所在地:兵庫県神戸市北区山田町
取材日:2009/10/16
道中に見える神戸電鉄
第8回 Dam Web Ring オフ会[神鉄で行く烏原川のダムめぐりOFF]に参加してきました。待ち合わせは神戸電鉄鈴蘭台駅。当初は神戸に泊まったり新幹線で行こうと思いましたが、スケジュール的に難しかったのと新型インフルエンザが怖かったので、結局集合場所まで車で行きました。で、神戸電鉄なわけですが、堤体までは車で行けないらしく、鈴蘭台の駅からこの線路の脇を歩いていくとダムまで辿り着けるのです。
道中にある公園
今回は事前に少しだけ予習しておいたのですが、ダムの目的に「レクリエーション」が備わっているダムというわけで、すごく気になっていました。しかしその目的はきちんと果たされているらしく、結構散歩されている方が多くいました。この公園は堤体までの道中にあり、それなりに傾斜のある坂の途中にあるため脚力が弱い方などは気軽に休めるのではないでしょうか。実際、ここで休まれている初老の方がいました。
右岸ダム湖側より堤体を望む
運動不足の私は結構このオフ会は辛かった・・・。車通勤な上に、なにしろ歩き慣れていないのです。段々辛くなってきたと思ったその時、ようやく堤体が姿を現しました。
道中に見える名号岩
その道中の右手に「名号岩」(妙号岩)という「南無阿弥陀仏」と書かれた岩が見えます。なんでも150年前に旅人の安全を祈った僧侶により彫られたのだとか。
右岸よりダム湖側堤体を望む
かなり堤体に近づいてきました。貯水量がかなり少ないです。自然越流式のゲートを見ると、天端側水路を持つダムであることがわかりますでしょうか?
オリフィスゲートを望む
貯水量が少ないため、常用洪水吐のオリフィスゲートの取水口が見えます。
右岸よりダム湖を望む
ダム湖の脇に通路があります。この時はまだ公開していませんでしたが、水量が多くないときは歩けるようです。いざと言う時は、ここも水没させるようです。ちなみにこの通路は、もともとダムを建設する前は神戸鉄道が走っていたそうです。
石井ダム管理所
鳥が飛来して窓ガラスに当たるためか、窓ガラスに鳥の絵が描かれています。
天端より神戸市街地、瀬戸内海を望む
なんと、天端から神戸市や瀬戸内海が望めます。もうちょっと視界が開けていると、夜景が綺麗そうですね。
天端より下流・減勢工を望む
さすが「レクリエーション」を目的に持つだけあって、下流側もかなり整備されています。
天端より下流(神戸電鉄)を望む
ダム直下には神戸鉄道が見えます。と言う事は、電車からもダムが見えるわけです。通勤・通学しながらダムが見れるなんて、マニアからしたら羨ましい限りです。右脇に神戸鉄道の廃トンネルが見えます。ここを通って、先ほどの上流に繋がっていたそうです。
堤体内への入り口
特別に堤体内を見学させていただく事ができました。続々と中に入る私たち・・・。
石井ダム定礎石
新しいダムなので定礎石も新しいです。また、珍しく何かに埋め込まれているのではなく、外に設置されているので、勝手に持ち出されないかちょっと心配ですね。
堤体内ギャラリーの一部
堤体の中にギャラリーがあるとは聞いていましたが、これが重力式コンクリートダムの中なのか!?と思わせるほどすごく広いギャラリーです。なんでもダム自体の管理は兵庫県、ギャラリーの管理は神戸市が行っているらしいのですが、このギャラリーはまだあまり活用されていないんだそうです。
温度・湿度計
内部の気温は18.6度もあります。たいていのダムは夏でも寒いと感じるほどの気温だったりしますが、石井ダムの内部は意外と暖かいです。程よい気温、といった感じです。特にエアコンなどの空調も設置されていないんだとか。
非常案内板
ギャラリーらしく、一般の方の見学を見越して非常案内板が設置されています。
左岸より天端を望む
とてもキレイです。整備がしっかり行き届いたダム、そんな感じです。
左岸よりダム湖側堤体を望む
ダム湖側は半円柱の構造物が堤体に付属しており、これを見る限りどことなく女性的な印象を受けます。
左岸より下流側堤体を望む
でも下流側は戦艦、それもどちらかと言えば宇宙戦艦の艦橋のように見えます。
天端の植栽
で、天端には植栽があり、寒い時期でしたが暖かければピクニックには最高だろうな、と感じました。この後、お弁当タイムだったのですが、天端は寒すぎて食べられそうに無かったため、比較的風がしのげる下流に移動して、堤体にへばりつくようにしてお弁当を食しました。
久しぶりに歩いたためか、それなりのボリュームの弁当を食べました(笑)
自然越流式非常用洪水吐
いわゆる「天端側水路」という形式の洪水吐です。ここに水が流れ込むのを見てみたいですね。
天端よりダム湖を望む
季節は晩秋に差し掛かり、さらには曇り空とあってか、ちょっと寂れた感のあるダム湖ですが、きっと夏空の下だときれいなんでしょうね。できれば暖かい時期に再訪したいですね。
フーチングを利用した見学用通路
さぁ、フーチングだ!と意気込んでみたものの、下りだったのでそんなに辛くは無かったです。しかも撮影しながらのペースでゆっくりだったせいもありますが・・・。あと、堤高だけでなく階段の蹴上げもそんなに高くないので、上りも辛くなさそうです。この点、レクリエーションを目的に持つダムとして、見学者に配慮した高さだったのかもしれません。
堤体直下からの堤体内ギャラリーへの入り口
先ほどの堤体内ギャラリーはここからでも入れるそうです。間口が広いので、カーディーラーに良いんじゃない?とか、神馬の会社の支店を出したら?などとギャラリーを有効活用できる有意義な提案がなされました(嘘)
堤体直下からの堤体内ギャラリーへの入り口の奥
天端から入り口もそうですが、このギャラリー自体、普段は一般開放されていないため、入口は閉ざされています。中をもう少し何とかして、例えば岐阜県の小里川ダムのように比較的自由に見学できるようにするといいかもしれません。兵庫県さん、神戸市さん、ぜひ小里川ダムにご見学ください。
右岸下流より堤体を望む
やはりこちら側から見ると、艦橋のように見えるため、男っぽい印象を受けます。でも新しいダムのためコンクリートも白いので、体育会系ではなく、知的な印象を受けます。ただし何故かいまパッと閃いたのは、銀河英雄伝説のアーダルベルト・フォン・ファーレンハイト・・・。
フーチングを下から望む
程よい階段、程よい高さ。足腰の弱い方でも安心して昇降いただけるフーチング。運動不足解消にももってこいですね。こんなダムが近くにあったらきっと5kgは痩せられるかもしれません。保証はしませんが。
オリフィスからの放流
豪快ではありませんがサラサラと流れています。この写真では写っていませんが、もう少し下にコンジットゲートがあります。
右岸より下流を望む
流量は少なめですが、きっといざと言うときは川幅いっぱいに流れるんじゃないかと思います。ゲリラ豪雨の時には特に効果が期待できそうです。また、奥には砂防ダムが見えますね。
右岸より砂防ダムを望む
その砂防ダムです。石井ダム建設以前からあったようです。この砂防ダムにはちゃんとした名称もあるようですが、看板の文字が風化により判読できないため、名称は不明です。
神戸電鉄廃線跡
下流側右岸には先ほど天端から見えた神戸電鉄の廃線跡のトンネルが間近に見ることができます。このトンネルはご覧の通り立入禁止ですが、何らかの活用法を見出したいところですね。
石井ダムと砂防ダムのツーショット
新参者のハイダムと古参の砂防ダムのコラボレーション。石井ダムの堤体が白く飛んじゃって残念ですが、実は今回の写真の中でもお気に入りだったりします(笑)
ダム諸元
河川名 | 新湊川水系烏原川 |
目的 | 洪水調節、農地防災、レクリエーション |
型式 | 重力式コンクリートダム |
堤高 | 66.2m |
堤頂長 | 155m |
堤体積 | 182,000m3 |
流域面積 | 6.9km2 |
湛水面積 | 11ha |
総貯水容量 | 2,200,000m3 |
有効貯水容量 | 2,000,000m3 |
ダム事業者 | 兵庫県 |
本体施工者 | 西松奥村錢高新井・寄神 |
着手年 | 1972年 |
竣工年 | 2008年 |
ダム湖名 | ― |
その他の設備/所感
2009年10月時点では、堤体までの道路は工事用道路となっているらしく、まだ共用化されていないそうです。そのため、全ての付帯工事が完了した後に県道へと移行するそうです。そのためにまだ駐車場はありませんが、将来的には駐車場が造られるかもしれません。でもでも、せっかくレクリエーションを目的としていますから、車で来るのではなく電車で来て、駅から徒歩で来たいものですね。行くだけで健康にも環境にもやさしくなれる、そんな石井ダムです。
駐車場 | × |
トイレ | ○ |
公園 | ○ |
PR展示館 | × |
釣り | × |
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