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岡山県のダム

1909-苫田ダム(とまただむ)

5.0
1909-苫田ダム(とまただむ)岡山県のダム
この記事は13分で読めます。

取材日:2014/12/10(水)

苫田鞍部ダムからほんの少し移動するだけで到着したのがこの苫田ダムになります。この日の8基目のダムとなります。ずっと他の方が撮影した写真などを見て見学したいと思っていましたが、やっとお初にお目にかかることができました。

左岸の入口ゲート

入口のゲートは22時~翌朝6時は閉鎖されるようです。滅多にいないと思いますが早朝から苫田ダムを起点にダム巡りしたい人は要注意ですね。

左岸の入口ゲート
左岸の入口ゲート

左岸より堤体上流面を見る

「これまでのダムの歴史の集大成!機能が全部詰まってます!」と言わんばかりの堤体上流面です。情報量がとにかく多い。左から左岸側のラビリンス型洪水吐(公式にはラビリンス型自由越流頂と表現しています)、円形多段式選択取水設備、左岸側の常用洪水吐予備ゲート、水位維持用放流設備の予備ゲート、右岸側の常用洪水吐予備ゲート、右岸側のラビリンス型洪水吐といった構成です。各予備ゲートの上部はラビリンス型ではない自由越流式の洪水吐も備わっています。

左岸より堤体上流面を見る
左岸より堤体上流面を見る

左岸より天端を見る

天端は自動車の通行が可能になっています。また、ありがたいことにしっかりと上流と下流の両方に歩道が整備されています。

左岸より天端を見る
左岸より天端を見る

左岸よりラビリンス型洪水吐を見る

苫田ダムの特徴の一つであるラビリンス型洪水吐は、直線型の洪水吐と比べると越流頂が2倍も稼げ、その分放流量もアップできるということで採用されています。そのデザインもさることながら本当に機能美の極致だと思います。

左岸よりラビリンス型洪水吐を見る
左岸よりラビリンス型洪水吐を見る

苫田ダム利水放流設備整備工事看板

入口ゲートに「ダムの放流用ゲートを整備しています」という工事看板が立てられていましたが、その詳細な内容を解説する看板です。とてもわかり易く解説されていました。

苫田ダム利水放流設備整備工事看板
苫田ダム利水放流設備整備工事看板

選択取水設備の上部より左岸のラビリンス型洪水吐を見る

色んなアングルから見られるのも苫田ダムの特徴の一つです。ラビリンス型洪水吐も天端から上下流はもちろん左岸側からも右岸側からもじっくりとその構造を観察することができます。越流の様子は試験湛水の時にぜひ見てみたかったですね。

選択取水設備の上部より左岸のラビリンス型洪水吐を見る
選択取水設備の上部より左岸のラビリンス型洪水吐を見る

選択取水設備上部

とてもダムの構造物の一部とは思えないデザインです。まるでコンクリートによって構成されるモダン建築物のようです。

選択取水設備上部
選択取水設備上部

選択取水設備上部の展望台

選択取水設備の横の階段を登ると展望台が広がっています。選択取水設備の規模が大きいためこの展望台も必然的に広くなりますが、他のダムではなかなか無い広さだと思います。

選択取水設備上部の展望台
選択取水設備上部の展望台

選択取水設備の展望台より貯水池を見る

湛水面積が330haある苫田ダムの貯水池ですが、貯水池が大きくうねるようにしてカーブを描いているため堤体からはそこまで広い貯水池には見えません。

選択取水設備の展望台より貯水池を見る
選択取水設備の展望台より貯水池を見る

選択取水設備の展望台よりその右岸側の堤体上流面を見る

こんなに近い距離で上流面がしっかりと見られるのは嬉しい配慮ですね。いやはやホントすごい。

選択取水設備の展望台よりその右岸側の堤体上流面を見る
選択取水設備の展望台よりその右岸側の堤体上流面を見る

天端のほぼ中央より上流方向を見る

天端のほぼ中央、水位維持用放流設備の上部にいます。監査廊の入口のようなものがポツンとあるのが気になりますが、設計上やむを得ずこうなったのでしょう。しかしこれすらもデザインに取り込まれているかのようです。ダムのことを知らない人にこの写真を見せたら絶対にダムだなんて思わないでしょうね。

天端のほぼ中央より上流方向を見る
天端のほぼ中央より上流方向を見る

非常用洪水吐

右岸側の非常用洪水吐で常用洪水吐(コンジットゲート)の上部にあたります。そのため下の方に三角形のデフレクターが見えます。また、この箇所の非常用洪水吐はラビリンス型ではなく直線型になっています。

非常用洪水吐
非常用洪水吐

堤体内見学通路入口

苫田ダムのすごいところはさらに堤体内(の一部)が見学できるところでしょうか。8:30~17:00であれば自由に見学できるようです。

堤体内見学通路入口
堤体内見学通路入口

堤体内見学入口内部

一旦階段を降りるようなつくりになっています。

堤体内見学入口内部
堤体内見学入口内部

エレベーターホール

階段を降りるとエレベーターホールがすぐに見えます。壁には地元鏡野町のものと思われる風景画が掲示されていました。

エレベーターホール
エレベーターホール

エレベーター内部

自由に見学ができるのはEL.208mのB2階までとなります。

エレベーター内部
エレベーター内部

B2階エレベーターホール

もともと見学用の通路として計画されているので、監査廊と比較してかなり広くつくられているのが大きな違いですよね。

B2階エレベーターホール
B2階エレベーターホール

水位維持放流設備見学室

こんな見せ方は他のダムではなかなかありませんが、よく考えてあるなぁと設計した方に脱帽です。惜しむらくはバリアフリー設計になっていない点でしょうか。恐らくスペースの確保が難しいのだと思います。スロープにしようと思うともっと広く取る必要がありますしね。

水位維持放流設備見学室
水位維持放流設備見学室

水位維持放流設備見学室より下流を見る

見学室は3方向がガラス張りになっていて、正面は下流方向を見ることができます。まるで自分が苫田ダムになったような気分です。

水位維持放流設備見学室より下流を見る
水位維持放流設備見学室より下流を見る

見学室より左岸側を見る

苫田ダムの水位維持放流設備は「引っ張りラジアルゲート」といって、通常の高圧ラジアルゲートとは異なるゲートが採用されています。高圧ラジアルゲートは水圧を脚柱の圧縮荷重で支持しますが、引っ張りに強いという鋼材の特性を逆転の発想で活かし、脚柱の引っ張りによって水圧を支持するゲートが引っ張りラジアルゲートなのです。

見学室より左岸側を見る
見学室より左岸側を見る

右岸側の引っ張りラジアルゲートを見る

苫田ダムの引っ張りラジアルゲートは2門あり、その中間上部に見学室が設けられているため、左右にゲートを見ることができます。一般の人に見学してもらうことを考慮して設計されているのがものすごく嬉しいですね。

右岸側の引っ張りラジアルゲートを見る
右岸側の引っ張りラジアルゲートを見る

右岸より上流面を見る

逆光がかなりキツイ写真になってしまいましたが、ラビリンス型洪水吐の構造がよく見えます。その上流面も思った以上に複雑な形状をしています。

右岸より上流面を見る
右岸より上流面を見る

苫田ダム管理所ファサード

とてもダム管理所とは思えない設計です。設計は建築家の内藤廣。1Fはピロティになっていて事務所への入口と苫田ダム資料室が南西の位置にあります。2Fが管理事務所となっているようです。柱と2F部分の間にあるのは免震装置でしょうか。

苫田ダム管理所ファサード
苫田ダム管理所ファサード

管理所(北東面)

さすがに素晴らしすぎて色んな角度から管理所を撮影しました。

管理所(北東面)
管理所(北東面)

管理所(南西面)

ともすれば比較的直線で構成されたデザインですが、南西側は少し丘のようになっていて、訪れる人にやさしさをもたらしているようにも感じます。また、堤体に対して直方体の管理所はほぼ直角で配置されていますが、歩行者通路とは角度を付けることによって見学者に訪問しやすくしているように感じました。それがこの写真手前から伸びるスロープ通路にも現れているようです。

管理所(南西面)
管理所(南西面)

管理所ピロティ

ピロティは車寄せとしての機能を果たすだけでなく、天端からの道路をここに通しています。ちなみに真ん中は吹き抜けになっています。

管理所ピロティ
管理所ピロティ

苫田ダム資料室入口

苫田ダムの資料室を見学します。

苫田ダム資料室入口
苫田ダム資料室入口

大きなスパナ

何に使われていたものなのか記憶にありませんが、大きなスパナが展示されていました。壁の写真パネルは建設中の様子を撮影されたものが掲示されています。

大きなスパナ
大きなスパナ

引っ張りラジアルゲートの模型

これって駆動式でしたっけ…?ともかく資料室の中には引っ張りラジアルゲートの模型も展示されています。

引っ張りラジアルゲートの模型
引っ張りラジアルゲートの模型

苫田ダム全体模型

コルクと木材で作られた巨大な苫田ダムの模型です。山はコルクを1枚1枚貼り合わせているんだと思いますが、これはすごい…

苫田ダム全体模型
苫田ダム全体模型

管理所裏のリムトンネル

資料室から外に出ました。管理所の裏には入ることはできませんがリムトンネルがあります。

管理所裏のリムトンネル
管理所裏のリムトンネル

資料室横の展望台より堤体下流面を見る

どうぞ見てくださいと言わんばかりに色んな角度から見ることができる苫田ダム。必然的に写真枚数も多くなり、今回選定にはちょっと苦労しました。この記事もやっと半分といったところでしょうか。

資料室横の展望台より堤体下流面を見る
資料室横の展望台より堤体下流面を見る

右岸より天端を見る

この時「あの山に展望台があると良いのになぁ」などと思っていますが、その後その思いが少し違う形で叶うことになります。

右岸より天端を見る
右岸より天端を見る

天端より下流を見る

苫田ダムはダム愛好家にとっても立地が良いと言えるかもしれません。谷筋に建設されるダムですが、河川がカーブしている箇所に建設されることも少なくなく、せっかくの良ダムなのに下流側から堤体を見上げることのできないダムもしばしばあります。苫田ダムの下流は500mほど直線になっているため、下流からその姿をしっかりと受け止めることができるようになっているのです。

天端より下流を見る
天端より下流を見る

堤体左岸付近

左岸まで戻ってきました。わざわざ左岸の下流側に歩けるスペースが設けられていて、ともすれば立入禁止にしがちなこの場所もちゃんと見学できるようになっているという配慮がめちゃくちゃ嬉しいですね。

堤体左岸付近
堤体左岸付近

左岸の展望スペースより堤体下流面を見る

上の写真の場所から見た苫田ダムがこちら。順光のタイミングだったので堤体が輝いて見えます。

左岸の展望スペースより堤体下流面を見る
左岸の展望スペースより堤体下流面を見る

あれは…展望台?

左岸まで来たのに右岸の山が展望台になっていることに気がついてしまいました。

あれは…展望台?
あれは…展望台?

右岸に戻り…

この時からのマイブームは「展望台を見つけたら登ること」でした。ダムによっては全然眺望がない「なんちゃって展望台」もあるのですが、実際にそうなのかどうかは登ってみないと分かりません。

苫田ダムの展望台に行くには右岸の管理所からさらに南に移動すると右手に階段の手すりが見えてきますのでここから登ります。

右岸に戻り…
右岸に戻り…

天国への階段

意を決して登ります。

天国への階段
天国への階段

登ります…

階段と手すりが整備されていますので、登りやすいと言えば登りやすいですが、ひたすら登りです。

登ります…
登ります…

時折堤体がチラッと見えます

展望台から見える景色に期待を膨らませながらゆっくり一歩一歩階段を登っていきます。

時折堤体がチラッと見えます
時折堤体がチラッと見えます

右岸展望台より堤体を見る

なかなか悪くない展望台です。もうちょっと堤体全体がずどーんと見えると良いのですが、そのためには山の斜面に柱を立てて迫り出すようにして展望台を設置する必要があるでしょうね。

右岸展望台より堤体を見る
右岸展望台より堤体を見る

アンテナ塔

苫田ダムの管理に必要なマイクロ波などの電波塔だと思いますが、こうした設備も展望台に備わっています。

アンテナ塔
アンテナ塔

苫田気象観測所

苫田ダム管理所が設置した気象観測所です。

苫田気象観測所
苫田気象観測所

展望台より奥津湖を見る

堤体方向じゃないのでダム愛好家によっては好みが分かれるところですが、景色を楽しむだけでも十分に展望台に登る価値はあるんじゃないかなと思いました。

展望台より奥津湖を見る
展望台より奥津湖を見る

展望台より苫田鞍部ダム上流面を見る

肉眼では厳しいかもしれませんが、カメラのズームレンズを活用すれば苫田鞍部ダムの上流面を捉えることもできます。

展望台より苫田鞍部ダム上流面を見る
展望台より苫田鞍部ダム上流面を見る

展望台より苫田ダムの天端を見る

手前の草木がちょっと邪魔してしまっていますが、何とか苫田ダムのダム軸上から天端を捉えることもできます。

展望台より苫田ダムの天端を見る
展望台より苫田ダムの天端を見る

展望台をあとにします

降りるのもちょっと大変ですが、展望台をあとにして堤体の下流を目指します。

展望台をあとにします
展望台をあとにします

展望台への階段より堤体を見る

階段の途中でも苫田ダムを見ることができますが、どうしても手前側が隠れてしまうのが惜しいですね。

展望台への階段より堤体を見る
展望台への階段より堤体を見る

下流の橋より堤体下流面を見る

下流までやってきました。こんなに下流面をしっかりと捉えることができるなんて、本当に素晴らしいダムだと思います。

下流の橋より堤体下流面を見る
下流の橋より堤体下流面を見る

下流の橋より水位維持用放流設備とその見学室を見る

この神がかり的なレイアウト!2門並んだ水位維持用放流設備の引っ張りラジアルゲートの中央上部に配置された見学室。こんなダムはここにしか無いように思います。

下流の橋より水位維持用放流設備とその見学室を見る
下流の橋より水位維持用放流設備とその見学室を見る

下流の橋より副ダムを見る

この時は発電放流しか行われていませんでしたが、それでも副ダムを越流する姿もまた美しかったです。

下流の橋より副ダムを見る
下流の橋より副ダムを見る

下流の橋よりラビリンス型自由越流頂を見る

下流から見るラビリンスもすごい形状です。右側の直線型の洪水吐の方は敷高が1段低く見えますが、奥行きによる錯覚だと思います。

下流の橋よりラビリンス型自由越流頂を見る
下流の橋よりラビリンス型自由越流頂を見る

仮排水路トンネル

橋を渡って右岸まで来ました。右岸には仮排水路トンネルの跡が自由に見られるようになっています。ほとんどのダムの仮排水路トンネルは鉄扉で塞がれ完全に見えないようにしますが、苫田ダムは見てくださいと言わんばかりで階段すら設置されています。

仮排水路トンネル
仮排水路トンネル

仮排水路トンネル内部

フェンスが設けられトンネル内部に入ることはできませんが、隙間から内部を見ることはできます。過去に見学会で開放したこともあったようで、活用方法も検討されているようです。

仮排水路トンネル内部
仮排水路トンネル内部

仮排水路トンネル出口にある階段

トンネルから吉井川の方向を見ています。もともとは転流工の出口として吉井川本流に合流するようになっていたため、河床まで掘られていたのだと思いますが、堤防のように土が盛られています。そのために階段が設けられています。

仮排水路トンネル出口にある階段
仮排水路トンネル出口にある階段

手形

その階段の両サイドには地元の小学生のものと思われる手形があります。手形の日付が1999年のものもあれば2000年となっていて同じではないのと、苫田ダムの本体工事期間中であること、水没予定地にあった久田小学校の閉校も1992年であるため、なんのために手形を取ってここに収められているのかがよく分かりませんでした。

手形
手形

たまたま見かけたブログに「恨みがましいモノのように見えてしまいます」と、この手形を見た人が書いていましたが、それはかなり穿った見方なんじゃないでしょうか。確かに苫田ダム建設には大きな反対運動があったことも事実ですが、最後には下流の受益者のために建設に同意しているわけですし、たとえ学校の先生の指示に従って手形を作ったとしても、果たして未来永劫の恨みのために手形を残す小学生がいるのでしょうか?

みずの郷奥津湖より貯水池を見る

堤体をあとにして上流にあるNPO法人てっちりこが運営する「みずの郷奥津湖」で昼食を取りました。ここは地元の方々が運営されている施設で、「自分たちの地域は自分たちで支えていくしかない」と立ち上げたのがこのNPO法人なのだそうです。前向きに取り組まれているのですから、前述のブログを書いた人は一体何を見て「恨みがましい」などとしたのか甚だ疑問が残ります。

みずの郷奥津湖より貯水池を見る
みずの郷奥津湖より貯水池を見る

地元の方々がネガティブなイメージを持ったままだと誰も寄り付きません。苫田ダムと合わせ周辺整備を計画した方々も、きっと多くの人を呼び寄せたいと思ってあの素晴らしいグラウンドデザインに到達したのだと思います。

確かにこの滔々と水を湛える奥津湖にはかつての営みが沈んでいます。しかし今ではその水やダムを地域に活かす宝として、今後もこの地域の発展の拠点のひとつとしてあり続けることでしょう。

苫田ダム諸元

所在地岡山県苫田郡鏡野町久田下原
河川名吉井川水系吉井川
目的F(洪水調節、農地防災)
N(不特定用水、河川維持用水)
A(かんがい用水)
W(上水道用水)
I(工業用水)
P(発電)
型式G(重力式コンクリートダム)
堤高74m
堤頂長225m
堤体積300,000㎥
流域面積217.4km2
湛水面積330ha
総貯水容量84,100,000㎥
有効貯水容量78,100,000㎥
ダム事業者中国地方整備局
本体施工者佐藤工業・鴻池組・アイサワ工業
着手年1972年
竣工年2004年
ダム湖名奥津湖(おくつこ)

その他の設備/所感

駐車場
トイレ
公園
PR展示館
釣り
展望台

苫田ダム周辺の地図

苫田ダム周辺の天気

苫田ダムに近いと思われる宿泊施設

この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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