滋賀県のダム

3195-野洲川ダム/やすがわだむ

4.0
3195-野洲川ダム/やすがわだむ 滋賀県のダム
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所在地:滋賀県甲賀市土山町大河原字大川筋338
取材日:2010/12/06(月)

左岸より天端を望む

左岸より天端を望む

私の住む地域からこのダムに行くには、本来なら東名阪四日市インターから菰野町を経由して鈴鹿スカイラインを通ってこのダムに行くのが普通ですが、2010年のこの年は未だ2008年9月の豪雨災害から復旧していない状況で通行止が続いている状況でしたので、新名神甲賀土山インターからアプローチする形になりました。

また下調べをろくにせずに訪問したので下流からではなく天端レベルから見ることに。

そしてご覧のとおり天端は立入禁止です。

「野洲川堰堤竣工記念碑」と「野洲川ダム改修竣工記念碑」

「野洲川堰堤竣工記念碑」と「野洲川ダム改修竣工記念碑」

野洲川ダムは灌漑専用の重力式コンクリートダムです。下流の甲賀市・湖南市・栗東市・守山市・野洲市は穀倉地帯でもありましたが、水不足が度々発生し、水争いも頻発していたそうです。そこで安定した農業用水確保のため、農家の悲願でもあったこのダムは昭和14年に滋賀県の県営事業として着手されます。

しかし、昭和19年太平洋戦争激化によりダム仮締切・仮排水トンネルの工事を完了した状態で中断します。

戦後の混乱期は餓死者を出すほどの困窮した状態で、その状況を打破すべく当時の農林省は国営農業水利事業を発足させ、昭和22年より国営野洲川農業水利事業を施行します。

そして工事が中断していた野洲川ダムが再び日の目を見ることになり、事業は滋賀県から農林省へ移管、工事も再開し昭和26年に農家の長年の悲願であった野洲川ダムが完成するのです。

左岸より取水設備を望む

左岸より取水設備を望む

そうした歴史を持つダムですが、建設から50年が経過し老朽化が進行したため、堤体の嵩上げや洪水吐を改築するなど改修を行い、平成22年に改修工事が完了します。したがってここで紹介するダムは改修工事完了後の野洲川ダムとなります。古いいぶし銀のダムも好きですがフルリニューアルした現代的なコンクリートダムも悪くありません。

取水設備はスピンドル式の多孔式スライドゲートになっています。それにしてもこの日はとても水位が低く、丸見えなのが嬉しいですね(笑)

左岸よりダム湖側の堤体を望む

左岸よりダム湖側の堤体を望む

クレストゲートは流行の最先端を行く自由越流式。

左岸より下流を望む

左岸より下流を望む

なかなか下流側も整備されているようですが、後で下流側に行くと柵がしてあり入れませんでした。ただその柵はあくまで獣害対策用で扉は自由に開閉して立ち入っても良いはずだと数年経ってから聞かされました・・・。しかも2度めの訪問後に・・・。まぁ、近いのでいつでも行けるから良いもん!と気持ちを抑えています(笑)

左岸よりダム湖を望む

左岸よりダム湖を望む

ご覧のとおりこんなに水位が低いです。

野洲川ダム管理所

野洲川ダム管理所

さて、下流にやって来ました。雑誌「新建築」に載っていてもおかしくなさそうなデザインの管理所です。色んなダムの管理所を見てきていますが、個人的に一番カッコイイと思う管理所です。

下流より堤体を望む

下流より堤体を望む

先述の柵により下流を見るにはこの場所が限界だと思って撮った一枚。もっと堤体にお近づきになりたかったです。また秋にでも行こうかな。

下流より左岸の導流壁を望む

下流より左岸の導流壁を望む

管理所もカッコイイですが、堤体ももちろんカッコイイ。この導流壁なんてフーチングとセットで見ると、見れば見るほどカッコイイです。

下流より左岸のフーチングを望む

下流より左岸のフーチングを望む

細部に渡り緻密に設計されているように感じます。管理所のデザインもそうですが、総合的にデザインされている感じがとても好感が持てます。

下流より洪水吐を望む

下流より洪水吐を望む

個人的にはこうしたゲートレスタイプよりもメカニカルなゲートの方が好きですがこれも時代の流れ。歴史ある野洲川ダムはこうして生まれ変わったわけですが、今後も国家100年の計のために頑張って欲しいですね。

2012年5月5日の放流の様子

再訪した2012年5月5日には放流している姿を見ることができました。その時の様子はダムログに簡単にまとめていますのでよろしければこちらもどうぞ。⇒ 野洲川ダムの放流と青土ダムの越流を見てきた | ダムログ :: damlog

野洲川ダム諸元(カッコ内は改修前のスペックなど)

河川名淀川水系野洲川
目的かんがい用水
型式重力式コンクリートダム
堤高54.4m(52.7m)
堤頂長142m(141.0m)
堤体積114,000m3(98,000m3)
流域面積32.5km2
湛水面積50ha
総貯水容量8,500,000m3
有効貯水容量7,280,000m3
ダム事業者近畿農政局(野洲川土地改良区)
本体施工者西松・三井住友(西松建設)
着手年2001年(1939年)
竣工年2009年(1951年)

その他の設備/所感

駐車場管理所脇や左岸のダムサイトに駐車場があります。
トイレ×
公園
PR展示館×
釣り
この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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