ダム入門

ダム用語

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アルファベット

単語よみがな意味
CFRDCFRD「Concrete Face Rockfill Dam」を略した言葉で、直訳すれば「コンクリート遮水型ロックフィルダム(?)」。ロックフィルで堰き止めた上流方向の面をコンクリートを用いて、堤体内に水が染み込まないよう覆ったダムの事を示します。
DWLDWL→設計洪水位
LWLLWL→最低水位
NWLNWL→常時満水位
RCDRCD元来アメリカの空港滑走路の舗装や、日本においても道路の舗装工事などで実績があった工法のRCC(Roller Compacted Concrete)をダムに応用したものです。「Roller Compacted Dam-concrete method」の略。
SWLSWL→サーチャージ水位

あ行

単語よみがな意味
アースダムあーすだむ別名「アースフィルダム」。材料として土を用い、それを重ねて造られたダムの事を言います。比較的施工が容易な分、大規模なダムには適せず、貯水池などに造られる小規模ダムに適します。
アーチダムあーちだむ別名「アーチ式コンクリートダム」「アーチ式ダム」。アーチ状(カーブ状)にコンクリートをかためたダムで、その形状により堤体から受けるダム湖の水圧を左右両岸の岩盤に分散できる為、堤体そのものを薄くして工費を削減できるメリットがあります。しかし、かなりの水圧を支えられる岩盤でしかダム建設に適しません。
右岸左岸うがん、さがん下流の方向を見て右側が「右岸」となり、左側が「左岸」となります。
オリフィスゲートおりふぃすげーと常時満水位より水深25m未満の場所に設置された放流ゲートで、ダム湖の水位や下流に流れる水の量を調節します。

か行

単語よみがな意味
河川法かせんほう河川法第1条によれば、その目的は「河川について、洪水、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もって公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする」となっています。またダムに関する記述は第44条から51条にあり、「ダム(河川の流水を貯留し、又は取水するため第26条第1項の許可を受けて設置するダムで、基礎地盤から堤頂までの高さが15m以上のものをいう。以下同じ。)で政令で定めるものを設置する者は、当該ダムの設置により河川の状態が変化し、洪水時における従前の当該河川の機能が減殺されることとなる場合においては、河川管理者の指示に従い、当該機能を維持するために必要な施設を設け、又はこれに代わるべき措置をとらなければならない」となっています。
仮排水トンネルかりはいすいとんねるダム建設時にダムサイトの上流部から下流部にかけてトンネルを掘って、川を堰き止める事により溢れる上流の水を下流に流す迂回トンネルのようなものです。
監査廊かんさろうダム堤体内の損傷箇所をチェックする為の通路。通常は関係者以外立ち入り禁止です。ただし「地域に開かれたダム」に指定されている場合、見学コースになっていたりします。
基礎地盤きそじばんダムの重量を支えるための地盤の事を示します。ダムによっては、かなり深いところが基礎地盤になっています。ちなみにダムの高さを表す堤高はこの基礎地盤から堤頂部までを計測した高さです。
基本高水流量きほんたかみずりゅうりょうダム建設前の河川の状態で、100年に1度起こるであろう洪水発生時の河川流量(1/100確率流量)の事を言います。「高水」を「こうずい」と間違えて読まないように「たかみず」と呼びます。
逆調整池ぎゃくちょうせいち昼間に流量が増え、夜間には流量が少なくなってしまうような大規模な水力発電所に存在します。発電所の下流にもダムを造って貯水したものを「逆調整池」と呼び、ある一定の量を放流する事で、下流の流量を調節します。
キャットウォークきゃっとうぉーく特にコンクリートダムなどで見られ、堤体壁面の下流側に設置される細い通路の事で、ダムの工事段階では作業用に、完成後は点検などに使用されます。
クレストゲートくれすとげーと主に非常用洪水吐に用いられ、ダムの堤頂部に設置されています。
計画堆砂容量けいかくたいさようりょうダム湖に100年間に流入してくると仮定した土砂の容量。
計画高水流量けいかくたかみずりゅうりょう「基本高水流量」に対しダム建設後、ダムで洪水を調節した際の河川流量のことを示します。この読みも「基本高水流量」と同じく「高水」を「こうずい」と間違えて読まないように「たかみず」と呼びます。
ケーブルクレーンけーぶるくれーんダム工事の際に使われる資材運搬用のクレーンの事です。骨材プラントからダムの堤体まで運ぶので、大抵ダムをまたいでケーブルが張られています。
減勢工げんせいこう洪水吐から流れ出る水は勢いが良いので、水の落下地点が削れてしまう恐れがあり、それを防ぐ役割を担います。
原石山げんせきやまダムを建設する為に必要な資材を採取する山。
洪水こうずい上流からダム湖への流量がいつもより多い場合の事を指す為、氾濫していなくても洪水となります。
洪水期こうずいき梅雨の時期や台風の時期(主に6~10月)など、降水量が多い時期の事を指します。その為、洪水期の直前はダム湖の水位は低くなります。
洪水期制限水位こうずいきせいげんすいい治水が目的のダムで設けられている水位の事で、常時満水位よりも水位を下げて洪水を防ぐ水位の事です。
洪水調節容量こうすいちょうせつようりょうサーチャージ水位から洪水期制限水位を引いた値が洪水調節容量となります。その容量の範囲内で洪水を調節します。
洪水吐こうずいばきダム湖の水を下流に流す為のゲート設備。「常用洪水吐」と「非常用洪水吐」の2種類があります。
洪水容量こうずいようりょう常時満水位、もしくは洪水期制限水位からサーチャージ水位までの容量。
骨材こつざいコンクリートの原料となるものの事です。
コンジットこんじっと→放水管

さ行

単語よみがな意味
サーチャージ水位さーちゃーじすいいSurchargeとは「過載」とか「オーバーロード」の意味で、洪水時にダム湖に限界まで水を貯める事が出来る水位の事です。
最低水位さいていすいいダムの堆砂容量を水平であると仮定し、その堆砂上面の水位の事です。
試験湛水しけんたんすいダムが完成した後にダムに問題がないかをチェックする為の試験で、サーチャージ水位まで貯めてから最低水位まで減らします。
死水容量しすいようりょう堆砂容量の最上面と最低水位の間の容量。
重力式アーチダムじゅうりょくしきあーちだむ重力式コンクリートダムとアーチ式コンクリートダムの双方の利点を備えたダム。
重力式コンクリートダムじゅうりょくしきこんくりーとだむコンクリートで出来たダムで、堤体そのものの自重で水圧を支える事が出来ます。
常時満水位じょうじまんすいい利水目的に使用する為ダム湖に貯める事が出来る最高の水位の事。
常用洪水吐じょうようこうずいばきダム湖の水を下流に流す為のゲート設備の中でも、調節しながら流下させるゲートの事。
水利権すいりけん河川などの水を利用する為の権利。ダムに関しては、農業用水、水道用水、工業用水などに分かれます。
設計洪水位せっけいこうずいいダムがある時期、200年に1回程度発生すると予想される最大の洪水が発生した時のダム湖の水位。
選択取水せんたくしゅすい深度によって温度や濁り具合が異なるダム湖の水を、目的に応じて取水する事。
総貯水容量そうちょすいようりょう堆砂容量、死水容量、利水容量、洪水調節容量の全てを合計した容量の事。

た行

単語よみがな意味
堆砂位たいさい計画堆砂容量を水平にし堆砂した場合の上面の高さ。
堆砂容量たいさようりょう→計画堆砂容量
ダムだむ河川法第44条をダムの定義とするなら「河川の流水を貯留し、又は取水するために設置するダムで、基礎地盤から堤頂までの高さが15m以上のものをいう」とされています。
ダムサイトだむさいとダムの場所。
ダム軸だむじくダム天端上流面を基準とした線の事。
ダム天端標高だむてんばひょうこう海抜から天端までの高さ?
多目的ダムたもくてきだむ洪水防止、発電、工業、灌漑などの目的のうち一つのダムで複数の目的を持つものの事です。
湛水面積たんすいめんせき常時満水位にあるダム湖の面積。
中空重力式ダムちゅうくうじゅうりょくしきだむ重力式コンクリートダムの堤体内を空洞化したダム。
堤高ていこうダムの高さ。基礎地盤からダム天端までの高さを言います。
堤体積ていたいせきダム堤体の体積。ダムを構成する材料の合計。
堤頂長ていちょうちょうダム堤体の長さ。
テレメータてれめーた【telemeter】遠方から電気信号として送られてきた測定量を解読し、指示あるいは記録する装置(新辞林 三省堂より)。ダムのテレメータは主に雨量計や水位計の測定データを管理事務所に転送しています。
天端てんばダム堤体上部の事。
導流部どうりゅうぶダム下流側の越流部から減勢工までを示し、洪水吐から出る水を正しく流れるようにする為の水路の事です。

は行

単語よみがな意味
バットレスダムばっとれすだむ扶壁式ダムとも言われ、コンクリートの壁を支える方式のダム。国内には6つしかなく、三滝ダムが国内で最後のバットレスダムです。
非洪水期ひこうずいき主に冬の時期を示し、降水量が少ない時期の事を指す。そのためダム湖の水位は高くなります。
非常用洪水吐ひじょうようこうずいばき洪水時にダムを越流させないためのゲートの事。
表面取水設備ひょうめんしゅすいせつび水温が低層よりも温かい表面の水を取水する設備の事。作物や生物に影響を与えない利点があります。
フィレットふぃれっとダム堤体の上流側に設置した補強用の増厚部の事。コンクリートダムの強度が保てない場合に設置します。
複合ダム(コンバインダムふくごうだむ(こんばいんだむ)コンクリートダムとフィルダムの両方を設置したダムの事。ダムを設置する河川の地盤地質の違う両岸で、大抵地盤の固い岸はコンクリートダムを設置し、地盤の緩い岸はフィルダムを設置されます。
副ダムふくだむ一般的にダム下流側に設けられた堰の事で、洪水吐より落下する水を緩衝する役割を担います。
不等厚アーチダムふとうあつあーちだむアーチ式コンクリートダム堤体両岸のコンクリート部分を分厚くしてダムの事。両岸に負荷が加わりすぎるようなダムに用いられます。
放水管ほうすいかん洪水の調節や下流への放流用に設置する管の事。

や行

単語よみがな意味
有効貯水容量ゆうこうちょすいようりょうダム湖の総貯水容量から、堆砂容量、死水量を引いた容量の事。

ら行

単語よみがな意味
ラジアルゲートらじあるげーと扇型のゲート。扇を中心に開閉されます。
利水放流設備りすいほうりゅうせつびダムから水を放流する為の設備。主に下流の流量が少ない時や、常時満水位から洪水期制限水位まで水位を下げる時に使用されます。
利水容量りすいようりょう最低貯水位から常時満水位までの容量。
リップラップりっぷらっぷフィルダムにおいて堤体の外側に覆われるようにして設置され、水による浸食を防ぎ堤体を保護する役割を持ちます。
ローラーゲートろーらーげーと開閉用ゲートの板にローラーを付けたもの。ゲートに高い水圧がかかっても容易に開閉が可能です。
ロックフィルダムろっくふぃるだむ岩、砂、土を材料としたダムの事で、ダム両岸の岩盤が軟弱なものに適しています。その為大規模なダムには適しません。
この記事を書いた人
神馬シン

福澤桃介をこよなく愛するダム愛好家/ダムペディア・ダムニュース管理人/(一財)日本ダム協会公認ダムマイスター(01-018)/放流注意グッズの販売はじめました→https://shop.dampedia.com

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