奈良県のダム

1578-岩井川ダム/いわいがわだむ

3.0
奈良県のダム
この記事は6分で読めます。

取材日:2012/02/04(土)
所在地:奈良県奈良市鹿野園町

岩井川ダムは高円山ドライブウェイの入口近くにある奈良県営の重力式コンクリートダムで、洪水調節と流水の正常な機能の維持を役割としています。

ダム友と語る会に向かう途上に立ち寄りました。実は建設中に隣接する県道を通ったことがあるのですが、当時はアンテナを広げていなかったせいでダムを建設していることを知らず、そのまま素通りしていました。

右岸より下流側の堤体を望む

冬の8時半とあってちょっと薄暗く、しかも逆光となってしまいました。それにしてもひと目見るとちょっと違和感がある堤体です。なんでしょうこの違和感は。

右岸より下流側の堤体を望む

その違和感の正体は右岸側の堤体が大きくカーブを描いているからでした。なぜ直線にしなかったのか謎ですが、岩盤や地質の問題だったのでしょうか。

自由越流式のクレストゲート

県営のダムらしく自由越流式のクレストゲートになっています。

右岸より天端を望む

天端は徒歩でのみ通行が可能です。この日はうっすらと雪が積もっていました。

マンホールの蓋

「電」はきっと「電気」だと思うのですが、「ダ」って何の略なんでしょう?「ダム」??

岩井川ダム管理センター

立派な管理所ですがダムカードはここではなく、天理市内の奈良土木事務所工務課天理ダム管理係で配布しているようでした。

右岸よりダム湖側の堤体を望む

堤体よりも手前の法面の構造物が気になりますね。なんでこんな形になってるんだろ。

右岸よりダム湖側のゲートを望む

この時の水位はE.L.246mでした。ゲートは自由越流式のクレストゲートが4門、右側の水位板があるのが選択取水塔、真ん中にも常用洪水吐を備えています。また常用洪水吐も自由越流式になっています。

自由越流式の常用洪水吐

流木などがそのまま流されないようにフェンスで囲まれています。

右岸リムトンネル

天端に行く途中に見かけたトンネルの入口。リムグラウチングを施工する際のトンネルになります。

右岸よりダム湖側の堤体を望む

堤体の曲がりっぷりがよく分かります。

天端より下流を望む

下流は川がS字を描くようになっています。副ダムの向こう側には砂防ダムも見えます。

下流の砂防ダム

堤体の中央にスリットが入っていて、上部は広がるように開いています。下流への備えとして万全の体制を整えているように見受けられます。

副ダムを望む

ごくごく普通の副ダムです。

河川維持放流

右岸側に河川維持放流のための吐口がありました。

動物の足跡

左岸まで天端を進むと動物の足跡がありました。が、何の動物の足跡かはわかりませんでした。

左岸より天端を望む

天端は徒歩でのみ通行が可能です。

左岸より下流側の堤体を望む

フーチングは利用できません。ちなみに手前に堤体に付属する塔はエレベーター塔になります。

左岸より下流側を望む

遠方に奈良市街地が見えます。

左岸より奈良市街地を望む

朝が早いためか靄がかかってしまっていますが、夜は夜景が綺麗なのではないでしょうか。

左岸よりダム湖側の堤体を望む

ダム湖が少し凍っているのが分かります。

天端よりダム湖を望む

そんなにダム湖は広くはありませんので、ダム湖を散策してみても良いかもしれません。

車いす用駐車場跡

天端から少し下流に行くとスロープの道があるので降りていくとこんな駐車場が。車止めがあるためここまで車で入ってくることはできないのですが、側溝を越えた先に駐車場というちょっとシュールな感じです。

車いす用駐車場跡付近から下流側の堤体を望む

展望台のように作られているのですが、フェンスがあるなどしてなかなか撮影には困難を極めます。真正面から望めず少しだけ角度がついてしまいました。

右岸展望スペースより下流側の堤体を望む

見せるために作られたスペースなのかは甚だ疑問ですが、高いフェンスがある上に草が生い茂ってご覧の有様…。脚立必須です。

右岸より下流側の堤体を望む

ここまで高いフェンスは辛いですね。

フェンスの隙間から減勢工を望む

フェンスの隙間から撮影していますが、黒い影が残ってしまいました。

砂防ダム

さらに下流に降りられる道を見つけて、川の側までやってきました。天端から見えていた砂防ダムも、間近で見ると大きく見えます。

砂防ダムのあたりから下流側の堤体を望む

堤体がカーブを描いているため歪んだ写真に見えてしまいます。

下流側の堤体を直下から望む

晴れていれば午後の方が順光になって良い写真が撮れたかもしれません。

副ダムを下流から望む

副ダムにパウダーのように雪がかかっています。

常用洪水吐直下にある構造物

常用洪水吐から流れ落ちた水が分散して勢いを殺す役目を担っていると思われます。

右岸側導流壁と河川維持放流を望む

導流壁に隠れるようにして河川維持放流の吐口があります。また、吐口の上部には非常用洪水吐からの流れによって阻害されないためのデフレクターが備えられています。

堤体内に貯まった水を排出する穴?

恐らく漏水によって堤体内に貯まった水を排出させるための穴と思われます。

左岸側導流壁

うっすらと雪をかぶって白くなった導流壁。

シンプルな堤体でありながら、ディテールはかなり細かくデザインされており、特に下流側は多少複雑さをもたせていて見ていて飽きないです。そんな中にも機能美も持たせていて、奈良の街を守る静かなシンボルとして存在している…そんなダムでした。

惜しむらくは駐車場がないため、車を停めるのにちょっと苦労するというところでしょうか。管理所脇に大きな駐車場がありますから、いま少し工夫していただきたかったですね。

岩井川ダム諸元

河川名大和川水系岩井川
目的F(洪水調節、農地防災)、N(不特定用水、河川維持用水)
型式G(重力式コンクリートダム)
堤高55m
堤頂長181m
堤体積86,000m3
流域面積3.3km2
湛水面積5ha
総貯水容量810,000m3
有効貯水容量690,000m3
ダム事業者奈良県
本体施工者奥村組・大成建設・戸田建設・大豊建設・森本組
着手年1974年
竣工年2008年
ダム湖名

その他の設備/所感

2000年代に入って竣工したダムなのに、色々と整っていそうでダムしかない…そんなダムです。いや、ダムがあればそれで良いんですけどね。

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岩井川ダム周辺の地図

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この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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