのオリフィスも同様に自然越流となっています。ちなみにクレストの敷高はEL.296.5m、オリフィスはEL.292.2m。
左岸より堤体下流面を見る
下流から天端に移動する途中で路側のような場所があり、そこから堤体下流面を捉えることができます。
さらに堤体に近づいて左岸より堤体下流面を見る
天端レベルの左岸はちょっとした広場になっていて、ここからもしっかりと堤体下流面を見ることができます。色んな場所から堤体が愛でられるのはとても良いことです。
左岸より天端を見る
天端は車止めがあり自動車の通行はできません。
天端より貯水池を見る
左の上流端はビオトープになっているようです。
水位計室
天端の下流側に水位計室があります。
取水設備室
天端の上流側には取水設備室があります。
取水ゲートのスペックは以下のとおり。
形式 | ステンレス鋼製スライドゲート |
門数 | 各1門(計4門) |
呑口寸法 | Φ0.200m(No.1) Φ0.350m(No.2・3) Φ0.600m(貯水位低下用) |
水密方式 | 後面4方金属水密 |
開閉装置 | 手動ギヤラック式(No.1) 電動スピンドル式(No.2・3・貯水位低下用) |
開閉速度 | 約0.3m/min(No.2・3・貯水位低下用) |
操作方式 | 手動操作(No.1) 機側及び遠方操作・自動操作(No.2・3・貯水位低下用) |
完成年月 | 平成21年3月 |
製作会社 | 株式会社丸島アクアシステム |
天端よりオリフィスの呑口を見る
オリフィスは流木などの漂流物が流れないようにするスクリーンで囲まれています。そういえば、みくまりダムのようにオリフィスにスクリーンのあるダムと無いダムがありますが、どういった違いで設置の有無が変わるんでしょうね。
天端より導流部・減勢工を見る
減勢工も至ってシンプルなものとなっています。
右岸より天端を見る
残念ながら左右両岸に展望台はありません。
右岸より堤体下流面を見る
右岸側もテラスのようになっていて下流面を見ることができます。
右岸より堤体上流面を見る
右岸道路は徒歩で進むことができるため堤体上流面を見ることもできます。上流側のコンクリート表面はまだまだ真っ白できれいでした。
洪水吐と取水設備のアップ
左が取水設備、右がクレストとオリフィスになります。
左岸の石碑
左岸に戻ってきました。左岸にはダム湖名を示す石碑が設置されています。大きな芋の湖と書いて「大芋湖(おくもっこ)」と言います。公募で決められたそうで、地元の大芋(おくも)小学校の児童のことを「大芋っ子」というところから来ているそうです。残念ながら小学校は2016年3月に廃校となり、2020年4月に校舎は「泊まれる学校おくも村」として8名以上の1団体限定の宿泊施設に生まれ変わったようです。
左岸より堤体上流面を見る
水位はEL.292.2mぐらい。オリフィスからさらさら流れているのでそりゃそうですよね。
左岸ダムサイト
左岸には広めの駐車場があり、ちょっとした広場もあります。
みくまりダム管理所
管理所も当然新しく立派な建物です。
堤体はいわゆる自治体型の標準的なデザインで、変わった名称を持つダムと貯水池ですが、2009年から丹波篠山市を守護するダムの一つとして新たに加わったみくまりダムでした。
みくまりダム諸元
所在地 | 兵庫県丹波篠山市三熊 |
河川名 | 加古川水系三熊川 |
目的 | F(洪水調節、農地防災) N(不特定用水、河川維持用水) W(上水道用水) |
型式 | G(重力式コンクリートダム) |
堤高 | 26m |
堤頂長 | 86m |
堤体積 | 18,000㎥ |
流域面積 | 1.7km2 |
湛水面積 | 6ha |
総貯水容量 | 380,000㎥ |
有効貯水容量 | 340,000㎥ |
ダム事業者 | 兵庫県 |
本体施工者 | 鹿島建設・株木建設・新井組 |
着手年 | 1993年 |
竣工年 | 2009年 |
ダム湖名 | 大芋湖 |
その他の設備/所感
駐車場 | ○ |
トイレ | × |
公園 | × |
PR展示館 | × |
釣り | ○? |
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