神奈川県のダム

0702-三保ダム/みほだむ

5.0
神奈川県のダム
この記事は8分で読めます。

取材日:2011/11/23(水/祝)
所在地:神奈川県足柄上郡山北町神尾田

三保ダムは酒匂川水系河内川に建設された神奈川県営のロックフィルダムです。この日は相模ダムそばの相模湖交流館で開催される「ダムマニア展」のトークライブに出演するため、その前に三保ダムを訪問することにしました。

ダム広場駐車場入口

時間は6時半を少し過ぎたところでしたが、駐車場の入口が閉ざされていました。ちょっと早かったようです。

クレストゲート

遠くからでも三保ダムのクレストゲートが見えます。

分水槽と堤体を望む

車から降りて最初に気になるのがこの円筒分水のような設備。「分水槽」という隣接する東京発電田ノ入発電所から流れた水が、次の東京電力嵐発電所と余った水を河内川に分水するための施設です。水利使用者は東京電力で取水量は最大で8.35m3/sとなっています。

松ケ山橋

その後、余水吐の下へと向かいますが、分水槽の次に気になるのがこの橋。松ケ山橋といって長さ96.5mのPC斜張橋で、国内最初の張り出し架設を行ったPC斜張橋だそうです。そのため土木学会の田中賞を受賞し、神奈川県の「かながわの橋100選」にも選ばれています。

松ケ山橋より余水吐を望む

かっこいんだけどロックフィルダムなので余水吐はダム本体じゃなくてあくまで付帯する設備なんですよね。

クレストゲートを望む

一番右が1号ゲートになっており1号から4号まではラジアルゲート、5号はローラーゲートとなっていて、ちょっとこの写真では見づらいですが、さらに一番左は越流堤になっています。

底部放水口

底部放流設備として主ゲートに直径1,200mmのジェットフローゲートが1門、予備ゲートに同じく直径1,200mmのリングホロワゲートが1門が備えられています。

減勢工

余水吐の直下には副ダムがありますが、さらに下流側には減勢のための構造物が設置されています。

右岸導流壁

遠くから見ているからだと思いますが、かなり薄く感じる導流壁です。

余水吐左岸

三保ダムはあくまでロックフィルダムですが、余水吐のみならずこの写真の部分もかなりのコンクリート量です。そして得も言われぬかっこよさ。おそらく強度が保てないからここまで固めているのだと思いますが、見た目のカッコよさが見た目を上回る瞬間です。

松ケ山橋から下流を望む

水は少なめですが、写真左側からは分水槽から溢れた水が流れてきています。

ダム広場

堤体のロック部に向かう前にダム広場を散策。これがダム広場のダム広場たる所以です。1/50サイズとなった三保ダムの模型が公園内に設置されているのです。池はもちろん丹沢湖。オーバーフローした分はクレストゲートから放流するというこだわりっぷり。そして紅葉の時期に訪れたのが、さらに最高のシチュエーションを演出してくれます。

堤体へと向かう

右岸側の余水吐の直下をうろうろしていると突然監査廊への入り口が出現。

天端へ向かう通路

散策路として整備されているので、気軽にお散歩という感じです。イチョウ並木も鮮やかな黄色になっていましたが、まだ朝も早く山陰になってしまい暗いのが残念。

堤体中腹から天端を望む

ゆっくりと堤体を登っていきます。アスファルト舗装で整備されていて、散策にはとても良いかと思います。

天端から堤体下流面を望む

天端まで来ました。見下ろすと結構な坂道だったようですが、まるでジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスに出てくる山岳コースのミニチュア版に見えなくもありません。といってもこのくねくね道は自転車の走行が禁じられています。

天端中央付近より余水吐下流面を望む

私が天端まで登ると太陽もだいぶ上ってきました。

天端に書かれた「三保ダム」の文字

上空からでも見えるようにしたのか、天端に赤字で大きく「三保ダム」と書かれています。

ダム湖百選銘板とダム湖「丹沢湖」

三保ダムのダム湖「丹沢湖」はダム湖百選にも選ばれています。ダム名よりもダム湖名のほうが有名かもしれません。

ダム湖を望む

ちょうど紅葉のシーズンでいい季節に訪問できたと思います。

余水吐部分の天端を望む

この山に展望台をつくってほしいですね。

ゲートピアを望む

規則正しく並んでるものは一点透視で撮りたくなる性分です。

フェンスの金網越しに下流を見る

高さを体感したかったのですが、残念ながら自分の背丈以上のフェンスに阻まれ金網越しに見るしか叶いません。見学会があったらゲートピアに上らせてもらえるのでしょうか。

右岸から下流を望む

右岸の隙間から下流を狙います。が、思いっきり逆光に。。。

右岸より堤体下流面を望む

朝日が黄土色に堤体を照らしています。それにしても余水吐からロック部までの構造が荒々しくて良いです。

右岸より天端を望む

堤体が途中で曲がっているため左岸までは見通せません。

ダム湖側右岸より余水吐を望む

下流からでは隠れてしまって分かりにくかった一番右岸側のゲートが越流堤になっているのが分かるかと思います。

右岸よりダム湖側堤体を望む

割りと大きなダムですので散策するといい運動になります。

右岸道路は途中で通行禁止に

土砂崩れでこの先は通行が禁じられていました。そしてこの時、カメラのレンズに異常を来し、ピントが合わなくなっていることに気が付きました。それでもマニュアルフォーカスでなんとか撮影を続行します。

余水吐付近より下流側の堤体を望む

上り坂を上ってきたときはまるでアースダムのようでしたが、こうしてみるとやはりロックフィルダムだなということが分かります。

左岸より天端を望む

私にしては珍しく快晴です。太陽の高度もだいぶ上がってきて、気持ちも晴れやかになります。

紅葉

PLフィルターのおかげで随分と赤い紅葉が撮れました。

左岸の広場

左岸には広場があってダムっぽい石碑がありました。でもこれって重力式コンクリートダムっぽいですね(笑)

左岸の広場よりダム湖側の堤体を望む

天端は左岸から緩やかなカーブを描き、その先で折れ曲がって余水吐につながるラインになっています。

「三保の里みち」

広場から湖畔散策路「三保の里みち」につながる門です。ダム湖畔をゆったりと散策することができます。

丹沢湖記念館

でもこの時は勝手を知らないので「三保の里みち」は使わずに、県道を北上して丹沢湖記念館まで来ました。ここでダムカードがいただけます。

丹沢湖記念館と三保の家

丹沢湖記念館に隣接するのは「三保の家」。ダム湖に沈んだ世附よづく地区で昭和48年頃まで使われていた江戸時代末期の民家を移築したものだそうです。

丹沢湖に架かる斜張橋「永歳橋えいさいばし

「永歳橋」という名前はもともと湖底に沈んだ旧県道に架けられていた橋の名前を引き継いでいるそうです。この橋も「かながわの橋100線」に選ばれているそうです。

富士山がチラリ

永歳橋を渡り切る直前に富士山がチラリと見えます。

永歳橋のたもとより堤体を望む

逆光がかなりキツイですが、永歳橋のたもとからはダム湖側の堤体全景が望めます。

東京電力落合発電所

上流の大又沢ダムより取水された水が導水路でここまで運ばれて発電されています。ちなみに大又沢ダムは時間の都合上(というか下調べしていない)行きませんでした。ただ右岸の状況を見ると、この時は通行止だった可能性があります。

あと「落合発電所」という名称は、中部電力にも中国電力(しかもどちらも中電と略すので余計にややこしい。株式的には中部電・中国電と略して混乱を避けています)にもあります。

彫刻家・土屋健氏の作品「林泉」

こうしたモニュメントも設置されています。

三保ダム管理事務所

県営のダムにしては規模の大きな管理所です。

除塵機と取水設備

写真手前が除塵機で奥が取水設備です。堤体左岸の尾根の向こう側に設置されているため、はじめは位置関係がうまくつかめず戸惑いました。

三保ダム測水塔(水位観測塔)

初見ではこちらを取水塔だと思っていたのですが、水位を測るための塔だったようです。

展望台!?

ダムサイトで自由に登れる階段を見つけたら躊躇せずまず登るようにしています。

時計塔

が、一番上は残念ながら眺望は望めませんでした。。。(よくあることです)で、ここは途中にある時計塔。

展望台?よりダム湖を望む

時計塔のある辺りではこれぐらいが限界でした。

左岸より下流側の堤体を望む

展望台は諦めて堤体を降りることに。それにしても草が生い茂っていてアースダムに見えますね。でもきれいに草が刈られているので、きっと見られることを意識しているのだと思います。

監査廊への入口?

左岸から降りる途中に監査廊への入口と思われるものがありました。

左岸監査廊二号口

するとまた似たような構造物が。こちらには監査廊と書かれているので、上の写真のものは監査廊への入口とは違うのかもしれません。

常用放流隧道

取水設備から取水された水がここを通って、田ノ入発電所へと放流されます。

東京発電田ノ入発電所

有効落差71.871m、最大出力7400kWの田ノ入発電所。

下流側より堤体を望む

太陽の高度がかなり上がってきて、ようやく堤体全体に太陽の光がかかるようになりました。

三保ダムはなかなか規模の大きなダムなので時間をかけて、散策がてらじっくりと見学されることをおすすめします。

三保ダム諸元

河川名酒匂川さかわがわ水系河内川
目的洪水調節、上水道、発電
型式土質遮水壁型ロックフィルダム
堤高95.0m
堤頂長587.7m
堤体積5,816,000m3
流域面積158.5km2
湛水面積218ha
総貯水容量64,900,000m3
有効貯水容量54,500,000m3
ダム事業者神奈川県企業庁
本体施工者鹿島建設
着手年1969年
竣工年1978年
ダム湖名丹沢湖たんざわこ

三保ダム周辺の地図

その他の設備/所感

下流側にも天端側にも駐車場があるので、歩くのが苦手という方にも安心だと思います。

駐車場
トイレ
公園
PR展示館
釣り

三保ダムに近いと思われる宿泊施設

この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

ダムペディアをフォローする

コメント

タイトルとurlをコピーしました