取材日:2014/3/2(日)
新宮ダム・柳瀬ダムと巡り、早明浦ダムでイベントに参加して高知市で一泊した後にやって来たのが香美市にある吉野ダムでした。この日は国道195号沿いのダムを巡って帰路につくという計画を立てていました。
国道沿いの入口
帰りに撮った写真ですが吉野ダムは県営の吉野発電所内にあるため門柱にはダムではなく発電所の銘板が彫られています。バス停も吉野発電所前。
吉野発電所概要と水利使用標識の看板
国道沿いには概要と水利使用標識の看板が設置されています。敷地の奥ではなくわざわざ国道沿いに設置しているあたりアピールしているものと思いますが、もっと予算つけて図を入れたりして大きく目立つ看板にしてほしいなと思いました。
駐車場付近
国道の入口から少し進むと駐車場が見えてきますので、そこにクルマを停めて徒歩で堤体まで移動します。周辺には変電設備や資機材搬入用のクレーンなどが設置されています。
左岸より天端を見る
階段やスロープを降りていくと堤体が見えてきますが、まだ天端部分しか見えません。
資機材搬入出用スペース?
上にクレーンがありますが、資機材搬入出用のスペースでしょうか。ダムと発電所が谷間に造られているので搬入出はちょっと大変そう。
左岸より堤体を見る
少しずつ堤体に近づいていきます。つづら折りのルートがちょっともどかしさを感じさせますが、じっくりと堤体を見つめることが出来るので良しとしましょう。
左岸より天端を見る
それにしてもカラフルですね。グリーン基調でイエローが差し色となっている点はまるで杉田ダムのようですが、同じ県営のダムでそれぞれ上下流に位置するダムですので、色を合わせたのでしょうね。
左岸より堤体上流面を見る
高さもあるし下流面がしっかり見られるかなと思ったのですが、発電所建屋があり草木も生い茂っていてちょっと残念。観光目的はありませんし機能優先なので致し方ありません。
左岸(天端レベル)より堤体上流面を見る
手前の堤体から出っ張っている部分が発電所へ水を送る取水口になります。
左岸より天端を見る
発電ダムなのに天端が歩けるようになっているのは地元の人が橋としても利用できるようにしているからという認識ですが、地元民じゃないぼく達ダム愛好家もその恩恵に預かれるのはとてもありがたいですね。
ハンコ設置場所
吉野ダムは四国堰堤ダム88箇所の第24番堰堤札所に指定されています。
親柱の銘板
ダークグリーンで書かれた「吉野ダム」の文字。この緑色は堤体に使われている色よりもむしろ貯水池の色に近いように思います。
右岸より天端を見る
左岸の設備があれだけ高い位置にあると、もっと堤高を高くすればよかったのにと素人考えで思うのですが、右岸側が左岸よりも標高が低かったりするのでしょうか。
右岸より堤体下流面を見る
贅沢を言えばもうちょっと眺望が欲しいところですがこれが限界でした。左岸の白い建物が発電所でカプラン水車1基により最大4,900kWを発電しています。規模が大きくないので建屋も小さいですね。ところで当時は気が付かなったのですが、写真左側にカーブミラーがありますね。堤体の方を向いているので堤体やゲートや放流の状況をチェックするためのものでしょうか。
クレストゲートの銘板
クレストゲートの巻き上げ機周辺には製造会社の銘板がありました。酒井鉄工所は大阪の企業ですが創業者の酒井耐三が高知出身ということもあって採用されたのでしょうか。水圧鉄管の製造・据付から始まった企業も大きくなり大証二部の上場企業でしたが、平成中期には上場が廃止され民事再生法の適用も受けて今日まで生き残っている企業でもあります。今では鉄塔の製造や設計がメインの企業ですが、日本の電源開発を支える企業の一つとして生き残って欲しいですね。
天端の隙間からクレストゲートを見る
クレストゲートがしっかりと水を支えています。それにしても鮮やかな緑色です。チェレステカラーと言っても良いかもしれません。杉田ダムも同じ色なので物部川のビアンキ(イタリアの自転車ブランド。車体のフレームに使われる独特の緑色がチェレステと呼ばれるため)とも言うべきか、あるいは物部グリーンとも言うべきか。
天端よりダム湖を見る
穏やかな湖面です。この先に永瀬ダムがあります。
天端より発電所建屋を見る
直下に建物があると丸山ダム(岐阜)の旧管理所や三瀬谷ダムのように何かしら影響がないかちょっと心配になります。
小さな発電所の小さなダムですが、カラーリングがとても派手な吉野ダムでした。
吉野ダム諸元
所在地 | 高知県香美市香北町吉野 |
河川名 | 物部川水系物部川 |
目的 | P(発電) |
型式 | G(重力式コンクリートダム) |
堤高 | 26.9m |
堤頂長 | 115.5m |
堤体積 | 22,000㎥ |
流域面積 | 343.4km2 |
湛水面積 | 32ha |
総貯水容量 | 2,091,000㎥ |
有効貯水容量 | 474,000㎥ |
ダム事業者 | 高知県 |
本体施工者 | 間組 |
着手年 | 1951年 |
竣工年 | 1953年 |
ダム湖名 | ― |
その他設備/所感
吉野ダム上流端から下流楢谷口に建設された漁場標識から355度の線に至る間は禁漁区となっています。
駐車場 | ○ |
トイレ | × |
公園 | × |
PR展示館 | × |
釣り | ○(禁漁区を除く) |
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