三重県のダム

1312-七色ダム/なないろだむ

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1312-七色ダム/なないろだむ 三重県のダム
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取材日:2013/3/24(日)

七色ダムまで出来上がったダム愛好家ヘルメットを取りに行くというミッションのため、奥里ダムの次に訪問したのがこの七色ダムです。七色ダムは電源開発が所有する発電専用のダムで、上流にある池原発電所から出る水の下流調整池としての役割も兼ねています。

ちなみに左岸が三重県熊野市、右岸が和歌山県東牟婁郡北山村と県境に位置するダムですが、電源開発では三重県としていますので、カテゴリー上でも三重県としています。

また、2020年現在北山村は和歌山県唯一の村であり、四方を奈良県と三重県に囲まれた日本で唯一の飛び地の自治体としても有名です。

展望台とミニ放流注意看板

七色ダムに到着し、無事にヘルメットを受け取って堤体を見学します。七色ダムは下流側にこうした展望台が2箇所あります。放流注意看板がかなりコンパクトなものになっていますね。

展望台とミニ放流注意看板
展望台とミニ放流注意看板

展望台より堤体下流面を望む

ちょうど中央の4号ゲートより放流していました。偶然なのか狙ってのことなのかは不明ですが、七色ダムには7門のゲートがあります。

堤体に向かって右側に東屋が見えると思いますが、あれがもう一つの展望台です。

展望台より堤体下流面を望む
展望台より堤体下流面を望む

展望台周辺

しかしその展望台の周辺は護岸が壊れて大変なことになっていました。これも2011年の紀伊半島大水害の影響でしょう。

展望台周辺
展望台周辺

左岸天端レベルより堤体下流面を望む

天端レベルの左岸は整備されていて、七色ダムの解説看板やベンチがあり、駐車場のようなスペースも確保されていたりします。ただ草木が生い茂って堤体の一部が隠れてしまうのがちょっと残念。

左岸天端レベルより堤体下流面を望む
左岸天端レベルより堤体下流面を望む

県境看板

北山川が三重県と和歌山県の県境を流れ、七色ダムが県境に位置することを示す看板です。天端は国道169号を通っていますが、「重力式アーチダム+県境+天端国道」って最強じゃないですか。

県境看板
県境看板

左岸よりゲートピアを望む

堤体全体が望めないのはちょっと残念ですが、それでも重力式アーチの堂々たるゲートピアが望めます。同じ重力式アーチでも鷲ダムのようなダムとはまた一線を画するデザインです。

左岸よりゲートピアを望む
左岸よりゲートピアを望む

左岸より天端を望む

重厚感あふれる天端国道。

左岸より天端を望む
左岸より天端を望む

左岸より堤体上流面を望む

ゲートの大部分が水に没しているのが分かります。左岸側の堤体に付属しているシルバーのものは河川維持のため取水設備です。サイフォン方式で取水し、それを利用して発電も行い、0.23~2.0m3/sの間で放流しています。

左岸より堤体上流面を望む
左岸より堤体上流面を望む

河川維持用水用の取水設備

その取水設備がこれです。きちんと網場で囲まれているのが分かるかと思います。

河川維持用水用の取水設備
河川維持用水用の取水設備

七色ダム河川維持流量放流パターン表

面白かったのがこの表。時期によって1時間だけ放流量がズレるだけなのに、律儀に表になっているあたり、電源開発の真面目な企業体質が垣間見えます。

七色ダム河川維持流量放流パターン表
七色ダム河川維持流量放流パターン表

天端よりダム湖を望む

釣りのメッカとしても知られる七色ダムですが、ダム好きなTOKIOの長瀬くんが一番好きなダムとテレビで答えていたのが七色ダムだったりします。(ただ彼の場合は釣り好きが高じて…ということもありますが)

天端よりダム湖を望む
天端よりダム湖を望む

天端より下流を望む

放流している3号ゲートからの様子です。堤体のアールに合わせた副ダムがあり、それによって堰き止められた幅の広い減勢池があります。

天端より下流を望む
天端より下流を望む

ローラーゲートのスペックは以下のとおりです。

型式・数量:ローラゲート 7門(内1門は決瀉板付)
※現地銘板では「瀉」はサンズイに写。
純径間x扉高:14.863mx15.481m
開閉速度:0.3m/分
扉体重量:101.7t
 付属決瀉板
 型式・数量:スピンドル式決瀉板 1門
 純径間x扉高:6.0mx1.5m
製作年月:昭和40年4月
製作:株式会社田原製作所

現地銘板より

「決瀉板」とはフラッシュボードの事を言い、流木などの浮遊物を下流に流すためのゲート上部についた小さな板のことです。最も右岸側のゲートに付属しています。ですが、この情報を当時完全に見逃していたため、残念ながらその部分のゲートは撮っていません…。

あと田原製作所は平成17年に豊国工業に事業譲渡され、残念ながら会社としては存在していません。でもマインドやスピリットは豊国工業にきっと受け継がれているはずです。

七色発電所管理所

右岸側に発電所があります。七色発電所は昭和40年7月28日に運転が開始され、最大出力82,000KW、最大使用水量140m3/s、最大有効落差は69.30mとのことです。

七色発電所
七色発電所

取水口を望む

巨大な取水口のローラーゲートです。

取水口を望む
取水口を望む

天端より右岸方向を望む

右岸はそのままトンネルへとつながっています。

天端より右岸方向を望む
天端より左岸方向を望む

右岸より天端を望む

質実剛健な銘板です。これだけでもめっちゃかっこいい。

右岸より天端を望む
右岸より天端を望む

いつかきっとTOKIOの長瀬くんにここで会う日が来るかもしれません。それにフラッシュボードもそうですが、色々と見逃している箇所もあるため、また改めて訪問したいそんな七色ダムでした。

おまけの放流動画

七色ダムの放流の模様を動画にしてみました。

七色ダム諸元

所在地左岸:三重県熊野市神川町神上字横山
右岸:和歌山県東牟婁郡北山村
河川名新宮川水系北山川
目的P(発電)
型式GA(重力式アーチダム)
堤高61m
堤頂長200.8m
堤体積157,000m3
流域面積462km2
湛水面積332ha
総貯水容量61,300,000m3
有効貯水容量10,700,000m3
ダム事業者電源開発(株)
本体施工者大林組
着手年1963年
竣工年1965年
ダム湖名

その他の設備/所感

駐車場はそこかしこにありますので、駐車に苦労することはないと思います。トイレは第2展望台やキャンプ場にあります。

駐車場
トイレ
公園
PR展示館×
釣り○(禁漁区域を除く)

七色ダム周辺の地図

七色ダムに近いと思われる宿泊施設

この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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