所在地:愛知県瀬戸市馬ヶ城町
何気なくダム便覧を見ていると、瀬戸市に市営のダムがあることを発見。しかも某マスターが行けなかったと聞きつけ、走りなれた道をすっ飛ばし、行ってきました馬ヶ城ダム。
立入禁止・・・
・・・と、いとも簡単に辿り着いたと思ったら、いきなりこれかよ・・・。マスターの「辿り着けなかった」ってこの意味かよ・・・。
馬ヶ城水源地
「ダム風土記」によると、大分県の白水堰堤を思い出すほどうろこ状に流れる水が綺麗だと聞いていたのに・・・。
悔し紛れに表札(?)を撮影・・・。
きっとこの先に堤体が・・・
さらに悔し紛れに門の間から撮影。嗚呼、残念無念・・・orz
ダム諸元
型式 | 重力式コンクリートダム |
目的 | 上水道用水 |
堤高 | 16.6m |
堤頂長 | 54.5m |
堤体積 | 6,000m3 |
集水面積 | 0km2 |
湛水面積 | 0ha |
総貯水容量 | 200,000m3 |
有効貯水容量 | 199,000m3 |
ダム湖名 | 馬ヶ城貯水池 |
河川名 | 庄内川水系古瀬戸川 |
着手年 | 1931年 |
竣工年 | 1933年 |
Access to D@M | 万博のために作られた(笑)名古屋瀬戸道路長久手IC下車→万博会場を右手に見て県道6号線を東へ(わき見しないように注意)→八草IC下車→「八草IC北」信号交差点を左折→国道155号線を6kmほど北上→瀬戸市中心部に入り、「記念橋北」信号交差点を右折し国道248号線を東へ→「東古瀬戸町」信号交差点を過ぎ、右手にあるエネオスのガソリンスタンドの手前を右折→T字路を左折→そこに馬ヶ城水源地の門があります |
その他の設備/所感
実に残念な結果です。ですが、もしかしたら瀬戸市にお願いすれば、見学が出来るかもしれません。
(2018/6/24追記:毎年6月第1日曜日が見学会となっています)
駐車場 | ○(一般開放日のみ) |
トイレ | ○(一般開放日のみ) |
公園 | × |
PR展示館 | ○(一般開放日のみ) |
釣り | × |
…と、ここまでは2004年8月28日の訪問時の記事でした。その数年後、年に1回だけ水道週間に合わせて6月第1日曜日に馬ヶ城浄水場が開放され、その時だけ馬ヶ城ダムが見学できるという情報を聞きつけます。しかし仕事やらなんやらで忙してなかなか行けず、ようやく2013年6月2日に見学できる機会が訪れました。
2013年6月2日の馬ヶ城浄水場一般開放
この時はまだ浄水場の敷地内に駐車することができました。クルマの向こうに見えるのは瀬戸市の銘木に指定されているヒマラヤ杉になります。
正門から入ってすぐの緩速ろ過池(かんそくろかち)になります。…って書いたものの合ってますよね?
現代の浄水場は薬品を投入して浄水する急速ろ過が一般的です。しかし馬ヶ城浄水場では緩速ろ過という古くからの方法が用いられています。緩速ろ過は谷川から引いてきた水を1日に4~5mというゆったりとした速度で、約8時間かけて1mの砂層を使ってろ過させるものです。
取水設備から送られてきた原水(げんすい)を1日の配水量に合わせてろ過量を調整するのがこの着水井(ちゃくすいせい)になります。ちなみに馬ヶ城浄水場にはもう1箇所「赤津着水井」と呼ばれる着水井があります。(後述)
少しずつゆっくりと確実に堤体に近づいていきます。緩速ろ過池と着水井を過ぎると奥に下り階段があり、それを降りると下の写真のようなちょっとした庭園のような広場に到着します。
そこでは水道水の試飲コーナーが行われていました。聞き水みたいなことができますね。
試飲コーナーの奥に見える淡い水色の木造の建物が水源地事務所になります。浄水場が建設された当時からある昭和レトロな建物です。
中は水道資料室になっており、貴重な資料や展示物を見ることができます。水道設置指標や量水器の蓋が陶磁器製なのはいかにも瀬戸らしいなと思いますが、量水器の蓋は太平洋戦争中に鉄が不足したための代用品なのだそうです。
浄水場やダム建設時の貴重な写真も掲示されています。
竣工時、導流部に作り物の鯉を登らせたという写真もあります。
昭和初期の貴重な写真です。
馬ヶ城ダムの建設中の写真もあります。時代が時代なのでみんなヘルメットをしていません💦
軌道も見えるのでトロッコで掘削土などを運んでいたようです。
分かりやすい馬ヶ城浄水場の全体図です。猿投山の谷を流れる山路川から取水する西谷取水場と、三国山の谷を流れる赤津川から取水する本谷取水場があり、赤津着水井を経由して一部は馬ヶ城貯水池に貯えられ、一部は緩速ろ過池へ流れて水道水として利用されます。なお、西谷・本谷の各取水場と赤津着水井は当然非公開です。瀬戸市民の生命に関わる重要な施設ですから当然ですね。
普段なら立ち入ると不法侵入として法律に触れてしまい瀬戸警察署に通報されてしまう馬ヶ城ダムも毎年6月第1日曜日だけは大手を振って入ることができます。(そういえば2023年現在、下の写真の看板は無かったような…)
実に9年越しに念願叶って観ることができた馬ヶ城ダムの姿がこちらです。しかしこの日は残念ながら水量が少なく越流はしっとりと濡れる程度でした。それでも初めて生で観る馬ヶ城ダムの姿に感激です。
今では左岸にはロープが張られあまり堤体に近づけないようになっていましたが、この年はまだ近づくことができました。
安全に配慮してか、この時はまだ天端には入ることができませんでした。要望があまりに多かったのか2015~2018年にはゲート上部まで行くことができるようになりました。
天端の左岸側の壁面には建設に携わった方々の名前が明記されています。
馬ヶ城堰堤
馬ヶ城ダム左岸のレリーフより
市長 小出鉢三
顧問 北澤忠男
部長 池田顕三郎
主任 天野武一
設計 新原芳夫
監督 渡邊忠吾
西谷取水場と本谷取水場から取水した水が濁っていた場合、そのまま浄水場に流すと水道水としては使えないため、綺麗なダム湖の水からの取水に切り替えるための弁です。しかしそれ以外の方法があるのだと2023年の見学で知ることになります。(後述)
改めて下流面を見ます。毎年1年に1度しか思い出を積み重ねることしかできませんが、馬ヶ城ダムはそれでも重みと厚みのある思い出をぼくに提供してくれます。
今ではフェンスができてしまい、ここまで立ち入ることはできなくなったため貴重なショットと言えるかもしれません。
重厚感あるコンクリートの表面です。流量が少ないのは翻って貴重とも言えるかもしれません。
毎回現地の職員さんに確認しそびれてしまうのですが、たぶんこの穴は土砂吐だと思います。
金属探知機だったか地中の配管を探すという体験コーナーを体験する当時6歳の我が息子。そういえばコロナ以降はこのコーナーが無いような…
次のページでは2014年6月1日の一般開放の模様をお送りします。
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