取材日:2013/06/16(日)
出し平ダムに続き黒部峡谷鉄道に乗って欅平を目指します。
関西電力 黒部川第二発電所・目黒橋
出し平ダムを過ぎてしばらくすると右手に大きく白い建物が見えてきます。これが黒部川第二発電所で、これから向かう小屋平ダムで取水された水がここまで送水され、最大で72,000kWの電力が生み出されます。
近代化産業遺産でもある発電所建屋の設計はモダニズム建築の名手であった山口文象によるもので、小屋平ダムの設計にも携わっています。右手から建屋に延びている橋は目黒橋という名称で、フィーレンディール+上路プレートガーダーという型式だそうです。
橋の上には猫又駅から分岐した線路が敷かれており、発電所への資材搬入に利用されています。
それにしても新緑の緑と赤い鉄橋、そして白亜の発電所建屋。この素晴らしいトリニティの融合は未来永劫残しておきたい風景です。
ちなみに目黒橋の下には猫又堰堤という取水堰がありましたが、平成7年7月豪雨により大量の土砂で埋没してしまいます。猫又堰堤のゲートにはローリングゲートが採用されていましたが、この豪雨を契機に撤去されてしまいました。
徐々に見えてくる小屋平ダム
カタンカタンと黒部峡谷鉄道はさらに上流を目指します。するとチラリと小屋平ダムが見えてきました。
さらに近づく小屋平ダム
ドキドキワクワクの小屋平ダム。
小屋平駅から小屋平ダムの堤体下流面を望む
小屋平駅で停車しました。しかし残念ながら小屋平駅は関西電力専用駅のため旅客は降車できません。黒部峡谷鉄道は単線のため、この停車は欅平からの列車との行き違いによるものなのです。停車したその時が小屋平ダムのシャッターチャンス!乗車しながら小屋平ダムの勇姿をカメラに収め&眺めます。できればあのフェンスまで行って小屋平ダムの全身が見てみたいですね。
小屋平駅より小屋平ダムのゲート部分を望む
小屋平ダムのクレストゲートはシェル構造ローラーゲートで斜めに引き揚げるようになっています。また、上流にある仙人谷ダムのゲートも同じ構造だそうです。
左岸より小屋平ダムの堤体上流面を望む
小屋平駅を出発し堤体の上流面を望みます。黒部川のエメラルドグリーンの水がとても綺麗です。
左岸より貯水池と堤体上流面を望む
欅平周辺を散策した後、再び宇奈月温泉に戻ります。午前中は晴れていたのに、あっという間に曇ってしまいました。さすが山の天気です。それにしても堆砂がすごいですね。
冬季歩道?
恐らく冬季歩道だと思われるコンクリート構造物が見えています。
上流側制水門と小屋平ダム左岸
小屋平ダムのダムサイトにはこんな巨大な構造物があります。大雪でも正常に動けるように中には制水門が格納されているのですが、あまりにも巨大すぎて奥の小屋平ダムよりも目立っています。制水門と堤体の間に小屋平駅から分岐した線路も見えます。
沈砂池
前述の通り堆砂の激しい貯水池ですので、取水口から土砂の流入が少なからずあるようで、このコンクリートで覆われた広場のような空間の下に沈砂池が設けられています。手前と奥に石が等間隔に置かれていますが、単なる意匠でしょうか…?
下流側制水門
下流側にも制水門がありますが、こちらは上流よりも一回り小さいサイズです。それでもトロッコ電車から見るとあまりの巨大さに驚きます。それにしてもどんなゲートが格納されているのかとか、メンテナンスはどう行われているのか気になります。
下流側制水門のさらに下流面
ゲート交換は行わない前提なんでしょうか…?
小屋平駅から小屋平ダムを望む
木屋平駅に戻ってきました。木々の間から小屋平ダムが見えます。
小屋平駅から小屋平ダム
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるの精神で何度も何度もシャッターを切ります。往路も観たじゃんって言われそうですがそれはそれです。
小屋平駅から小屋平ダムを望む
今すぐ飛び降りてあのフェンスまで行きたいという衝動を堪えます。
復路も停車
復路も対向列車との行き違いのため小屋平駅で停車しました。ダイヤによってはそのまま通過することもあるらしく、往路も復路も遠目で短時間でも石小屋ダムをじっと観ることができてよかったです。
できることなら小屋平ダムを至近距離で眺めたいのですが、ここはぜひ見学会を開催していただきたいところですね。欅平駅から黒部ダム(富山)までの関西電力黒部専用鉄道を含めたいわゆる黒部ルートは、抽選で見学ができる「黒部ルート見学会」に参加しないと見学できませんが、2024年を目処に観光ルートとして一般開放を目指しているそうです。
これを機会にぜひ出し平ダム・小屋平ダム・仙人谷ダムも気軽に見学できるようになるとより良いですね。
小屋平ダム動画
動画でも撮影していましたのでまとめてみました。撮り方がとても雑ですが、鉄道に乗車しながらダム見学の雰囲気だけでも感じていただければ幸いです。
小屋平ダム諸元
所在地 | 富山県黒部市宇奈月町黒部奥山国有林内 |
河川名 | 黒部川水系黒部川 |
目的 | P(発電) |
型式 | G(重力式コンクリートダム) |
堤高 | 54.5m |
堤頂長 | 119.7m |
堤体積 | 86,000㎥ |
流域面積 | 404.8km2 |
湛水面積 | 10ha |
総貯水容量 | 2,122,000㎥ |
有効貯水容量 | 505,000㎥ |
ダム事業者 | 関西電力 |
本体施工者 | 大林組 |
着手年 | 1933年 |
竣工年 | 1936年 |
ダム湖名 | ― |
その他の設備/所感
駐車場 | × |
トイレ | × |
公園 | × |
PR展示館 | × |
釣り | × |
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