三重県のダム

1297-寺谷池/てらたにいけ

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1297-寺谷池/てらたにいけ三重県のダム
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取材日:2013/11/9(土)

本体着工前の三重県の川上ダムでの見学会に向かう途中で竹谷池の次に訪問したのがこの寺谷池になります。こちらも伊賀市のかんがい用のため池でありアースダムとなります。

ダムへのアプローチ

堤体へは少し歩きますが迷いそうですね。ちなみにGoogle Mapsには道が載っていませんので、国土地理院の地図を見た方が良さそうです。

ダムへのアプローチ
ダムへのアプローチ

というわけで国土地理院地図を埋め込んでみました。池が2つ並んでいますが、北側の池が目指す寺谷池です。南側は山ノ神池とされる池で、こちら側からアプローチを仕掛けることになります。

ここで山ノ神池とされる池のスペックを調べておこうと思い、三重県のため池データベースを確認したところ驚きのデータが。まず山ノ神池とされる池はため池データベース上では「山神池」となっていること。山ノ神池(山神池)の堤高は8.3mで河川法上のダムではありませんが、なにより驚いたのは今回の寺谷池も堤高が9.1m…!

三重県ため池データベース
三重県ため池データベース

手持ちの2001年版のダム年鑑は15.5mとなっていますが、ダム年鑑がベースになっているダム便覧は2006年に15mに修正されています。どちらが正しいのか…ダム協会は一部データに誤りがあることは以前より認めており、ひとまず三重県にメールで問い合わせてみました。

その結果、残念な返信がありました。

神馬様

日頃より三重県の農業農村整備事業にご理解とご協力を賜りありがとうございます。

三重県農業基盤整備課 ■と申します。

この度、お問い合わせいただきました件につきまして、回答いたします。

①寺谷池の堤高について
現在公表しているデータベースにつきましては、平成25年度~平成27年度にかけて伊賀市が実施したため池一斉点検のデータを基に作成しております。
一斉点検の結果、寺谷池の堤高につきましては、9.1mであったことから、三重県では「堤高9.1m」としてデータベースに記載しています。

②山神池の名称について
平成10年度のため池台帳及び伊賀市へ確認したところ、台帳には「山神池」と記載があり、伊賀市も「山神池」と呼んでいることを確認しました。このことから、三重県では「山神池」としてデータベースに記載しています。

以上です。
ご確認のほどよろしくお願いします。

三重県 農林水産部 農業基盤整備課
農地防災班 ■
TEL:059-224-2604
FAX:059-224-3153

三重県からのメール:(回答)ため池データベースに記載の情報について

ため池一斉点検は地震と豪雨に対する詳細調査やハザードマップの作成が行われますが、地質調査・耐震計算だけでなく、堤高に十分な余裕があるかどうかも細かく調査されるため、数字は厳密なものかと思います。

さらに言えば、ダム便覧では河川名が淀川水系服部川となっていますが、国土地理院の地図上では高砂川となっていました。服部川は下流の合流先の河川名で国道163号沿いを流れる河川です。高砂川も右支・左支と分かれており、どちらが本流なのか不明ですがこの記事での諸元は高砂川としたいと思います。

他にも色々とデータが間違っている可能性があります。ダムに関するデータがあれだけ膨大なので、情報が古くなったり、ましてや戦前のアースダムともなれば錯誤や誤認などもあるでしょうから致し方ないと思います。

…というわけで寺谷池は河川法上において定義される堤高15m以上のダムではなくなってしまいました。ですが、せっかくなので寺谷池がどんなダム・ため池なのかご紹介したいと思います。

山神池の余水吐

寺谷池に行くには、この山神池の余水吐を越えていくしか方法がありません。タイミングが悪いと越流していたりするようですので、その場合は素直に諦めましょう。

山神池の余水吐
山神池の余水吐

山神池の天端より寺谷池の堤体下流面を見る

フィルダムはその構造上、本来であれば盛り立てた堤体の上に洪水吐を載せることはできないはずなのですが、なぜか寺谷池の余水吐(洪水吐)は思いっきり堤体の上にあります。戦前のダムなのでどこまで安全性に配慮しているのかは不明ですが、もともと地山だったりして地盤が良質なのでしょうか。

山神池の天端より寺谷池の堤体下流面を見る
山神池の天端より寺谷池の堤体下流面を見る

左岸より天端を見る

寺谷池の余水吐も橋がないタイプです。それにしても射し込む朝日がすごい。

左岸より天端を見る
左岸より天端を見る

左岸より余水吐・堤体上流面・貯水池を見る

堤体上流面は粗石によって組まれていました。周囲の木々が水面に反映してちょっとざわざわした感じです。ちなみに山神池と寺谷池は水路(開渠)でつながっていて、山神池から流れ込むように出来ているようです。

左岸より余水吐・堤体上流面・貯水池を見る
左岸より余水吐・堤体上流面・貯水池を見る

余水吐の角落し

実際に使っているのかは不明ですが、余水吐きの上流側には角落しの溝があります。付近に止水板は見当たりませんが、堰き止めたい時はコンパネか何かでつくってしまうのでしょうか。それとも受益者の農家の方が保管していたりするのでしょうか。

余水吐の角落し
余水吐の角落し

余水吐より天端を見る

天端の草が朝露に濡れていて歩くと足回りも濡れてしまいますが気にせず写真を撮ります。手前の影は灯籠ではなく写真を撮っているぼくの影です。

余水吐より天端を見る
余水吐より天端を見る

余水吐の辺りから堤体下流面を見る

9.1mなのか15mなのか見た目では正直良くわかりません。

余水吐の辺りから堤体下流面を見る
余水吐の辺りから堤体下流面を見る

取水設備…?

斜樋式の取水設備のようですが本来ならハンドルなどがある部分が、仮設なのか写真のような状態になっていました。必要な時だけ挿し込んで回すようになっているのか謎ですが、とにかくこんなものは初めて見ました。

取水設備…?
取水設備…?

天端より下流を見る

下流側はパイプに繋がっているようでしたので、上の写真は取水設備で間違いないと思います。

天端より下流を見る
天端より下流を見る

右岸より堤体下流面を見る

逆光が眩しいですが朝露に濡れた草がキラキラと輝いていました。一番奥に山神池の堤体が見えますが、天端標高は寺谷池とはあまり変わらないように見えますね。むしろ山神池の方が標高が高そうに見えます。そうすると堤高もやはり同じ程度なのかなと思います。

右岸より堤体下流面を見る
右岸より堤体下流面を見る

右岸より堤体上流面と貯水池を見る

貯水池は日光に当たって温度が上がってきたのか湯気が立っていました。

右岸より堤体上流面と貯水池を見る
右岸より堤体上流面と貯水池を見る

今回堤高が15m未満であることが判明し、いずれダム便覧やダム年鑑から外されてしまう運命がほぼ確定してしまったような寺谷池。さらには堤体に載る洪水吐・隣接するため池の名称の違い・金属の棒だけが刺さった取水設備など謎多き寺谷池でした。

寺谷池諸元

*印は三重県のため池データベースから記載しています。河川名は国土地理院地図から記載しています。

所在地三重県伊賀市鳳凰寺生賀860 *
河川名淀川水系高砂川 *
目的
型式
堤高15m(9.1m *)
堤頂長100m(85m *)
堤体積21,000㎥
流域面積― km2
湛水面積― ha
総貯水容量15,000㎥
有効貯水容量15,000㎥
ダム事業者大山田村耕地整理組合
本体施工者ダム事業者直営
着手年― 年
竣工年1935年
ダム湖名

その他の設備/所感

駐車場×
トイレ×
公園×
PR展示館×
釣り

寺谷池周辺の地図

寺谷池周辺の天気

寺谷池に近いと思われる宿泊施設

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